副作用モニター情報(薬・医薬品の情報)

2013年12月2日

副作用モニター情報〈407〉 リバスチグミンパッチ、コリン作動性の副作用に注意!

 リバスチグミンパッチ(商品名:イクセロンパッチ、リバスタッチパッチ)はアルツハイマー病治療薬として2011年に発売されました。
 貼付剤で、拒薬のある患者にも投与しやすく、活用が広がっています。しかし、経口剤にならなかった背景には、臨床試験段階で重篤な有害事象(海外忍容性 試験で4例中3例に嘔吐、食欲低下、下痢、便失禁、イレウス、食道裂孔ヘルニア、逆流性誤飲性肺炎が出現、うち逆流性誤飲性肺炎の患者1人が死亡)がみら れ、試験中止になったいきさつがあります。
症例) イクセロンパッチ4.5mgから開始。開始当日のChE(コリンエステラーゼ)は 正常範囲、下痢なし。白色粘調痰+で吸引。翌日から胃ろうより半固形注入食開始。イクセロンパッチは1週間ごとに4.5mgずつ増量。4週目に18mgと なった。泥状便は時々見られたが、開始2カ月半後に排便回数が増え、泥状便から水様便になった。同時期、白色の唾液様痰がエンドレスに吸引されるようにな る。ChEはパッチ開始後下がり始め、1カ月後には100IU/L(正常値235-494)を切るようになった。下痢が続き、細菌性腸炎も疑われた。水様 便、気道分泌増加が認められたため、イクセロンパッチを18mgから9mgに減量。ChEは78から188に上昇し、排便回数は減少した。現在9mgで ChEはやや低値で推移しており、泥状便は続いている。

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 リバスチグミンパッチの添付文書では「原則として1カ月かけて4.5mgずつ増量し、18mgまで増量」となっています。症例では急激に増量していました。
 筆者の病院で調査したところ、リバスチグミンパッチは同じ作用機序のドネペジルに比べ、血液中のChEが大きく低下することがわかりました(承認時の審 査報告書でも用量依存的に低下し、18mgでは約40%低下と記載)。リバスチグミンパッチはアセチルコリンエステラーゼ(AchChE)だけではなく、 血中に多く存在するブチリルコリンエステラーゼ(BuChE)も阻害するのが特徴です。血中のChEの大幅な低下は各器官での低下を必ずしも反映していま せんし、重篤なコリンクリーゼに直結するわけではありませんが、他のAZD薬に比べ末梢での作用が強い可能性があります。
 リバスチグミンパッチ使用時は増量を慎重に行い、コリン作動性の副作用に注意し、徐脈、下痢、誤嚥性肺炎などの有害事象が発現した場合は減量、中止も考慮する必要があります。

(民医連新聞 第1561号 2013年12月2日)

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