民医連新聞

2002年12月1日

連載6 私たちの医療宣言 「宣言づくり」/ 経験、悩み出し合った/ 奈良民医連教育委員会 管理者会議より

 11月12日、奈良民医連教育委員会主催で、管理者研修会を開催し、各事業所の部門責任者を中心に87人が参加しました。同県連の管理者研修会は、年2回実施され、今回は「医療・福祉宣言づくり」がメインテーマ。その模様をレポートします。

(汐満忍記者)

 澤山浩県連教育委員長(おかたに病院事務長)のあいさつの後、全日本民医連の長瀬文雄事務局長が、「民医連の医療・福祉宣言づくりと職場管理者の役割」と題して講演を行いました。
 長瀬事務局長は冒頭「今日の時代は、激動・激変の時代であり、平和と人権が激しく問われている」とし「同時に困難な情勢の中で、私たちの組織の存在意義 が問われている。自らの組織の存在意義を確認する作業が必要になっている。私たち民医連の院所が、何のために存在するのか、その存在意義は何かを自ら問い かけよう」と、10月1日以降の在宅酸素の患者さんの状況や、昨年1月「差額ベッド代を徴収しない病院」として報道された例をあげ、「今こそ民医連スピ リットを発揮しよう」と呼びかけました。

借り物でない「宣言」づくり
 長瀬事務局長は、「来年の第2回評議員会までに、全国1600の事業所すべてで作成を」と提起している「医療・福祉宣言」づくりについてふれました。
 まず、2月に開催した全日本民医連の総会方針を、自分の県連、法人、院所、職種・職場に引き寄せ、「自分の言葉で語ろう」と呼びかけた今春の学習月間に ついてふれ、「『宣言』も内外に対し自らの主張や考えを表明するものであり、事業所の成り立ちをふり返る作業をしながら、借り物でない自分たちの『宣言』 づくりを」と強調しました。
 また、この間「民医連新聞」に掲載された全国各地の「宣言」づくりの経験を紹介。県連内の全事業所・職場で「宣言」を完成させ、それを通じて、仕事のあ り方を見つめ直した秋田民医連。文章化できた時、「あれだけの思いがたったこれだけの文章に」と思いながらも、「宣言」づくりの最大の目的が文章にするこ とだけでなく、職場の中で自分たちの価値観や看護観を出し合い認め合うプロセスだ、と確信した兵庫の訪問看護ステーションの経験。この二つの経験などか ら、「『宣言』づくりは、人づくり、職場づくり。職場の管理者が先頭となってすすめよう」とのべました。

まず、自分の「宣言」のイメージを語ることが大切
 県連内の各法人から、吉田病院、おかたに病院、土庫病院の「宣言」文や作成状況の報告を受けた後、参加者は一〇班に分かれて討論を行いました。テーマ は、講義を受けての感想の他、「宣言」づくりにあたって、自分たちの院所の状況や経験、悩みなどを出し合いました。
 講義や討論を通じて、「『宣言』づくりのプロセスが大事」「院所の歴史を学んで若い職員にも関わってもらおう」「肩肘はらず日ごろがんばっていることを 素直に表現しよう」「出来た『宣言』をもう一度見直そう」などの意見が出されました。
 その一方で、現場の業務の厳しさや中間管理職ならではの悩みも出されました。「業務が忙しく、スタッフが集まれない」といった意見は10班すべてから出 されました。また「出来ない事を『宣言』に盛り込むべきか」「非常勤の職員にはどう働きかけたらよいのか」なども出されました。
 討論や質問に応えた長瀬事務局長は、「『宣言』をつくりあげた事業所ではみな『つくって良かった』が共通の感想。リーダーシップとは、心に火をともし団 扇で扇いでまわること。まずは自分のイメージを語ることが大切」「職場の水準は職場管理者の『姿勢』で決まる。組織風土は組織文化をつくります。がんばり ましょう」とまとめました。
 参加者からは、「『宣言』をつくるうえで、意味、動機を明確にしていくことがもっとも大切な部分であると感じた。『宣言』づくりは自分を見直すよい作業であると思う。職場に帰ってがんばってみたい」と感想をのべました。

(民医連新聞2002年12月1日/1294号)

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