くすりの話

2019年1月9日

くすりの話 
災害とくすり

執筆/大賀 裕佳(宮城・つばさ薬局長町店・薬剤師)
監修/高田 満雄(全日本民医連薬剤委員会・薬剤師)

 近年、大規模な地震や豪雨などの災害が多発しています。いつ、どこで、どのような災害が発生するかわかりません。みなさんは災害時の備えをしていますか? 慢性疾患などで常にお薬を飲んでいる方は、備えの中に薬が入っていますか? 東日本大震災を振り返り、「災害と薬」について考えてみたいと思います。

震災時の薬をめぐる状況

 東日本大震災の直後は、自宅に帰れない、交通網が麻痺してかかりつけの病院に行けないなど、さまざまな理由で「いつも飲んでいる薬」が手元にない状況になりました。医療機関や薬局の多くが甚大な被害を受け、診療や営業をしているところには患者さんの長蛇の列ができました。
 しかし、電源などのライフラインが断たれているため通常の業務はできません。薬局ではパソコンで患者さんの薬歴を閲覧することができず、調剤に用いる機器も使用できないため、すべて手作業でした。
 医薬品の調達も大変でした。薬の在庫数に限界があり、震災直後は数日分の薬しかお渡しできませんでした。
 避難所では、津波で薬やお薬手帳が流されて普段飲んでいる薬を服用できず、劣悪な環境下で体調が悪化した方もいました。医療チームも飲んでいた薬を特定するのに苦慮したと聞きます。

災害への備えが大切

 災害に対する日頃からの備えが大切です。以下を参考にしていただけると幸いです。
 大規模災害発生初期には、緊急度の高い救急患者さんが優先されます。いつも飲んでいる薬は常に1週間分程度の予備が手元にあるようにし、処方された日付が古いものから順に服用しましょう。
 薬の中断による身体への影響がとても大きい疾患もあります。ご自身の飲んでいる薬を中断すると身体にどのような影響があるのか、日頃から把握しておきましょう。
 お薬手帳は大切です。大規模災害などで受診が困難な場合、お薬手帳でいつも飲んでいる薬を確認できれば、処方箋なしでも薬局で薬をお渡しできる特例が認められることがあります。
 また、避難所などでは災害処方箋が発行されます。緊急の場合に役立てられるよう、外出時もお薬手帳を持ち歩くようにしましょう。スマートフォンでは電子版お薬手帳を利用できます。ただし、インターネットにつながり、電源を確保できる環境が必要です。
 普段飲んでいる薬の在庫がない場合は代替薬で対応したり、急な体調変化には新たな薬が処方されることもあります。お薬手帳に既往歴や副作用歴、アレルギー歴を記載しておきましょう。

◎「いつでも元気」連載〔くすりの話〕一覧

いつでも元気 2019.1 No.327

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