医療・看護

2020年12月11日

【声明2020.12.11】75歳以上の医療費窓口負担2割化について、菅首相と公明党・山口代表による合意に強く抗議する

2020年12月11日
全日本民主医療機関連合会
会長 増田 剛

 75歳以上の医療費窓口負担の1割から2割への引き上げについて、菅義偉首相と公明党の山口那津男代表が、所得基準を年金収入のモデルで年間200万円以上とし、約370万人を対象とすることを合意したことに対し、満身の怒りをこめて抗議する。
 さらに、2割負担の開始時期を2022年10月以降とすることも、同年7月に予定されている参議院選挙への影響を抑えようとしたものであり、民主主義を愚弄する党利党略は許されない。

 政府は75歳以上の医療費を2割負担にする建前を「現役世代と負担を公平化する」などと説明しているが、年齢を重ねれば病気にかかりやすくなり、医療をより多く必要とするのは自明の理である。
 高齢者は1割負担の現在でも、窓口負担を理由に受診を控える人は後を絶たず、手遅れの要因にもなっている。医療費負担を2倍にすれば、高齢者の受診抑制が一層深刻化することは明々白々である。受診抑制は、患者の重篤化を惹き起こし、医療費の増大を招くばかりか、手遅れによる死亡例を増大させることになりかねない。 
 また、政府は保険財政の困難を理由に据えているが、老人医療費に占める国庫負担の割合を45%から35%に引き下げたことが財政問題の根本にある。しかも、大企業や富裕層を優遇する不公平税制を改めようともせず、財政困難を理由にすることは許されない。税制で富裕層を厚遇し、収入の少ない高齢者に更なる負担強いれば、今なお広がり続けている格差を助長するものである。
 
 今、コロナ禍で苦しむ国民への救済こそが、政治がやるべきことであって、高齢者のいのちを切り捨てると言わんばかりの政策は断じて許されない。満身の怒りを込めて抗議するとともに、2割化の合意を撤回することを強く求める。

以上

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