MIN-IRENトピックス

2019年6月7日

くすりの話 
お薬手帳

執筆/大前 進(広島・株式会社ハーモニー ドレミ薬局・薬剤師)
監修/高田 満雄(全日本民医連薬剤委員会・薬剤師)

 読者のみなさんから寄せられた薬の質問に、薬剤師がお答えします。
 今回はお薬手帳についてです。

 みなさんはお薬手帳をしっかり管理していますか? 今は持っている方のほうが多いかもしれませんが、きちんと記録している方は半数程度と言われています。また薬局の窓口にいても、その意義や活用の場面を意識して所持している方は少数にとどまると感じています。
 お薬手帳は薬の情報を記録しておく手帳のことで、みなさんがより安全に薬を使用するために必要なものです。記録ですので、「いつ」「どこで」「何の薬を」「どれだけの分量を」が正確に書かれていないと十分に機能を発揮しません。

災害時や緊急時にも

 お薬手帳の使用に際しては、(1)医療機関や薬局などで毎回提示すること、(2)ご自身で記録することが大切です。
 (1)については主に医師・薬剤師が閲覧し、飲み合わせや薬剤の重複をチェックするため、服用しているすべての薬の情報が必要です。複数の手帳をお持ちの場合は、情報を1冊にまとめましょう。
 (2)についてはアレルギーや副作用の有無、現病歴や既往歴、さらには服用中の体調変化、服薬した市販薬の記入が挙げられます。体調変化と市販薬についてはお薬手帳に記入欄がなく戸惑うかもしれませんが、余白に記入しておくと安全に服薬する上で大切なことが見つかることもあります。
 お薬手帳には病気と薬の情報が集約されているため、災害時や緊急時にも役立ちます。災害時にお薬手帳で普段飲んでいる薬を確認できれば、処方箋がなくても薬を受け取れることがあります。また、突然倒れて意思疎通が困難になっても、お薬手帳があれば連絡先も分かりますし、素早く適切な対応が可能になります。
 お薬手帳は医療機関や薬局が情報共有のために活用するだけにとどまりません。安全と健康を守るご自身の手帳として情報を書き込んでいただきたいと思います。

電子お薬手帳とは

 お薬手帳を忘れたり紛失したりすることも多くあるようです。そこで近年登場したのが電子お薬手帳です。情報をデータとして持ち、スマートフォンなどで管理・閲覧します。
 携帯しやすい上に保持できる情報量も増え、服薬の時間を知らせるアラーム機能やご家族の薬の管理まで可能になるなど、いくつか利点が挙げられます。一方で機器操作に慣れていない方にはその煩雑さが難点ですし、対応できる医療機関や薬局が限られていることなど課題もあります。今後、普及率の向上と情報通信技術の発達で解決していくと思われますが、いずれにしても現時点でご自身の環境に合ったお薬手帳をしっかり管理していくことが重要です。

◎「いつでも元気」連載〔くすりの話〕一覧

いつでも元気 2019.6 No.332

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