事業所のある風景

2021年11月15日

民医連事業所のある風景 神奈川/協同ふじさきクリニック 地域で自分らしく過ごせることを いちばんに考える診療所として

 協同ふじさきクリニックはJR川崎駅からバスで10分、同法人の川崎協同病院から徒歩2分の場所にあります。2005年6月に開設して以来、地域に根差した「かりつけ医療機関」の役割を果たしています。
 この地域は京浜工業地帯に隣接しており、多くの派遣外国人が働いています。川崎協同病院のある桜本には、韓国や朝鮮の在日外国人が住んでおり、15・16年にはこの地区を標的にしたヘイトスピーチデモがおこなわれました。市民といっしょに職員も抗議行動に参加して、デモ隊をUターンさせました。

準備整え発熱外来スタート

 2020年11月、新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、これまでクリニック内でおこなっていた発熱外来を外部へ移設しました。併設する駐輪所を撤去し、その跡地に医療用のテントを立てて待合室をつくり、新型コロナのPCR検査を開始しました。
 検体採取は専用のBOXを設けて看護師がおこない、医師の診察はタブレットのビデオ通話アプリを使用しました。この発熱外来を開設するまでに、全職員で感染予防の学習会やシミュレーションをくり返し、準備をしました。
 現在の発熱外来は、患者の滞在時間を短くするために医師が事前に電話で診察を行い、患者が来院したら検体を採取して帰宅してもらいます。PCR検査の結果が出たら、再度医師が患者に電話をして報告をしています。
 また医療用のテントでは寒さを防ぐことができず、患者が震えながら診察を待っていたので、待合室用にエアコン付きのプレハブを設置しました。さらに夏に入ってからは看護師が大量の汗をかきながら検体採取をおこなっていたので、待機部屋としてプレハブをもう1棟を追加しています。

地域の人の「かかりつけ医」として

 高齢化がすすむ社会のなかで、地域で生活する人にとっての「かかりつけ医」の役割はとても大きくなっています。当クリニックは開設以来、通院困難な患者への在宅医療に力を入れています。
 在宅患者の管理数は190人を超えており、訪問診療延べ数は月に400回以上で、看取りは多いときには月10件あります。そんな患者たちを支える「在宅支援室」は非常勤含む医師7人、看護師4人、事務1人、運転手2人で構成しています。
 近年、高齢者の人たちが病院で急性期医療を受け、早期に在宅へ戻るケースが増えています。病院から在宅への移行期間は年々短くなっています。そのため、もとの生活環境に戻るための準備や、必要なサポートの準備が不十分な状態で在宅へ戻らざるを得ないことが少なからずあります。
 そのような患者の訪問診療の依頼を受けると、なるべく早く患者や家族と直接会い、生活環境や意向を確認し、どのようなサポートが必要か、一緒に考えます。またカンファレンスやサービス担当者会議には可能な限り全例参加して、関係各者と顔の見える連携をとるように心がけています。
 そのほかにも「腰や膝が弱って布団から出られなくなったが、もともと基礎疾患がなくてかかりつけ医がいない。どこに相談していいのかわからない」「入院したことをきっかけに、家事や身の回りのことがままならなくなった」などの相談もあります。
 このような相談がすべて訪問診療につながるとは限りませんが、方針として掲げている「断らない在宅診療」を心がけています。地域で暮らすすべての人たちが、自分らしく過ごせることをいちばんに考えた在宅医療を、これからも提供し続けていきたいと思います。
協同ふじさきクリニック 事務長 安井圭太)

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