事業所のある風景

2017年12月15日

民医連事業所のある風景 奈良/大福診療所 地域に寄り添える診療所をめざして

大福診療所の前身

 岩波新書から出版された『部落の女医』小林綾著(現在は絶版)にあるように、大福診療所の前身は、平和会・吉田病院(奈良市)から派遣される週1回の移動診療でした。当時、医学部を卒業したばかりの小林綾医師が担当でしたが、患者の経過がわからず心配だという思いから大福の地に住み込み、診療にあたることとなりました。
 当初は区長の蔵を間借りして診療を行っていましたが、1951年、念願の大福香久山診療所開設となりました。村の方々が世話人となり、相談・協力しながら村の診療所を第一線で支えてこられました。
 警察からの弾圧、医師不足、赤字経営とさまざまな苦難を乗り越え、1999年、医療法人(現社会医療法人)健生会と法人合併しました。併設型デイサービス「どんぐり」は2014年に「シュエット」として、リニューアルした診療所とともに再出発しました。今も昔も変わらず、さまざまな健康問題に継続的に関わりながら、地域住民の生活に寄り添った診療所をめざして活動を続けています。

リハビリに特化したデイケア「シュエット」

 地域の方々やケアマネジャーから要望が強かったリハビリに特化したデイケアを提供しています。レッドコードや複数のマシンを用い、半日単位で運営しています。複数配置された理学療法士は、個々の利用者の状況に応じた個別ケアにとりくみ、時には自宅でできる運動を紙に書くなどしながらこまやかに指導しています。訪問リハビリと連携し、その人にあったリハビリを提供、いかに元気で地域で暮らしてもらうかをモットーにがんばっています。

総合診療の魅力を発信

 1年の半分は学生や研修医がきてくれる診療所です。医師を中心に日々の外来や在宅を通して総合診療の魅力を発信し続けています。診療現場に関わる多職種、ケアマネジャー、訪問リハビリ同行、通所リハビリ、調剤薬局、在宅診療での他事業所との連携等を経験するなかで、患者一人をさまざまな職種が支えていることを知り、いかに連携が重要であるかについて学びます。教育を通じてスタッフが気づかされることも多く、日々勉強になっています。

地域活動を通したヘルスプロモーションの推進

 診療所にはさまざまな人が来院します。持ち込まれる問題も、風邪や高血圧、腰や膝の痛み、ヤケド、湿疹、不眠など実にさまざまです。家族の問題や経済的な側面も背景に隠れた重要な視点であることも少なくなく、生活相談も重要な役割の一つです。
地域のつながりの重要性が見直されるなか、地区ケア会議や地域活動を通したヘルスプロモーションの推進を引き続き実践していきたいと思います。
 赤ちゃんからお年寄り、親子何世代にもわたってかかれる、地域に寄り添った診療所になれるようがんばっていきたいと思います。
大福診療所所長  朝倉  健太郎)

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