健康・病気・薬

2017年4月18日

副作用モニター情報〈476〉 過活動膀胱治療剤ミラベグロンによる徐脈頻脈症候群

 2011年9月16日、過活動膀胱治療薬のミラベグロン(商品名:ベタニス錠)が発売されました。適応は「過活動膀胱における尿意切迫、頻尿及び切迫性尿失禁」、用法・用量は「成人に1日1回食後に50mg経口投与」です。
 人間は正常であれば、尿が一定以上に貯まると尿意を感じ、膀胱の筋肉が収縮することで排尿します。過活動膀胱(OAB)とは、この排尿システムの中で膀胱が敏感になり、おしっこが貯めにくい、がまんが効かない、急に膀胱が収縮して失禁してしまう病気です。
 これまで、過活動膀胱治療薬といえば、アセチルコリン拮抗薬でした。同剤の作用は、簡単に言えば、消化管や膀胱の活動を抑える事です。
 一方でミラベグロンは、アドレナリンβ3作動薬です。これまで代表的なアドレナリン作用といえば、β1作用=心筋収縮力増大、β2作用=平滑筋弛緩(気管支拡張作用など)とされてきました。ミラベグロンは、それ以外のアドレナリンβ3作用によって膀胱の蓄尿作用を高め、過活動膀胱を抑えられるとされています。
 しかし、これが膀胱だけに働けばいいのですが、どうしてもβ1、2作用も少し残ってしまいます。それらが特に循環器系に作用した場合、副作用が発現するのです。
症例)80代、女性。過活動膀胱症状あり、泌尿器科を受診。ベタニス50mg開始。開始6カ月目、症状軽減で50mgから25mgに変更。開始1年6カ月目、心症状あり受診。頻脈の自然停止時に、心臓を動かす信号が止まる洞停止もあり。徐脈頻脈症候群で入院となる。ベタニス中止。14日間入院し症状軽快、退院。
 このように、重い副作用になると、入院が必要になります。徐脈頻脈症候群とは、先行する頻脈があり、それが止まったと思ったら洞停止を起こし、めまいや、場合によっては失神してしまいます。心房細動に伴って起こる場合が多いですが、薬剤の副作用でも発現します。注意しましょう。

(民医連新聞 第1642号 2017年4月17日)

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