声明・見解

2020年6月29日

【声明2020.06.29】生活保護基準引き下げ違憲訴訟の名古屋地裁の不当判決に強く抗議する

2020年6月29日
全日本民主医療機関連合会
会 長 増田 剛

 国は2013年8月から3年間かけて、生活扶助基準(生活保護基準のうち生活費部分)を平均6.5%、最大10%(年間削減額670億円)引き下げました。この生活保護基準引き下げは違憲であり、健康で文化的な生活が脅かされたとして、全国29都道府県の1,000人を超える人が原告となって「いのちのとりで裁判」をおこしました。

 2020年6月25日、名古屋地方裁判所民事第9部(角谷昌毅裁判長)において、その判決が出され、生活保護基準の引き下げに対して厚生労働省の裁量を認めるという国の主張どおりの判決を言い渡しました。全日本民医連はこの不当判決に強く抗議します。
 「いのちのとりで裁判」の争点は、生活扶助基準設定には厚生労働大臣に広範な裁量権があるとする国の主張に対し、生活扶助基準の引き下げは厚生労働大臣の裁量権の範囲をこえた濫用であり、憲法25条、生活保護法8条違反であるという点です。
 生活保護基準部会が検証した生活扶助基準と消費実態のかい離を是正する「ゆがみ調整」の増減幅を、厚生労働大臣が独断で削減したという問題があるにもかかわらず、本判決は厚生労働大臣の裁量の範囲を広く認め、国の主張を全て丸のみにしたことは断じて容認できません。
 また、厚生労働省が物価偽装までして恣意的に生活保護基準引き下げをおこなったことは、許すことはできません。
 生活保護制度は他の諸制度や諸政策に連動し、保護基準はナショナルミニマムとしてすべての国民の生活全般に極めて重大な影響を及ぼします。新型コロナウイルス感染症の拡大により、格差と貧困が一層拡大する中で、この不当な判決は多くの国民のいのちと暮らしを脅かすものと言えます。

 全日本民医連は、国が2013年引き下げ前の基準に戻し、最低生活基準の底上げをはかり、憲法25条に定められた「健康で文化的な最低限度の生活」を保障することを求め、広範な人々とともに、たたかいを進める決意です。

以上

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