副作用モニター情報(薬・医薬品の情報)

2019年5月21日

副作用モニター情報〈517〉 ロスバスタチン(抗コレステロール薬)による腎機能障害

 HMG-CoA還元酵素阻害剤ロスバスタチン(製品名:クレストール®)による副作用は、他のスタチン系薬剤と同様に、横紋筋融解症と随伴症状、薬剤性肝障害が知られています。報告数は少ないですが、腎機能障害の報告もあります。
症例) 70歳代男性。脂質異常症でロスバスタチン錠(クレストール®)2.5mg処方開始。服用継続7年4カ月目に、週刊誌の「飲んではいけない薬」にクレストール®が載っていたため、患者の希望で処方中止。中止後、血清クレアチニン値が1.5mg/dlから1.25mg/dlに改善。服用中止1カ月後、脂質上昇によりアトルバスタチン処方。アトルバスタチンに変更して1年経過したが、血清クレアチニン値に変化なし。クレストール®によるクレアチニン上昇の可能性あり。

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 ロスバスタチンだけではなく、高用量のストロングスタチンの使用で急性腎障害による入院リスクが上昇するという報告があります。特に、ロスバスタチンは、動物実験で腎障害を起こすことが知られています。ロスバスタチンのBUN上昇・血清クレアチニン上昇などの腎機能異常は、添付文書では、0.1~2%未満と記載されています。腎機能が正常な患者に使用する場合でも、腎機能の悪化がないか、注意が必要です。
 また、横紋筋融解とその結果生じるたん白尿、腎不全などの各種腎障害については、ロスバスタチンと、他のスタチン系薬剤であるアトルバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチンと比較した臨床試験で、ロスバスタチンの発生頻度が他のスタチン系薬剤に比べて高かったという報告もあります。
 ロスバスタチンは、他のスタチン系薬剤と比較して、横紋筋融解症と随伴症状、薬剤性肝障害の頻度も少なくありません。腎機能障害のチェックも含め、副作用に十分な注意が必要です。

(民医連新聞 第1692号 2019年5月20日)

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