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2019年8月15日

民医連事業所のある風景 滋賀・膳所診療所 「住み続けられる」まちづくりの拠点に

旧診療所の近くに新築オープン

 ぜぜ診療所は滋賀県で初めての民医連診療所として1971年に創設され、1991年に現地で建て替え、レンガづくり風のおしゃれな外観で地域に親しまれてきました。このたび48周年となる2019年6月に、移転新築オープンしました。移転先は旧診療所から徒歩1分、私鉄の線路を渡って直ぐ、かつて商店街であった通り沿いで、零細スーパーマーケット跡です。

1年間の地域活動で建設協力金と寄付目標額を突破

 診療所とスーパーは以前より協同してまちづくりをめざしていましたが、10数年前にスーパーが閉店。共同組織の副会長であったオーナーから「まちづくりの拠点にしてほしい」と民医連に買い取りを持ちかけられ、医療法人が購入し、古い建物を改装して共同組織の活動のための会館と医療法人の事務所、職員用駐車場として利用していました。
 広さはあるものの線路沿いで、都市計画上も高層の建築物は建てられないなどの制限があり、しかし建物は築50年近くと限界にきていて、建て替えが急がれる状況でした。介護施設建設をさまざま検討するも、介護事業の展開はあきらめざるを得ませんでした。
 2018年6月の医療法人社員総会で、手狭となっていたぜぜ診療所の移転先にと決定し、1年かけて建設事業と地域行動を並行してすすめました。建設協力金(地域協同基金)、寄付の目標額を突破し、予定通りに開院することができました。

地域住民とともに在り続けるような診療所に

 診療所の周囲は近年空き家が増え、古い家が壊されマンションや賃貸アパートにと、急速に様変わりしています。かつては市の中心的賑わいがありましたが、市郊外や隣市の大型商業施設に買い物客は流れ、高齢者が買い物をするにも不便な地域となりました。  
 病院、開業医、介護事業所は密集しているものの、在宅医療にとりくむ医療機関は少なく、療養型病院や入所施設は遠方にしかない地域です。この地域を「住み続けられるまち」にするためにはさまざまな課題があります。
 新しい診療所には共同組織の事務所も同居し、玄関横には友の会喫茶を配置しました。共同組織とともに「健康づくり」「住民の交流と新たなつながりづくり」にとりくみ、「誰一人も置き去りにしない地域づくり」をめざして、新たな発展をしていきたいと考えています。
 新しい診療所の待合いには、通院患者である籐工芸家から寄贈されたオブジェを飾っています。タイトルは「ボクのすみか」。地域住民が自分の家のように気軽に立ち寄れて、うれしいことも困ったことも共感し、いつまでもともに在り続けるような診療所になってほしいとの願いが込められています。地域・患者さんからの思いに、職員一同、身の引き締まる思いです。

膳所診療所 所長 東 昌子)

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