健康・病気・薬

2014年11月17日

副作用モニター情報〈427〉 アルツハイマー型認知症治療薬 メマリーによる意識障害・異常行動

 メマリーはNMDA受容体拮抗作用により受容体内のカルシウムイオン流入を抑え、グルタミン酸受容体のひとつであるNMDA受容体の活性を抑える新しいタイプの認知症治療薬です。当モニターに、メマリーによる意識障害・異常行動などの副作用が寄せられています。
 症例1)メマリーを5mg→10mgに増量したところ、翌日から意識障害が起き、転倒した。また震えがひどいため、メマリーを中止したところ、症状は改善した。
 症例2)メマリーを服用し始めてから、奇声をあげ、ふらふらして歩けなくなった。また、動いている車から飛び降りることも起きた。いったんメマリーを中 止するも、症状が落ち着いたので服用を再開。再び同じような症状が出たため、中止した。

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 メマリーの添付文書には、副作用としての「異常行動」の記載はありませんが、「精神症状(激越状態、幻覚、錯乱等)があらわれることがある」とされています。メーカーは、実際に重篤な異常行動が4例起きたと報告しています。
 メマリーは腎排泄型の薬剤であるため、中等度以上の腎障害(クレアチニンクリアランス50未満)の患者さんが服用した場合、薬剤が蓄積する可能性があります(AUCの数値は腎機能正常者の2倍)。
 メマリーは1日1回5mgから開始し、1週間に5mgずつ増量し維持量として1日1回20mgとするように添付文書に記載されています。急性期疾患での 入院などの事情で服薬を中止した場合にも、再開する際は、意識障害や異常行動、激越状態などを防ぐため、徐々に増量するように注意しましょう。

(民医連新聞 第1584号 2014年11月17日)

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