副作用モニター情報(薬・医薬品の情報)

2023年4月4日

副作用モニター情報〈592〉 レンボレキサントによる口渇の副作用

 レンボレキサント(デエビゴ錠®)はオレキシン受容体拮抗(きっこう)薬と呼ばれる睡眠剤です。脳内で覚醒に関与するオレキシン受容体に競合的に拮抗することで睡眠覚醒リズムを整え、入眠と睡眠維持、覚醒を調整すると言われています。
 近年、ベンゾジアゼピン系睡眠剤の漫然とした継続投与による長期使用の回避が推奨されており、オレキシン受容体拮抗薬の睡眠剤の使用が増えてきています。本剤は2020年4月の薬価収載から3年近くが経過し、それに伴って副作用の報告数も増加しています。報告された副作用の多くは「悪夢」の副作用でしたが、今回は「口渇」の副作用が報告されたので紹介します。

症例)70代男性。不眠症の病歴があり、ブロチゾラム錠0.25mgを服用中。睡眠剤の切り替えを行うため、デエビゴ錠5mgへと薬が変更となった。2カ月後の定期受診の際に、「デエビゴを服用するようになってから口が乾いて余計に眠れなくなって薬を止めました。止めると乾きは出ません。薬を飲まない日は口の渇きは出ません」と報告あり。その後、デエビゴ錠から同じオレキシン受容体拮抗薬であるベルソムラ錠へと切り替わって以降、口渇は出なかった。

* * *

 レンボレキサントの口渇の副作用は、添付文書上「口腔(こうくう)乾燥」として1%未満の頻度で記載されています。また、製薬メーカーにもこれまで30件弱の報告があるとのことでした。発生機序については今のところわかっていません。一般的に口渇の副作用として推察されるのは抗コリン作用ですが、オレキシン受容体拮抗薬では考えにくいとのことでした。
 レンボレキサントを含めたオレキシン受容体拮抗薬の使用量は今後さらに増えていくことが予想され、未報告の副作用にも注意が必要です。

「悪夢」とは、「悪い夢」ではなく、「遅刻をする」など現実を見ているような夢のこと。

(全日本民医連医薬品評価作業委員会)

(民医連新聞 第1780号 2023年4月3日)

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