民医連新聞

2023年6月6日

すべての職員が希望を持って働ける処遇の改善を 5・13ナース・アクション

 5月13日、全日本民医連は看護職員の処遇改善などを求める、「5・13全国一斉ナース・アクションデー」を呼びかけ、前後の日程も含めて各地でさまざまなとりくみを行いました。(稲原真一記者)

不十分な処遇改善

 看護職員の処遇は、コロナ禍での医療ひっ迫などを受けて国会でも議論され、昨年2~9月までは補助金で、10月からは診療報酬の「看護職員処遇改善評価料(以下、評価料)」という加算で改善がはかられました。しかし、対象になる事業所はコロナ対応を行った一部の急性期病院に限られ、対象職員は全体の約35%程度とまったく不十分なものです。全日本民医連は、この制度が現場での不団結や分断を招くと指摘し、すべての看護職員の処遇改善を求める署名にとりくんでいます。
 4月17日には、評価料に関する全国アンケート調査を公表。同アンケートは35都道府県696事業の看護管理者から回答があり、制度の課題についての回答は「対象外の看護師への処遇が改善されていない」が約8割、「同じ看護師なのに平等性に欠ける」が約7割を占めました。また対象の拡大や、診療報酬の改善を求める声も多数寄せられました。

全国でアピール

 こうした現状を変えようと全国に呼びかけたのが、「5・13全国一斉ナース・アクションデー」です。当日は看護師で作家の宮子あずささんを講師に、特別講演「長く看護職を続けるために大切なこと~個人の視点、社会の視点から~」を福岡からWEBで全国に配信し、現地とWEBで約200人が参加。現役の看護師として、これまでのつらかった経験や看護のやりがいについて語り、多くの共感が集まりました。「理不尽なこと、いやなことには納得しない、問題意識を持ち続けることが大切。看護の仕事の価値を握って放さないことが、長く仕事を続ける秘訣(ひけつ)です」と結びました。
 講演終了後の福岡では、博多駅前に100人を超える看護職員が集まり、手づくりのタペストリーやプラカードなどで宣伝。現場の深刻な人手不足やコロナ禍での過酷な労働環境を訴え、地元メディアでも大きく報道されました。とりくみを通じて初めて問題を知った1年目の看護師は「平等に労働を評価してほしい」と話し、別の看護管理者は「今も現場でがんばっている職員の願いも代弁しに来た」と語りました。
 同日に青森、長野、愛知、石川、熊本、宮崎、沖縄などでもとりくみがあり、多くの職員が参加しました。別日程では4月20日に京都民医連が、約200人の職員が参加する事業所ごとの一斉行動を実施。そのほか、評価料のアンケートなどをもとに、看護協会や自治体との懇談や記者会見が各地で行われ、共感をひろげています。


請願署名9万3000筆を提出

 5月30日、全日本民医連は「全ての看護職員の処遇改善を求める請願」署名の議員要請と国会提出行動を行いました。全国から約100人が参加し、それぞれが地元出身議員への面会と紹介議員としての賛同を依頼し、現場の実情を訴えました。集会では各党から賛同議員があいさつ。集めた署名9万3301筆を手渡し、抜本的な処遇改善の必要性を訴えました。

(民医連新聞 第1784号 2023年6月5日)

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