事業所のある風景

2018年9月18日

民医連事業所のある風景 熊本/くわみず病院附属くすのきクリニック 安心して住める優しい街に役立つクリニックをめざして

希望ヶ丘診療所が前身

 くすのきクリニックは1976年、現在の北区武蔵ヶ丘で開所した「希望ヶ丘診療所」を現在地に移転する形で1992年にオープンしました。以来、内科を中心とした外来診療、くわみず病院と連携した在宅診療、通所リハビリテーション、居宅介護支援事業など、医療や介護が必要になられた方の住み慣れた地域での生活を支えるよう努力してきました。

熊本地震の発生

 築40年以上が経過した建物のリニューアル構想ができたのは、当クリニックの法人・芳和会の第7次長期計画でした。2016年1月に発足した建設プロジェクト会議では、これまでの医療・介護事業の蓄積の上に、アメニティを改良し、地域に貢献できる機能を強化することなどを確認してスタートしました。
 しかし、第4回会議後の4月14日、16日に熊本地震が発生。クリニック建物も周辺地域も大きな被害がでました。水道管断裂で約1カ月の断水、駐車場陥没やエレベーター破損など多くの困難がありましたが、他県連からの職員支援や物資の提供を受けて診療を継続することができました。
 北部健康友の会(1200世帯)の安否確認訪問では、全国各地から寄せられた支援物資をクリニック・友の会からの手紙とともに配布する様子が『いつでも元気』でも紹介されました。地域に根ざしたクリニックの医療・介護活動と北部健康友の会の長年にわたる活動が、災害時に多くの方へ勇気や希望を届けられた原動力となったと感じました。

全職員参加型ですすめたリニューアル事業

 震災の経験を教訓にしながら、建設プロジェクト会議は全職員参加型ですすめてきました。そして、これまでの4階建てから一転して、広い駐車場を持つ平屋のクリニックに生まれ変わり、今年7月に本格的な診療を開始しました。
 クリニックは、内科外来・デイサービス・交流スペースからなります。「かかりつけ医」として、生活習慣病・認知症・訪問診療などへのとりくみを強化しています。
 従来からとりくんできた食事療法・運動療法は、交流スペースを活用することで格段に強化されることになりました。とくに、「調理実習がしたい」という師長の強い思いは建設プロジェクト会議で何度も議論し、交流スペース内にオープンキッチンができました。食生活への支援として個別の栄養指導だけでなく、試食会・調理実習が可能になりました。定年退職後の男性が対象の「男性運動教室」には、「こんなところをさがしていた」とうれしい反応があります。

連携カフェやオレンジカフェの開催など
地域とともにあゆむ

 震災経験を地域で共有しようと企画した「復興カフェ」は、交流の場「連携カフェ」として継続しています。また、「オレンジカフェ(家族版)」はこれまで3回開催しました。認知症サポーター医の院長を先頭に、認知症のご家族を支え、かつご家族のエンパワメントを図るために勉強を続ける予定です。認知症に関して家族・施設・地域・行政のそれぞれがとりくんでいることを共有するような場をつくっていきたいと思います。
 この地域が安心して住める優しい街になることに役立つクリニックで在りたいと願っています。
くわみず病院附属くすのきクリニック事務長 井上 晋)

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