副作用モニター情報(薬・医薬品の情報)

2021年9月21日

副作用モニター情報〈561〉 新型コロナワクチン副反応のまとめ(下)

 前回は民医連各事業所で実施されたアンケート調査のデータ集約結果を紹介しました。今回はアンケート調査で寄せられた気になる個別症例、事例などについて紹介します。

・今回の調査で報告されたアナフィラキシーショックは1件のみでした(詳細不明)。ただし、アナフィラキシーの発生を疑う個別症例は複数報告されており、潜在的なアナフィラキシー発生リスクはやはり高いと考えられます(新型コロナワクチンのアナフィラキシー発生リスクは従来のワクチンの2~10倍とされています)。
・長野県民医連内の事業所が行ったアンケート結果によると、ワクチンを接種した職員のうち、42%が「業務への影響があった」と回答。全体のアンケート結果でもワクチンによる副反応そのものではなく、副反応が業務へ影響をおよぼすことに強いプレッシャーを感じていた様子がうかがえました。副反応だけでなくメンタル面へのフォローも重要です。
・2件の味覚異常、嗅覚異常の発生が報告されています(詳細不明)。新型コロナワクチンと後遺症の関係については徐々に情報が出てきていますが、現時点でははっきりした結論は得られていません。
・喘息(ぜんそく)既往のある人で、ワクチン接種後に喘息発作が出現した症例が複数確認されました。現時点で喘息と新型コロナワクチンによる副反応発生に相関性はないとされていますが、喘息患者にはアレルギー体質の人も多く、注意が必要です。
・ワクチン接種後の副反応(主に発熱、疼痛(とうつう))に対して、アセトアミノフェンを中心とした解熱鎮痛剤が用いられました。一部に不適切と思われる使用例(予防投与など)がみられ、ワクチン接種時に医薬品情報が十分に提供されていたか検証が必要です。

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 新型コロナワクチンの有効性は高齢者の死亡率の減少や感染者数の減少からも明らかになりつつあります。一方で、中・長期での安全性については、十分なデータがそろっているとは言えず、またワクチン接種後の死亡事例に関する検証もこれからです。
 3回目のワクチン接種の開始が検討されるなか、今後、新たな副反応が発生する可能性もあります。新型コロナワクチンに関する情報収集と発信を継続していきましょう。
(全日本民医連医薬品評価作業委員会)

(民医連新聞 第1745号 2021年9月20日)

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