Dr.小池の世直し奮戦記

2014年8月1日

Dr.小池の世直し奮戦記/介護保険大改悪を押し返そう/──医療・介護総合法の強行を受けて

 医療・介護総合法が可決・成立しました。介護保険法や医療法制定以来の大改悪にもかかわらず、審議はきわめて不十分でした。

説明を「撤回」したのに強行

 参議院では、介護保険利用料二倍化の論拠が完全に崩壊しました。
 政府は、引き上げの対象となる年金収入二八〇万円の世帯について、“平均的な消費支出をしても年間六〇万円が余るから、二割負担は可能だ”と言い、これ を唯一の論拠にしていました。しかしデータに誤りがありました。私が誤りを追及すると、政府は答弁不能になり、「六〇万円余る」との説明を撤回、大臣も 「反省している」と述べたのです。それでも、自民・公明は採決を強行してしまいました。
 要支援者の訪問・通所介護を保険給付からはずすことについても、大きな問題点が明らかになりました。政府は“自治体の地域支援事業に移行し、適切なサー ビスが維持される”と説明しましたが、今回の改悪では要支援者への給付費自然増が約二%抑制されます。二〇三五年度には、二六〇〇億円もの給付抑制に。介 護サービスが量・質ともに低下させられることは明白です。

特養の入所制限にも道理なし

 特別養護老人ホームへの入所対象も要介護3以上に限定されてしまいましたが、五二万人の特養待機者のうち一七万八〇〇〇人は「要介護1・2」です。
 現在でも要介護1・2の方々は、入所待ちの行列に並んでも後回しにされていますが、今後は行列に並ぶことすら許されなくなります。
 今回の法案では、これだけ多くの方々の特養入所の権利を奪いながら、代わりの施設計画は一切示されませんでした。
 こんな改悪には、何の道理もありません。このままでは都市部を中心に「介護難民化」「老人漂流社会」は、いっそう深刻にならざるをえないでしょう。

社会保障削減路線への大転換

 あきれたことに、六月末に閣議決定された「骨太の方針2014」は、法人税減税のために、社会保障の自然増を抑制するとまでうたっています。小泉政権時代の「社会保障の自然増二二〇〇億円抑制路線」が、完全復活しつつあるのです。
 「社会保障のためだから」と消費税を増税したのに、社会保障の拡充を求めると「財源不足」を口実に拒否。そして舌の根も乾かないうちに法人税減税に走り 出し、その財源は社会保障の削減でまかなうなんて、これほど身勝手で無責任な政治が許されるでしょうか。
 今のような社会保障大削減路線を推進していけば、医療崩壊・介護難民の事態が、いっそう大規模に進行するでしょう。しかしこの路線は、かつて国民から厳 しい批判を浴び、自民党政権の崩壊・下野をもたらした道です。再び同じ道を進み始めた自民党・公明党に、いずれ国民から厳しい審判が下されることは間違い ありません。
 国会周辺を五〇〇〇人が包囲した「4・24ヒューマン・チェーン」をはじめ、国会閉会間際まで政府・与党を追いつめた国会内外のたたかいは、今後に必ず 生きます。医療・介護改悪の具体化を地域から押しもどし、憲法二五条の生存権保障を全面的に実現する改革をめざして奮闘する決意です。

いつでも元気 2014.8 No.274

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