医療・看護

2020年10月12日

【会長声明2020.10.12】75歳以上の医療費窓口負担2割化の検討を即刻中止し、高齢者が安心して医療にかかれる制度構築を求める

2020年10月12日
全日本民主医療機関連合会
会 長 増田 剛

 75歳以上の高齢者の医療費窓口負担の引き上げ案について、厚生労働省が具体的な検討を行っていることが報道された。今後、全世代型社会保障検討会議や厚生労働省の社会保障制度審議会医療保険部会などで議論され、年末には決着を図る構えとされる。
 コロナ禍において国民生活、とりわけ高齢者の生活困窮が進む中で、これ以上の負担増の検討を即刻中止するよう強く求める。

 現在検討されている内容として、新たに2割負担に引き上げられるのは、これまで1割負担だった年収240万円以上、384万円未満の層で、対象となるのは約190万人、75歳以上の10数%である。すでに「現役並み所得」とされた年収383万円以上の層は3割負担となっており、約115万人、75歳以上の約7%が対象となっている。

 全世代型社会保障制度改革「中間報告」では、団塊の世代が75歳以上の高齢者となる2022年までに、「働き方の変化を中心に据えて、社会保障全般にわたる改革を進める」としており、そのために「70歳までの就業機会確保や年金の受給開始時期の選択肢を拡大」することについては、すでに2020年の第201通常国会において法改正が行われた。
 この75歳以上の医療費窓口負担引き上げは、これらの法改正とあわせ、「負担能力」に応じて高齢者も負担することを求めるものである。

 しかし、もともと低年金で、生活費を補うために非正規雇用に就いていた高齢者は少なくない。その上、コロナ禍でどの世代も仕事が減る中で、高齢者も仕事を減らされたり失ったりしているため、多くの高齢者がさらなる生活上の困難に見舞われている。子世代も収入減や雇止め、失業、倒産や廃業などによって、高齢の親の生活を支えることが困難になっている。
 こうした状況を踏まえ、これ以上の負担増の検討は中止し、さらに高齢者が経済的な負担の心配なく安心して受診できる医療制度を構築するよう強く求める。

(以上)

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