事業所のある風景

2020年10月15日

民医連事業所のある風景 東京/西東京生協歯科 いつまでもおいしいものをおいしく食べられるように

2015年3月に開設

 西東京生協歯科は、2015年3月に西都保健生協の3番目の歯科として開設されました。当初は定款地域にありながら事業所がひとつもない西東京市の組合員さんたちから、活動拠点となる医科診療所建設を求める声が強まるなか、医師不足で医科診療所の建設がすすまない状況がありました。その状況を背景に、複数の歯科医師が配置されていて、なおかつ患者さんが増えすぎて溢れている法人内の「歯科」に白羽の矢が立ちました。

安心してよい医療が受けられる歯科を

 「なぜ医科ではなく歯科?」や「歯科なら近所にいっぱいある」という声が地域の組合員たちから出る状況でした。しかし、行政による長年の歯科軽視政策によって「いつでもどこでも安心してよい医療」を歯科で受けることが容易でないことや、経済的な困難にある人々、車椅子や在宅で寝たきりとなっている人々、障がいをもった人々など「社会的なハンディキャップ」をもつ人たちが受診しやすい歯科を作る必要性を訴え、何度も勉強会や話し合いを繰り返すうちに、「よい歯医者をつくろう」となり、歯科開設が決まってからは多くの組合員たちの献身的な協力を受けることができました。

地域での役割を果たすために

 開設後は、地域で歯科保健予防活動を積極的にとりくみました。生協の集まりだけにこだわらず「呼ばれればどこにでも、呼ばれなくてもどこにでも」という姿勢でさまざまな趣味の班会やグループの集まりに職員を派遣し、歯科にかかることや口腔ケアの大切さを発信してきました。また、訪問歯科診療を行っている歯科診療所が地域になかったため、在宅や施設への訪問歯科診療の存在と大切さを法人内外のケアマネジャーや病院、患者の家族へ訴えてきました。そのなかで近隣の歯科も訪問歯科診療を始めるなど「通院が大変で通えなくても歯科治療は受けられる」という常識や、寝たきりの患者であっても訪問歯科を呼んで口腔ケアを行うべきであるという常識が地域で広まっていく一助となれたのではないかと自負しています。また、開設当初は患者が少なく身軽だったこともあり、摂食嚥下機能障害とその予防や治療について全職員が積極的に勉強し、地域のなかでもいち早く摂食嚥下リハビリテーションにとりくみ始めました。最近では摂食嚥下についてテレビなどでも目にすることになりましたが、組合員の「そんなの私たちの歯科はとっくにやってるわよね」というドヤ顔と発言をうけて職員のがんばりが報われている気持ちになっています。

私たちのめざす医療を地域の当たり前に

 噛むこと、食べることは生きること。年をとっても、おいしいものをおいしく食べられるようにまずは予防で歯を残す。歯周病や虫歯などになったら治療する。歯を失ったらよく噛める入れ歯を入れる。口から食べ続けられるように、再び口から食べられるようにトレーニングする。職員や組合員さんが一生懸命とりくむなかで私たちのめざす歯科医療が少しずつ地域のなかでの当たり前になってきていると感じるのが日々の喜びです。これからも地域の民医連歯科としてがんばっていきます。
西東京生協歯科 伊藤 龍)

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