事業所のある風景

2020年12月15日

民医連事業所のある風景 神奈川/深沢中央診療所 地域でいのち、暮らしをまもる 相談所として

朝とれ野菜とトンビの声

 1965年8月3日、鎌倉医療生活協同組合として創立し、2000年に3生協合併で、現在の法人となりました。鎌倉市内にはひとつの診療所、ひとつの訪問看護ステーション、ヘルパーステーションがあります。いわゆる観光地の「鎌倉」から外れた、藤沢市との市境、80年代コミックス「ホットロード」の舞台にもなった、手広交差点の近くにあります。職員通用口にそっと農家の、朝とれ野菜が立てかけられていたり、トンビの鳴き声が聞こえたりする、のどかな地域です。当診療所は1996年に建替えを行いました。
 まだ介護保険制度が始まる前、診療所の2階で行っていたデイケアで、そのボランティアでギター演奏をしていた青年医師が所長を継いで24年。地域のニーズに応えて強化してきた訪問診療は、外来患者件数の10%、外来収益の30%を占めています。

地域の複数の医院と強化型の連携

 常勤医師ひとりでこれを維持するために、地域の複数の医院と強化型の連携を組んでいます。法人内外の訪問看護ステーション、調剤薬局、地域包括、ケアマネと多職種連携を円滑に行うために、患者ごとのMCSを活用し、30カ所以上の居宅介護支援事業者に隔月で案内を出し、定期的なカンファレンスを持って信頼関係を作ることも大切にしています。
 水曜午後の休診時間を利用して待合室で開催するカンファレンス。申込みのあったケアマネの担当利用者ごとに、所長、診療所スタッフがくわわって、電子カルテをプロジェクターで見ながら情報共有します。看取った患者へのかかわりについてふりかえりを行うこともあります。
 コロナ前までは県連医学生対策と協力しながら、横浜市立大学の医学生の研修を受け入れてきました。毎週木曜に2人、年間100人近い5年生が訪問診療の同行を体験し、「大学では退院後の患者さんの生活をイメージする視点が弱かった」「自分が医師になろうと思ったきっかけを思い出した」などの感想を語っていました。スタッフが少人数の診療所にとっても、新鮮な風が通る木曜日でしたが、コロナ禍で中止せざるを得なくなりました。
 最近は、年波ともたたかいながら、患者の終末期に寄り添い、多職種連携の啓蒙、医師会の任務などを精力的に担う所長の姿勢が診療所を引っ張ります。

安心してかかれる環境

 さて、コロナ禍の冬を迎えるにあたり、診療所の窓の多さが、施錠の大変さとは逆に、換気のよさに役立っています。さらに換気扇を増設、待合室をパーテーションで仕切り、入口を別にして、何とか動線分けができました。具合の悪い方も、定期受診の方も安心してかかれる環境でスタッフが力を発揮することで、コロナも乗り越えたい。いのち、暮らしの相談所として引続きこの地域で役割を果たしていきます。
深沢中央診療所 事務長 小林 弘恵)

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