民医連新聞

2022年5月6日

診察室から ICTの活用で働き方に希望が

 私は医師になってちょうど20年たちます。昨年5月から診療所の所長を務めることになり、その途端に発熱外来や新型コロナウイルスワクチン接種が始まり、慌ただしい毎日が続いています。所長になると、所属法人の会議や医師会の業務・研修などの義務もあり、子育てが道半ばの私に務まるのかと不安でした。しかし、このコロナ禍のおかげでICT(情報通信技術)が普及し、WEBでの会議や研修が一般的となり、何とかこなすことができています。
 例えば、先日は夜7時半から医師会の大腸がん検診従事者講習会がありました。これに参加しないと市の大腸がん検診を診療所で実施できなくなります。以前は市の医師会館に赴かなければならず、仕事を終わらせ、子どもを学童に迎えに行き、夕食を支度し食べさせてから会館に向かっても、開始時間には到底間に合いませんでした。ところが現在はほとんどがWEB開催になり、自宅で参加できます。家事・育児に追われる身としては本当に助かっています。
 同じように、所属する学会の学術大会やセミナーもWEB開催となりました。以前は、遠方に泊まりがけで行くためには、職場の勤務や家庭での調整が必要でしたし、演題発表はどの日時になるのかわからないこともあり、最初から諦めていました。それでも講演会やワークショップへの参加は諦めきれず、幼い2人の子どもを連れて行き、学会が用意してくれたベビーシッターに面倒を見てもらったこともありました。しかし、完全WEB開催となった昨年の学会では、演題発表は録画データを提出する方法だったので、「これなら発表できるかも」と挑戦してみたところ、無事に採択されて録画発表することができました。
 COVID―19のために私たちは大きな痛手を負ったわけですが、ICTが進歩していることも事実です。ダイバーシティー(多様性)が叫ばれてもいますので、技術を生かして、さまざまな立場の人が希望通りの仕事に就けるようになればと願っています。(水谷民奈、静岡・浜松佐藤町診療所)

(民医連新聞 第1759号 2022年5月2日)

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