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2018年6月19日

全日本民医連が記者発表 「長時間労働が健康を阻害」 ―若年2型糖尿病調査から―

 全日本民医連は六月八日に記者発表を行い、二〇一二~一三年に行った「暮らし、仕事と四〇歳以下2型糖尿病についての研究」をもとに「働き方と糖尿病」について検討した結果を発表しました。
 根岸京田副会長は、「働き方による健康被害の広がりに警鐘を鳴らしたい」とあいさつ。
 莇也寸志(あざみやすし)医師(石川・城北病院)が「働き方と糖尿病の関係」について報告。男性労働者(三五二人)では、HbA1c値が一年後に七%以上(不良)になる頻度は、週労働時間三五時間未満の労働者と比べて六〇時間以上の労働者は二・九二倍にのぼると指摘。週六〇時間以上の労働時間は「過労死ライン」の月八〇時間以上の残業と同等で、糖尿病の療養にも影響しています。「管理職も一般職も、長時間労働の影響を受けていた。長時間の労働をさせない政策が必要だ」と強調しました。
 舟越光彦医師(福岡・千鳥橋病院)は、「日本の若年成人における、社会経済状態と糖尿合併症との関連」について報告。「教育」「収入」「医療保険の種類」「雇用状態」の社会経済状況と2型糖尿病の合併症(網膜症、腎症)の関連について検討した結果、糖尿病網膜症の発症が大卒を一とした場合、中卒だと一・九二にのぼり、糖尿病腎症の発症は正規労働者を一とすると非正規では二・八三にのぼるとの結果を紹介しました。舟越医師は、「高等教育を受ける環境整備、人間らしい生活ができる収入の保証、安定した雇用形態など、社会で解決する必要がある」とまとめました。
 最後に岸本啓介事務局長は、国会で審議中の「働き方改革」法案に触れ、「長時間労働を固定し、過労死ラインまで働かせることを可能にする法案を通せば、重症の健康被害が広がる。医療の側面から見ても、この法案は廃案にしなければならない」と訴えました。

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 全日本民医連は四〇歳以下2型糖尿病に関する追跡調査を実施します。対象の事業所に参加を呼びかけています。

(民医連新聞 第1670号 2018年6月18日)

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