声明・見解

2020年6月24日

【要請書2020.06.24】「新型コロナウイルス感染症に係る介護サービス事業所の人員基準等の臨時的な取扱いについて(第12報)」等に対する要請

内閣総理大臣 安倍晋三 殿
厚生労働大臣 加藤勝信 殿

2020年6月24日
全日本民主医療機関連合会
会長 増田 剛

 今般の新型コロナウイルス感染症に対する貴職のご尽力に敬意を表します。
 6月1日付で「新型コロナウイルス感染症に係る介護サービス事業所の人員基準等の臨時的な取扱いについて(第12報)」が発出され、一定の要件のもとに、通所系サービスについては提供時間の2区分上位の基本サービス費(または延長加算)の算定が、短期入所については緊急短期入所受入加算の算定がそれぞれ可能となる旨通知されました。
 しかし、上記の算定に伴って利用料負担が新たに発生すること等により、介護現場に強い疑問と戸惑いが生じています。第1に、通所系サービスでは、サービスの提供時間・内容が従前と変わらないにも関わらず、利用料負担が増大することになります。短期入所では、緊急短期入所受入加算の算定可とされていますが、この加算の本来の主旨との整合性が不明です。いずれも利用者に対する合理的な説明が困難な内容です。第2に、区分支給限度額は現行通りとされているため、利用料が増えることで自費負担が新たに発生、もしくは増大するケースが想定される点です。利用料の増額・自費の発生によって費用負担が増えることは、利用者のサービス利用に支障を来す大きな要因になります。第3に、算定すれば確かに収益は上がりますが、算定の可否が利用者の意向(同意)に左右されることから、果たして介護事業所に対する有効な救済策になりうるのか、疑問を抱かざるを得ません。逆に、同意の有無によって異なる利用料が混在することにより、利用者の中に不要な混乱がもちこまれることになりかねません。第4に、利用者への説明・同意、算定をめぐって、厳しい職員体制が続いている当該介護サービス事業所、居宅介護支援事業所に新たな事務負担が発生する問題です。
 多くの介護事業所では、感染が拡大した3~5月に大幅な利用者減、収益減が生じており、今般の特例措置だけでその減収分をカバーすることは到底できません。6月に入りサービス利用を再開させる利用者が徐々に増えてきているものの、いつ平常時に戻るのかは現時点では見通しがつかない状況です。このままの状態で「第2波」が到来すると、事業の継続に困難を来し倒産・廃業に至る事業所が出てくるなど、地域の介護サービス基盤を大きく揺るがすことになりかねません。
 介護事業が抱えている現状の困難を打開し、必要な介護体制を確保し、「第2波」に対する備えを十分に行っていくためには、利用者に新たな費用負担を求める介護報酬算定の特例措置ではなく、公費を投入し、3月~5月の減収分、および6月以降見込まれる減収分を補填することが必要と考えます。
 以下の2点を要請します。

<要請事項>

  1. 新型コロナウイルス感染症に伴う介護事業所の減収分に対し、過去の給付実績にもとづき、公費による補填を行うこと。そのために必要な財政措置を早急に講じること
  2. 当面の措置として、「新型コロナウイルス感染症に係る介護サービス事業所の人員基準等の臨時的な取扱いについて(第12報)」の運用に際し、通所系サービスにおける上位区分の基本サービス費(もしくは延長加算)の算定、短期入所サービスにおける緊急時受入加算の算定による介護報酬の積み増し部分について、利用料負担、区分支給限度額の対象から外すこと

以 上

PDF版

お役立コンテンツ

▲ページTOPへ