副作用モニター情報(薬・医薬品の情報)

2018年1月23日

副作用モニター情報〈490〉 腎機能障害のある患者さんへの薬剤投与について

 日本の医薬品の添付文書では、腎機能低下時の投与方法について、通常、腎機能を推定する検査値のクレアチニンクリアランスを基準に記載されています。例えば、心房細動に対する薬剤のイグザレルト錠の投与量は、一般的には1日15mgであるのに対して、腎機能低下時には「クレアチニンクリアランス30~49mL/minの患者には、10mgを1日1回投与する」と減量指示があります。
 ところが、クレアチニンクリアランスは簡単には測れません。そこで、Cockcroft-Gault計算式による推定値を指標にしています。
 最近は、日本腎臓学会のeGFR式を使った腎臓機能評価が使われるようになりました。eGFRとクレアチニンクリアランスが混同して考えられる事があるため、注意点を述べます。
例)85歳、女性、体重38kg、血清クレアチニン値1.17mg/dL(身長150cm)の患者さんの、計算上のクレアチニンクリアランス値は、23mL/min。計算上のeGFR値は34mL/min/1.73平方メートル
 数値だけで見ると、23と34で、腎臓機能が1.5倍も違うような値が出ます。eGFR値で見ると、腎臓機能を過大に評価してしまいます。上記イグザレルトで考えてみると、クレアチニンクリアランス15~29mL/minでは「有効性及び安全性は確立していない」範囲です。
 なぜ、このような差が出るかというと、eGFR値は体表面積1.73平方メートルの人に平準化して表示するからです。試しに、上記患者さんの体表面積を計算してみると、1.27平方メートルしかありません。この数値で補正すると34×1.27÷1.73=24.9と、クレアチニンクリアランスに近くなります。
 腎機能の評価はeGFR値で行うことが多くなってきましたが、欧米で使われる基準のため、日本では実際の体表面積より多く計算されがちです。その点に注意する事が必要です。

(民医連新聞 第1660号 2018年1月22日)

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