声明・見解

2022年12月9日

【声明2022.12.09】菊池恵楓園の入所者への人体実験について、徹底的に検証し、事実の公開を強く求める

2022年12月9日
全日本民主医療機関連合会
会 長 増田 剛

 12月5日 京都新聞社と熊本日日新聞により、戦時中、国立ハンセン病療養所・菊池恵楓園(熊本県合志市)の入所者に対し陸軍が「虹波」(こうは)と名付けた薬剤を投与する人体実験が行われていた実態が明らかになりました。
 「虹波」は感光剤を合成した薬剤で、研究目的は防衛研究所戦史研究センター所蔵の旧陸軍資料によると、「戦闘に必要なる人体諸機能の増進」「極寒地作戦における耐寒機能向上」などとされています。
 報道によると、「戦時中、国立ハンセン病療養所・菊池恵楓園の入所者に対し、陸軍が『虹波』と名付けた薬剤を投与する人体実験を行い、9人が死亡したことを示す文書群を、同園が初めて開示した。」とされています。開示された資料には、患者を「材料」と呼び「実験は苦痛のため困難」と記載しているものや、逃亡患者2名など、死者や重体者が相次いでも軍嘱託の医療者たちが投与を続け、敗戦後も続いていたことが明らかになっています。
 十五年戦争と日本の医学医療研究会元副幹事長の吉中丈志(京都大医学部臨床教授・京都保健会理事長)は、「動物実験さえ経ることなく、静脈注射、脊髄管腔内注射、吸入、座薬、服薬など投与方法を手あたり次第に試している」と指摘した上で、「当時の医療倫理に照らしても人権を無視した異常なやり方で、生物化学兵器開発のため人体実験を行った陸軍731部隊とも共通。機密の軍事研究が科学性や倫理性を歪めることを示した」と指摘しています。

 全日本民医連は、今回の人権無視の残酷な人体実験に対し、再びこのような人権侵害や医学倫理に悖る行為が繰り返されることが無いために、本件の徹底的な検証と事実の公開を強く求めます。

以上

PDF

お役立コンテンツ

▲ページTOPへ