事業所のある風景

2015年11月16日

民医連事業所のある風景 静岡/米山町クリニック/地域における運動の拠点に

 米山町クリニックは、東日本大震災直後の2011年4月4日に開院されました。法人としては実に32年ぶりの診療所です。当地で開業されていた医院の閉院を受け、実質2カ月半余りの準備となり、法人内部での位置づけの不十分さ、計画停電、スタッフ決定の遅れ、医療構想など、さまざまな困難な状況がありましたが、沼津市での民医連の旗を掲げて4年7カ月が経過しました。

民医連医療への期待のなかで

 沼津市は静岡県東部の東駿河湾に面し、県下で最長の60キロの海岸線を有する人口20万の中心市です。近年は駿河湾の新鮮な魚介などを求め、沼津港や深海水族館などに多くの観光客が訪れています。当市は古くは歌川広重の東海道絵図にも描かれた古い宿場町です。
 クリニックは駅北1キロほどの準商業地域にあります。圏内には5つの高校や県立聴覚・視覚支援学校などがあり、教育地域ともなっています。また近くには県総合庁舎や税務署、法務局などの官庁もあります。市内人口が徐々に減少するなかで、圏内には維持もしくは増加する所もあり、民医連の医療活動の充実を期待しうる地域です。
 1970年代初め、地元看護学校卒業生や市民有志らによって民医連運動が始まり、1975年「民主診療所建設の会」が発足、1978年9月、隣市に民医連として県内2番目の三島共立診療所が開設されました。その後82床の病院化が図られ、現在に至っています。
 県の人口370万を考えると、民医連の1病院4診療所は決して十分な状況ではありません。

在宅医療を重視してきて…

 当クリニックは人的にも設備的にも小規模施設です。小回りの利く医療、外に向けた医療、つまり在宅医療を重視してとりくんできました。4年半で在宅患者は190人に達し、のべ30人余りのケアマネジャーをはじめ、市内全ての訪問看護ステーションとも連携を図ってきました。最近では近隣の病院や医院からの紹介も増えています。研修医のクリニック研修も積極的に受け入れ、民医連医療の一端が共有できることを願っています。
 毎年7月、東日本大震災復興、原発再稼働反対を掲げ、ささやかですが、七夕のゆうべを開いています。
 今後、浜岡原発廃炉や、平和、社会保障運動などで、地域における拠点をめざしていきます。また、5年目のなかで、市内唯一の民医連事業所であり、今後の医療・介護の展開を含め、中期的な計画を検討していきたいと考えています。 
米山町クリニック 所長 櫻井 正美)

「民医連院所のある風景」 『民医連医療』2015年12月号.No.520より

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