副作用モニター情報(薬・医薬品の情報)

2010年2月16日

副作用モニター情報〈326〉 セレコキシブ(非ステロイド系消炎鎮痛剤)の血栓塞栓性副作用に注意を

 セレコックス錠(R)(セレコキシブ)は、COX(シクロオキシゲナーゼ)-2選択的阻害作用を持つ非ステロイド系消炎鎮痛剤です。効能は関節リウマチ及び変形性関節症、腰痛症、肩関節周囲炎、頸肩腕症候群、腱・腱鞘炎で、おもに整形外科領域で使用されています。
 当副作用モニターには、2008年度から2009年度上半期までに11症例が報告されました。内容は、発疹などの皮膚過敏症状が6件、肝機能障害2件、 嘔気1件、便秘1件、白血球減少1件、動悸1件でした。
 COX-1は、胃粘膜保護(PGE2やPGI2を産生して、胃粘膜の血流を維持し、粘液産生を増加させる)、血小板凝集の抑制や促進(PGI2、 TXA2の産生)、腎血流量の増加などの、生理機能の維持に関与しています。COX-2は炎症細胞に一過性に発現すると言われています。
 セレコキシブは、COX-1よりCOX-2を選択的に阻害するため、消化管障害の少ない抗炎症鎮痛剤として発売されました。その後、外国で「長期の使用 で重篤な心血管障害の発症リスクを高める」という報告がなされたため、警告が添付文書に記載されました。内容は「外国において、COX-2選択的阻害剤等 の投与により、心筋梗塞、脳卒中等の重篤で場合によっては致命的な心血管系血栓塞栓性事象のリスクを増大させる可能性があり、これらのリスクは使用期間と ともに増大する可能性があると報告されている」というものです。
 当副作用モニター報告には今回、心血管系の副作用はありませんでしたが、症例の背景をみると、心房細動、狭心症、多発性脳梗塞などの疾患をもつ患者が 11症例中3例ありました。年齢分布も50代1人、70代4人、80代5人、90代1人と高齢者が大多数でした。
 セレコキシブの長期使用での安全性は確立していません。効果判定を迅速にし、漫然と長期に使用しないよう注意し、心血管系の副作用についてチェックが必 要です。

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