声明・見解

2022年8月29日

【緊急声明2022.08.29】岸田内閣に感染対策の責任を果たすよう強く求める

2022年8月29日
全日本民主医療機関連合会
会長 増田 剛

 新型コロナウイルス感染第7波は深刻な大波となっており、過去最大の感染者数、死者数を更新し続けている。医療現場の対応は限界を越え、救急医療や手術など一般医療に大きな支障をきたしている。医療・介護労働者にも感染が拡がり、働き手不足から事業を制限しなければならない事業所が後を絶たない。これらには実質的な補償は無く、深刻な経営問題にもなっている。
 こうした事態に対し、岸田内閣は、医療ひっ迫を招かないよう慎重に経済活動を再開していくという最低限の政策目標すら果たすことなく、まさに「成り行き任せ」であり、取り返しのつかない失政を犯している。感染者の把握報告など公衆衛生上重要な判断は自治体に「丸投げ」であり、国民に向けた感染対策の喚起や医療介護現場への労いすらない。エビデンスが希薄な感染者の行動制限期間の短縮や水際対策の緩和など、感染者を減らす方向とは真逆の対応に終始している。

 8月25日、毎日新聞は、8月17日に埼玉県保健所長会が「救える命を救いたい」と県に申し入れを行ったことを報じた。その中で「感染者数を減らすことこそ、重症者や死亡者を減らすことに貢献することになる」と感染者数を抑える対策を強く求めるとともに、「5類」への引き下げや全数把握の見直しについて、「『保健所や医療機関が大変だから』という理由のみで行われるのであれば、目前にある問題点に蓋をして見ないようにしているだけのことで、根本的な解決とはほど遠い」と懸念を表明している。同会会長は「健康弱者にとって新型コロナ感染症はいまだに死につながるハイリスクの疾患。引き下げの議論もあくまでも『県民や国民』を主人公にして考えるべき」と説明し、「『命を守る』という使命に今後も労を惜しむことはない」「医療機関に搬送された時は手遅れの状態だったというようには絶対にしてはいけない」と訴えている。
 政府は、最も過酷な状況に置かれている保健所長たちの「矜持」を真剣に受け止めるべきである。

 全日本民主医療機関連合会(全日本民医連)は、新型コロナ感染に一貫して取り組んできた医療・介護団体として、現在の危機的な状況に鑑み、政府に対し、以下の項目に緊急に対応するよう強く求める。

(1)全国民に対し、過去最大の感染爆発となっていること、医療・介護現場がひっ迫状況に陥っていることを広報し、個々の感染対策の喚起を強く促すとともに、政府の責任において、感染者数を減らすための方針を緊急に打ち出すこと。

(2) 無症状・軽症状の感染者が、PCR検査を容易に行えるよう検査施設を拡充するとともに、医療機関を経由せずに適切な療養を行えるような仕組みを早急に整えること。併せて、苦痛の強い発熱患者、救急を要する患者に確実に対応出来るよう、十分な入院病床の確保、発熱外来、在宅療養を拡充すること。

(3)発熱者が無条件で、欠勤、欠席できるように環境を整備し、会社や学校などからの感染証明の求めを慎むようにあらためて指導すること。

(4)経済活動を理由に、エビデンスが希薄な対応方針変更(行動制限の短縮など)については慎重を期すこと。全数把握については見逃しによる重症化や適切な医療提供の妨げにならないことなど、各自治体も危惧している状況を生まないよう専門家や現場の声を聞き、慎重に制度を整理すること。

(5)国民のいのちを守るため、経営困難に見舞われている医療機関・介護施設に対して、9月末打ち切りとなっている支援策を感染収束まで延長するなど、医療
崩壊・介護崩壊を阻止する具体的な経営支援メニューを速やかに策定すること。

(6)過酷な状況に陥っている保健所業務に対して、緊急的な体制補充を具体化するとともに、公衆衛生機能の大切さを再認識し、抜本的な体制拡充に向け、政策を見直すこと。

(7)ワクチン接種をより安全に進める上でも、有害事象についての積極的な情報収集と分析、その透明性のある公開、被害者への迅速で完全な補償を速やかに実施すること。

以上

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