健康・病気・薬

2014年11月3日

副作用モニター情報〈426〉 PTH類似骨粗鬆症用注射剤

 骨粗鬆症に使用する薬剤は、ここ数年で、ビスホスホネート系の注射剤、RANKL (receptor activator of nuclear factor-κβ ligand)阻害剤、そしてカルシウム(Ca)の挙動をコント ロールする副甲状腺ホルモン(パラソルモン・PTH)類似の注射剤などが次々と登場し、様変わりしています。
 今回はそのうち、PTHに関連する2製品について、当モニターに寄せられた副作用の傾向を紹介します。
フォルテオ(R)
(一般名:テリパラチド)
 腎・泌尿器関連の症状では、腎障害、頻尿、尿酸値上昇が各2例、腎結石、むくみが各1例。循環器系では、血圧が高い、胸の苦しさ、動悸が各1例。消化器 系では、悪心、吐き気が各2例、下痢、食欲低下が各1例。精神神経系では、頭痛3例、脱力感(倦怠感)2例、めまい、見づらい、舌のしびれ、憂鬱が各1 例。その他、胸腹部痛が1例。また、腎機能が徐々に低下していく傾向が24週の投与を終了した症例で出現していました。
テリボン皮下注用(R)
(一般名:テリパラチド酢酸塩)
 循環器系では頻脈2例、血圧低下1例。消化器系では嘔吐、吐き気、食欲低下が各1例。その他、倦怠感2例、発熱1例。

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 一部の症状について考察を試みました。
 PTHは、血液中のCa濃度を高めるために、まず腎臓でCaの再吸収を促進し、それでも足りない時には骨からCaを動員します。PTHの反復投与を行う と、PTHの消失が速いため骨からはCaが動員されない一方で、腎臓は繰り返しCa再吸収の負荷を強いられて徐々に機能が低下、その上、内部のCa濃度が 高まって、Caが溶解しきれずに結石する、と説明が可能です。心筋においてはPTHは陽変力作用(収縮力の増強)を誘導するため、当然、酸素需要が増加し ます。結果、狭心症症状が出ても不思議ではありません。頻脈の出現も理解できます。
 まだ使用経験の浅い薬剤ですので、注意深く観察を行い、治験データの基準となっている24週投与終了時に症例をまとめるなど、薬剤の正体を見極められるよう、使用後評価にとりくんでみませんか?

(民医連新聞 第1583号 2014年11月3日)

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