健康・病気・薬

2015年12月25日

【声明2015.12.25】国・厚労省は、化血研の血液製剤不正を生み出した これまでの行政のあり方を反省し、再発防止を急げ

2015年12月25日
全日本民主医療機関連合会
会 長    藤末 衛

 「化学及血清療法研究所」(化血研/熊本市)の不正は約40年前から組織的に行われていたことが第三者委員会報告書により明らかになった。報告書ではこの不正は、血液製剤12製品すべてで行われ、 虚偽の製造記録を作成するなど「常軌を逸した隠ぺい工作」と断罪している。
 組織ぐるみの犯罪が長期にわたって行われていたことは、製薬企業と国・行政の医薬品に対する安 全性の確保という第一義の視点が欠落しており、馴れ合い体質に陥っていると言わざるを得ない。
 血液製剤・ワクチンによる惨禍が繰り返されてきた日本の保健医療行政のあり方は、今回の発覚で 今もなお根深い問題として何ら解決されていないことを明らかにした。医療の現場で何よりも優先す べきものは安全性の確保と同じ過ちを繰り返させない取り組みである。
 1989年阪大微生物病研究会が未承認の方法で製造した「おたふくかぜワクチン」では1800人に副作用被害が生じ5人が死亡するという痛ましい事態が発生した。しかし、厚労省が使用中止 を通知したのは在庫がなくなった1993年のことである。薬害エイズでは、1980年代の非加熱血 液製剤を販売し続けたミドリ十字と化血研、並びに国が断罪された。厚労省の中庭には、下記の 誓いの碑が建立されている。

誓いの碑

 命の尊さを心に刻みサリドマイド、スモン、HIV感染 のような医薬品による悲惨な被害を再び発生させることの ないよう医薬品の安全性・有効性の確保に最善の努力を重 ねていくことをここに銘記する
 千数百名もの感染者を出した「薬害エイズ」事件
 このような事件の発生を反省しこの碑を建立した

平成11年8月 厚生省

 全日本民医連は、改めて、今回の不正に対する国・行政の責任の所在を明らかにするとともに 製薬企業、特に、ワクチン・血液製剤を供給する製薬企業の安全性の確保を第一義にした取り組 みを強く要求する。
 また、この間の化血研のワクチン、血液製剤の出荷停止により医療現場は大きく混乱している。こ れはワクチン、血液製剤の製造が数社に寡占化されていることに原因がある。国民の生命、健康を守 る医薬品の安定供給を保障するために、特にワクチン、血液製剤の製薬メーカーの寡占化を解消する ための業界への指導強化を厚労省に求める。

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