副作用モニター情報(薬・医薬品の情報)

2013年3月18日

副作用モニター情報〈390〉 メマンチン塩酸塩(メマリー錠)の副作用第2報

 メマンチン塩酸塩(メマリー錠)は、2011年6月に発売された、アルツハイマー型認知症における認知症症状の進行抑制剤です。ドネペジル(アリセプト)とは作用機序が異なります。2012年3月5日付本欄の副作用報告第1報以降、10例の報告が寄せられています。
症状は、四肢痙攣、攻撃性、異常興奮・妄想、活気がなくなる、ボーッとする、めまい、ふらつきなどでした。薬剤中止や減薬で対応、改善されています。
 なお、10例中7例がアリセプトに追加・併用されており、四肢痙攣、攻撃性、興奮は本剤5mgから10mgへの増量翌日から、3日程度で発現しています。また、めまい、ふらつきは投与4週未満での発現が多いことが、国内臨床試験で示されています。
 全日本民医連新薬モニターに寄せられた評価のうち、多くで指摘されているように、メマンチンは国内プラセボ対照試験で認知機能の指標では有意差が示され ましたが、全般的臨床症状の指標では有効性を示せませんでした。メーカーは全般的臨床症状のうち、有効性の評価項目として設定されていなかった「行動障 害・攻撃性の領域」においての効果を主張していましたが、副作用報告を見る限り、活気がなくなるなど抑制性の副作用とともに、攻撃性、異常興奮といった副 作用もみられます。メマンチンがアマンタジンと類似構造で、もともとドーパミン遊離促進作用を利用したパーキンソン症候群治療薬として開発された薬剤であ ることを示しています。
 また、本剤は腎排泄型です。国内臨床試験における転倒・転落の有害事象は、腎機能障害の「合併あり群」で18%、「合併なし群」で7%と解析されてお り、特に高齢者の服用が多いことからこの点も注意が必要です。

(民医連新聞 第1544号 2013年3月18日)

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