民医連新聞

2014年9月1日

だから安保はいらない (11)疑問に答えて(2) 安保やめると孤立する?

 読者からの疑問に答えて、第二弾です。「米国と仲良くしないと不安」「安保をやめれば、世界から孤立するのではないか」との質問がありました。
 安保(日米安全保障条約)は、“安全保障”に名を借りた軍事同盟です。この条約が締結された一九六〇年当時、軍事同盟加盟国の人口は世界の六七%を占め ました。ところが、その多くが解体や機能停止に陥り、現在は一六%まで減少。アジアで機能している軍事同盟は日米安保と、米韓、米豪の三つに過ぎず、もは や少数派です()。
 たとえば、米国が東南アジアを支配するためにつくった東南アジア条約機構は、ベトナム戦争に敗北し七七年に解散しました。ソ連に対抗すべく、中東地域に つくられた中央条約機構は、七九年のイラン革命で終わりました。
 また、米国がオーストラリア、ニュージーランドと結んだ安全保障条約は、ニュージーランドが核兵器搭載艦艇の寄港を拒否したため八五年に機能停止。米国 が中南米を支配する枠組みだった米州相互条約も、南米の政治変革で機能を停止しています。旧ソ連と東欧諸国で構成されていたワルシャワ条約機構は、ソ連の 崩壊で解体しました。

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広がる平和共同体

 軍事同盟が解体する一方、世界には平和共同体が広がっています。シンガポール、インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイの五カ国で、一九六七年に結成されたASEAN(東南アジア諸国連合)は、「紛争を戦争に発展させない」ために多角的な信頼関係を構築しています。
 ASEANの提唱でできたTAC(東南アジア友好協力条約)は「平和・自由・中立地帯宣言」を具体化するもので、五七カ国と世界の人口の七二%が参加。 最近、インドネシアがインド太平洋規模でTACと同じような条約を締結する構想を提起しています。
 ラテンアメリカ・カリブ諸国共同体には、米国、カナダ以外の南北米大陸三三カ国が参加、ASEANと同じく平和共同体に発展しています。このほか、アパ ルトヘイト撤廃後にアフリカ統一機構から発展したアフリカ連合や、二七カ国、約五億人を抱えるヨーロッパ連合(EU)も域内の平和と信頼醸成に努めていま す。
 このような流れを受け、大国の外交政策も変化しています。米国は昨年八月、化学兵器の使用を理由に、いったんはシリアへの攻撃を宣言しましたが、反対世 論で国連による解決という方法をとらざるを得ませんでした。ロシアによるクリミア併合問題でも、世界各国は武力でなく、外交交渉での紛争解決を模索してい ます。
 日本にも軍事同盟=安保条約=抑止力との考えから脱却し、中国や北朝鮮を含めた北東アジアの平和共同体をつくることが求められています。日本がその一員になれば、軍事同盟が不要であることを体感できるでしょう。

(安保破棄中央実行委員会)

(民医連新聞 第1579号 2014年9月1日)

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