民医連新聞

2002年9月21日

「友の会が力です」/自治体へのはたらきかけもささえあい活動もがんばっています/北海道・道東勤医協と「友の会」のとりくみ

 北海道・道東勤医協と「友の会」は自治体へ介護保険の改善要求を強め、住民同士のたすけあいの活動を広 げています。根釧地域では地元産業が衰退するなか、今年1月に日本最後の炭鉱・太平洋炭礦が閉山、住民の暮らしに追い打ち。人口減、高齢化が…。これに負 けない道東のたたかいとまちづくりを取材しました。

(小林裕子記者)

市長と面談し 介護改善を要望
 「介護策定市民委員会にこの要望を伝え、検討します」。釧路市の綿貫健輔市長はこう回答しました。
 9月13日、釧路社会保障推進協議会(準備会)が行った市当局との懇談会です。道東勤医協友の会連合会長の福浦寛さん、道東勤医協社保課長の田中博修さんら8人が参加しました。
 手渡した要望書は、第2期介護保険事業計画・高齢者保健福祉計画の策定に向けたものです。「高齢者の食事会に補助制度を」「要介護者の自宅玄関先に簡易 ロードヒーティングを設置するための補助制度を」など、まちづくりの活動から生まれた要求も盛り込まれています。
 この日のやりとりでは具体的な前進はありませんでしたが、福浦会長は「運動はまだこれからですよ。社保協も正式に立ち上げて、力をつけて粘り強く要求していかないと。それには友の会を大きく広げてね」。

高齢者の生活ささえる「住宅を」「食事を」
 釧路市との交渉の2日前。釧路社保協準備会は「介護保険の『見直し』学習・懇談会」を開きました。『社会保障』誌編集長の鍋谷州春さんを講師に、介護保 険の現状と問題点をあらめて学習。構成団体代表や個人33人、友の会白糠支部からも2人が参加しました。
 「特養は市の計画231床増では不足」の意見が出ます。釧路市の特養待機者は879人。緊急を要する人は529人。独居・老人世帯の増加、冬期間の施設 入所希望も多い実情です。「空きアパートを使って、ケア付き住宅を造れないだろうか。補助金が出たらいいのに」。「高齢者の多くは日に3回食事していな い。食事は高齢者の生活をささえる一つの柱。みんなでする食事は生き甲斐につながる。食事会をもっと立ち上げよう」「学校やシャッター通りの空室を利用し たデイサービスは」など、まちづくりの話題に発展していきました。
 参加者の一人、老人介護支援センターひまわり所長の上堀百合子さんは、「介護負担・医療費負担で貧困な人がますます貧困になる。厳しいからこそ友の会の ささえ合いはさかん。与えられるのを待つのでなく自分も『まちづくり』に加わることで、精神的には豊かに暮らせるのね」と、「友の会」の姿を語ります。
 デイケア、デイサービスでの送迎、講師、いたる所でのボランティア活動。利用者の声を代弁し、事業所にときに厳しい意見や、「この人の相談にのってほし い」と依頼も届けます。ニュース『元気』の手配り、班会、学習会、食事会、日帰り温泉旅行なども。

法人が援助 友の会が主役に
 道東勤医協は釧路市・根室市と13町村を医療圏とし、釧路協立病院(199床)を医療拠点とする法人。診療圏の市町村すべてに「友の会」支部をつくり、住民運動の主体者に成長させることを自らの課題に。
 介護保険の実施前には各地でのべ百回を超える学習会を開き「友の会」が住民と結びつき、自治体との交渉ができるよう援助しました。介護保険実施後もまち づくりを考え、改善要求をすすめました。こうして釧路社保協準備会が今年二月に、根室社保協準備会が三月に発足しました。
 「小さな町や村では、友の会支部が最大の組織でもあり、運動の中心になります」と、田中さんは白糠町や鶴居町の例をあげます。
 白糠町でも「介護保険と福祉・医療を考える会」が8月26日町当局と懇談。釧路市に比べ保険料減免の条件が厳しい、町民委員会を開くようになど、改善を求めました。
 鶴居村では28日「友の会」鶴居支部が町当局と懇談。施設を整備すると介護保険料が上がる矛盾が端的に現れ、年額7354円の値上げの試算を公表した鶴居村。「厚労省のダメ三原則に反しても、一般財政から繰り入れを」と要求。

役割大きい「友の会」声かければ増える
 道東勤医協友の会は8月末現在で32支部、会員4万3116人。人口比12%に迫ります。
 9月11日、「友の会」連合会の事務局会議が開かれました。強化月間の準備も議題に。「節目やセーノ週間を設けよう」「何を持ってどこに行くのか、たた かいの課題とどう結びつけるのか、具体的にしよう」「昨年、職員といっしょに地域で軒並み訪問をしたよね。今年もやろう」。会員1500人と『元気』50 部を増やす月間目標案を、役員会にはかることに。
 「友の会」鉄北支部の片山節子さんは「友の会員は声をかければ増えますよ。一時間も歩けば3人は増えます。協立病院にかかったことがある人もいっぱいいるし」と月間への意欲を語りました。

(民医連新聞2002年09月21日/1287号)

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