副作用モニター情報(薬・医薬品の情報)

2018年9月18日

副作用モニター情報〈503〉 乾癬(かんせん)治療薬アプレミラスト錠による副作用

 アプレミラスト錠(商品名:オテズラ錠)は、局所療法で効果が不十分な尋常性乾癬、関節性乾癬を適応症とし、2017年2月に薬価収載されました。経口製剤としては25年ぶりの発売です。今回初めて帯状疱疹と湿疹の報告がありました。

症例1)60代後半男性。併用薬:アジルバ、ファモチジン、テルペランなど。本剤10mgより開始。規定通り漸増し、6日後から1回30mg1日2回投与。
開始14日目:吐き気、下痢あるも継続。
開始22日目:数日前より皮膚が痛痒くなり受診したところ帯状疱疹と診断。本剤中止し、バラシクロビル、アラセナ軟膏、メコバラミン処方。
中止6日目:症状回復し、1日1回30mgから再開。

症例2)70代後半男性 併用薬:デルモベート軟膏、ドボネックス軟膏、アルファカルシドール、アレンドロン酸など。ネオーラル(50)2→1カプセルに減量し本剤開始、規定通り漸増。
開始14日目:ネオーラル中止し、本剤1回30mg1日2回で継続。皮膚症状は改善傾向。
開始35日目:腹部を中心に湿疹を訴え、本剤中止しネオーラルに戻す。中止後14日で湿疹は改善。

* * *

 乾癬の病態形成にはTNF-α、IL-23、IL-17等の炎症性サイトカインがかかわります。本剤は、ホスホジエステラーゼ(PDE4)という酵素を阻害して、免疫細胞からこれらサイトカイン発生を抑制します。ステロイド、ビタミンD3誘導体外用薬や免疫抑制剤、抗体製剤に続く新たな選択肢になります。
 今回の感染症や過敏は重大な副作用に位置づけられ、市販直後調査結果(6カ月)でも、帯状疱疹4件、蜂巣炎4件、上気道感染症3件、皮膚組織障害61件の報告がありました。特に高齢者は非高齢者に比べ本剤の曝露量が13%増加するとされ、再発性感染症の既往がある場合は注意が必要です。症例1では下痢が発現していますが、8月に重大な副作用として重度の下痢が添付文書に追記されました。その他、化学構造中にフタルイミド基を持つサリドマイド誘導体であり、胚胎児毒性があることも本剤の特徴です。

(民医連新聞 第1676号 2018年9月17日)

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