民医連新聞

2002年11月1日

ミコちゃんといしょにみる! 有事法制

ミコちゃんといっしょにみる! 有事法制

 元気印のミコちゃんの顔が最近ちょっとブルー…どうしたのミコちゃん?「アメリカがイラクを攻撃したがっ てる、というニュースのせい。やめさせたいけどブッシュ大統領は知りあいじゃないし、英語も話せない。どうしたらいい?」ですって。先生は「有事法制をつ くらせないことが大事」というけど。ミコちゃんといっしょに有事法制を考えます。

(編集部) 

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イラスト/前田あゆみ

あきらめてなかった 小泉首相
 有事法制は、アメリカがはじめる戦争に自衛隊が武力行使で参加、国民を戦争に強制動員する法律。「有事」かどうかの判断はアメリカが「有事(戦争状 態)」といえば従い、日本への直接の武力攻撃がなくても「攻撃されるおそれがある」とみなした場合まで含まれます。この法案の「有事」の意味は、「アメリ カの有事」。
 前回の通常国会では、国民世論の反対で法案成立をくい止めました。でも、小泉首相はまだまだあきらめてはいなかった! 先日からはじまった国会でも「有事法制に優先的にとりくみ、今国会で成立を」と発言しています。

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深いカンケイ
アメリカの戦争計画と日本
 
 ブッシュ大統領は昨年末「2002年は戦争の一年となる」と、びっくりするような発言をしました。イラン、イラク、北朝鮮を「悪の枢軸」と呼び、「武力行使を辞さない」と宣言し、世界中のヒンシュクをかったことも有名。
 そのアメリカが、頼りにしているのが日本の協力。「戦略上に重要なアメリカ軍基地」のランキング上位には日本にある基地が名を連ね、アーミテージ国務副長官がまとめた報告書(通称「アーミテージ報告」)には、「日本政府が『有事法制』を整備することが重要だという提言がしっかりと書き込まれている。

【資料】イラク攻撃、有事法案についての各種世論調査
朝日新聞(9月4日付)日本
アメリカのイラクへの軍事行動に賛成 14%
アメリカのイラクへの軍事行動に反対 77%
イラク攻撃に日本は協力したほうがいい 20%
イラク攻撃に日本は協力しないほうがいい 69%
アメリカの政策は世界の安全に良い影響 23%
アメリカの政策は世界の安全に悪い影響 50%
NHK(9月9日放送)
アメリカのイラク攻撃支持 29%
アメリカのイラク攻撃支持しない 58%
TBS ニュース23(8月15日)
有事法制で国民の自由が制限されても仕方がない 30.2%
有事法制で民の自由が制限されることに反対 59.8%

日本の世論は「アメリカに協力すべきでない」(資料)。なのに、首相を先頭に、必死で有事法制の動向を通そうとする裏には、アメリカからの強いプッシュがあったのね。有事法制の動向は、日本だけでなく世界の平和のカギを握っているのでは? みなさんはどう思いますか?

 私もあなたも戦争に…
 「国民と、国民の財産を戦争に動員する」という有事法制。戦争に使うための土地や建物をとりあげること、気象予報は極秘事項。メディアや交通の規制、携帯電話もメールも…と、私たちの生活すべてに統制がかかります。
 また、医療従事者も真っ先に動員の対象。「戦争に欠かせない分野の労働者」として…。ほかに、建設労働者、運転手、船員やパイロットの名があがっています。
 「もし『戦争に行け』と言われても、私行かない」と言う人には罰則が。
 つい最近も全国の知事会で、内閣官房が「国民保護法制(素案)」という有事法制の一つを示しました。有事の時の「避難・誘導」に加え、「社会秩序の維持」というアブない項目があって、違反者への罰則まで考えられてます。知事さんたちからも意見がでたそうですが。

***

 「戦争反対」だって言えなくなる。政府は「武力攻撃への対処のために国民の自由と権利に制限があってもよい」と言い切ってます。「公共の福祉に反しない限り、集会や報道の自由はある」と福田官房長官(五月一六日)公共の福祉とは戦争のことなのね…。
 有事法制、通ってからではマズい、と私・ミコちゃんははっきり実感。

(民医連新聞2002年11月1日/1291号)

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