副作用モニター情報(薬・医薬品の情報)

2018年2月6日

副作用モニター情報〈491〉 睡眠剤ベルソムラの副作用 第3報

 スボレキサント(商品名:ベルソムラ錠)は、オレキシン受容体拮抗作用を持つ新規睡眠剤です。これまで「悪夢」の報告が多いこと、米国では翌日への持ち越しを懸念し、開始用量を日本より少ない10mgに設定していることなどを報告しました(2016年4月4日付、17年5月1日付)。現在、当モニターには全35件中、「悪夢・睡眠時幻覚」など10件、「傾眠」5件、「頭痛」5件が報告されています。市販直後調査でも全報告1427件中、「傾眠」201件、「悪夢」148件、「中期不眠症」92件、「頭痛」79件と同様の結果です。
 オレキシンは、脳内の覚醒システムであるモノアミン/コリン作動性ニューロンを活性化します。ベルソムラはその働きを阻害し、睡眠システムであるGABA作動性ニューロンの働きを相対的に強めることで睡眠作用を発揮します。強い眠気を引き起こすナルコプレシーという疾患がありますが、これは脳脊髄液オレキシン濃度が低く、覚醒状態からノンレム睡眠を経ずにいきなりレム睡眠に移行する異常が見られることがあり、ベルソムラによる悪夢の発生も同じようなしくみになっている可能性があります。
 頭痛については、片頭痛患者では血漿オレキシン濃度が低く発作を起こしやすい身体状態であることを示唆する研究があります。一方、「オレキシン受容体を抑制すると神経原性血管拡張などの片頭痛発生に関わる事象を全て抑制した」という結果から、オレキシン受容体抑制剤を片頭痛発作予防薬として有望視する研究もあり、まだまだ未解明です。ただ、他の睡眠剤との添付文書比較でも頭痛はベルソムラが3.9%、ロゼレムが1.0%、マイスリーが2.8%と多い傾向にあり、モニター報告5件中3件は初回服用後30分あるいは翌朝に発生しています。投薬時の指導が必要です。

(民医連新聞 第1661号 2018年2月5日)

副作用モニター情報履歴一覧

お役立コンテンツ

▲ページTOPへ