健康・病気・薬

2016年6月7日

副作用モニター情報〈459〉 抗不整脈剤アミオダロンによる間質性肺炎

 抗不整脈剤アミオダロン(先発品名:アンカロン)は、二次救命処置ACLS(Advanced Cardiovascular Life Support)で扱う「基本的な薬剤」として位置づけられ、処方件数が増えている薬剤です。けれども、最終的には間質性肺炎や肺線維症などの肺障害を発症して死に至る可能性が高いため、毒薬に指定され、副作用被害救済制度の対象ではないという現状です。
 間質性肺炎は、肺胞の「間質」と呼ばれるスポンジ様の構造壁が炎症などで変性した結果、取り込んだ酸素を血液に受け渡す能力が低下し、呼吸困難になる疾患です。肺線維症は、病状が進行して間質にコラーゲンが沈着、肺の機能は不可逆的に障害を受けます。当モニターには、アミオダロン投与後に肺線維症を含む薬剤性肺炎を発症した症例が18例、間質性肺炎のマーカーのKL-6の上昇が1例報告されています。
 発症期間は、確認できた範囲で、2週、9週、5カ月2例、6カ月3例、9カ月2例、14カ月、38カ月、42カ月2例、でした。投与開始から半年以降に注意が必要ですが、たった2週間の投与でも発症しているので油断できません。血しょうからの消失半減期が19~53日と極めて長いにもかかわらず、アミオダロンの中止およびステロイド投与1~2週で軽快していることに加え、リンパ球幼若化試験(DLST)陽性例もあることから、発症の仕組みはアレルギーと同様に考えても矛盾はしないでしょう。
 薬剤の位置づけとしては、添付文書で「他の抗不整脈薬が無効か、または副作用により使用できない致死的不整脈患者にのみ使用すること」と警告されている、限られた患者向けの薬剤です。できるだけ入院中に危険性をていねいに説明し、同意を得てから投与することが必要です。投与中は間質性肺炎を見逃さないこと、また、発症した場合は速やかに免疫抑制剤による治療を開始するなど、慎重に使用して下さい。

(民医連新聞 第1621号 2016年6月6日)

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