声明・見解

2021年8月17日

【緊急声明2021.08.05】感染者をいのちの危険に晒す「入院制限」方針を撤回し、在宅死を出さないための措置を直ちにとることを強く求める

2021年8月5日
全日本民主医療機関連合会
会 長 増田 剛

 政府は8月2日、突如として新型コロナウイルス感染症患者の入院基準を変更し、入院対象を「重症者」或いは重症化リスクの高い感染者に限定し、それ以外は自宅療養を基本とし、自宅療養が出来ない場合は宿泊施設での療養とする方針を発表した。これは、感染者は重症化リスクの高い患者を中心に幅広く入院で対応し、無症状・軽症者は宿泊施設で療養、自宅療養は宿泊療養できない人に限る、としてきたこれまでの方針と真逆の内容である。
 この1年半の経験から、軽症のようにみえても、短時間で状態が悪化するのがこのウィルスの特徴であり、ましてや、肺炎像があっても症状が軽微(中等症Ⅰ)であれば自宅療養することを余儀なくされることになれば、在宅での急変が頻発し、多くの在宅死を出してしまう危険が現実化する。第3~4波で少なくない在宅死が発生した悲劇が繰り返される。
 感染者が爆発的に拡大している状況下において、病床ひっ迫状況をつくらないための措置と言うが、入院が必要な患者を入院できないようにするという医療崩壊の事態を方針転換と言い換えただけである。
 しかも、在宅待機者の健康観察や状態悪化時の対応方針について各地域での準備がまだ不十分な状況での突然の発表は、地域医療を混乱に陥らせる愚策でしかない。
 政府コロナ感染症対策分科会の尾身会長は、この決定には、事前相談されていないと表明しており、このような重大な決定を専門家に諮ることなく事後報告で済ますなど断じて許されることではない。
 現在医療の現場では、熱中症の増加で発熱患者が増えており、その中のコロナ患者の陽性率が日々上昇している。大変な緊張感の中で、医療従事者は懸命に仕事をしているのである。これ以上診療に負荷がかかると医療崩壊に拍車がかかる危険がますます大きくなる。
 全日本民医連は、政府に対して緊急に以下の点を要求する。
 (1)政府は、実情を真摯に受け止め、新たな「入院制限」方針の撤回、「現下の感染拡大を踏まえた患者療養の考え方について」(8月3日付厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部)を取り消すこと。
 (2)感染爆発と医療提供体制の危機にふさわしく、感染そのものを減少させる実効ある対策を急ぎ、保健所機能強化のための職員の増員やPCR検査の拡充、各自治体や地域医師会と連携しての適切な病床確保と在宅感染者診療基準の整備、必要な薬剤の確保、使用許可など、在宅死を出さないための措置を直ちに講じることを強く求める。

以上

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