声明・見解

2023年4月18日

【要請書2023.04.18】出入国管理及び難民認定法改正案に強く反対し、国際人権基準に則った改正を求める要請書

2023年4月18日

内閣総理大臣 岸田 文雄 様
法務大臣    齋藤 健 様
厚生労働大臣 加藤 勝信 様

全日本民主医療機関連合会
会長 増田 剛

 政府が提出した「入国管理及び難民認定法改正案」は、2021年の通常国会で市民の強い反対により、廃案となったものとほぼ同じ内容です。この法案は、国際人権基準を逸脱した現行法の内容がそのまま維持され、外国人への人権侵害をいっそう強化するものとなっており、人道的にも到底認められません。廃案を求めます。
 現行法でも、難民申請中で仮放免中等の在留資格を持たない外国人は、医療を含めたあらゆる社会保障制度から除外され、なおかつ就労も禁じられていています。このため、病気になっても医療にかかることができず、命にかかわる危険性を常に抱えています。
 これらの根底には、日本の難民認定率が1%程度と極端に低いという問題があります。国連から繰り返し、国際基準にのっとった包括的な難民保護法制の採用が勧告されています。日本の異常に狭く、国際基準から外れた独自の難民認定基準が、非正規滞在者を不当に作り出し、この結果、社会権がまともに保障されない外国人を生み出しています。
 全日本民医連で実施した「外国人医療に関わる事例調査」にも、親族が目の前で殺害され、命からがら祖国から逃亡し、来日して庇護を求めた外国人の難民申請が繰り返し認められていないといった事例がよせられています。国際基準にのっとれば、難民として認められるべき申請者が認められていない実態は明らかです。
 政府提出の「入国管理及び難民認定法改正案」が可決すれば、上記のような日本に庇護を求めてきた難民申請者を、殺される危険のある母国に強制的に追い返すことになりかねません。国際法上の原則であるノン・ルフ―ルマン原則に違反するものであり、人道上からも到底認められません。
 そもそも日本も批准している国際人権規約において、社会保障の権利は、全ての人に備わった権利として規定されており、国籍や在留資格を問わず、国は日本にいる全ての人に社会権(とりわけ生存権)を保障する義務があります。さらに、憲法98条2項には、「日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする」とされています。現入管法並びに改正案は、国際法及び日本国憲法に違反していると言わざるを得ません。
 国際人権法にのっとり、外国人の命を守り、医療を公的に保障する制度の確立を求め、以下、要請します。

要請事項

  1. 第211回国会に政府が提出した「入国管理及び難民認定法改正案」は、国際人権法に違反し、外国人の人権侵害を強化させるものであり、廃案にすること
  2. 難民申請中の仮放免者が、仮放免中にも医療が受けられるよう、医療保険に加入できる在留資格を出すこと。また、「被収容者処遇規則」30条の適用対象を拡大し、入管庁が医療費を負担すること。支払いが困難な外国人の医療費は、公的に国が保障すること
  3. 同「入国管理及び難民認定法改正案」を廃案にした上で、現行法について国際人権法を遵守した法改正を行うこと
    1)入管収容には司法の審査を入れること
    2)入管から独立した難民認定機関を設置して適正な難民認定を担保すること(難民認定基準ハンドブックを踏まえ、特に「疑わしきは申請者の利益に(灰色の利益)」の原則に基づいた認定をおこなうこと)
    3)国連が拷問と指摘する無期限収容を改め、必要最低限の期間に改めること
    4)ノン・ルフ―ルマン原則を遵守し、国際人権法に反する強制送還をやめること
    5)送還に応じない非正規滞在者への罰則化はやめること

以上

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