民医連新聞

2023年8月8日

気候危機のリアル ~迫り来るいのち、人権の危機~ 最終回 (12)「システムチェンジ」をめざそう 文:気候ネットワーク

 最終回は、気候変動対策を加速させ、持続可能な社会を実現するために、私たち一人ひとりにできる具体的なアクションを紹介します。
 電気をこまめに消す、エアコンを控えめに使うなど、日常生活で環境を意識する人は増えました。こうした個人の努力は無駄ではありませんが、これだけで気候変動は止められません。日本の部門別CO2排出量の割合(2021年度)のうち、家庭部門が5%以下なのに比べ、発電などエネルギー転換部門は約40%、産業部門は約25%、運輸部門は約17%を占めます。CO2排出量を大幅に削減するには、発電や産業、運輸からの排出削減、つまり国の政策や企業の行動を変える「システムチェンジ」が必要です。
 電力契約を再エネで発電する電力会社に切り替える「パワーシフト」は、簡単にできて効果が大きいアクションの一つです。化石燃料を使わず、再エネで発電する電力会社を選ぶことで、CO2排出を大幅に削減できます。事務所や商店、公共施設でのパワーシフトも効果的です。預金先を化石燃料事業に投融資しない「クールバンク」に変えることも、化石燃料事業へのお金の流れを止める有効なアクションです。
 国や自治体の政策を変える上でもっとも重要なのが、市民による意思表示です。気候マーチへの参加、署名やパブリックコメント、SNSでの発信のほか、活動している人への応援や、環境NGOへの支援もできます。昨年の建築物省エネ法改正や、東京都や神奈川県川崎市の太陽光パネル設置義務化は、市民の声の後押しによって実現しました。パブリックコメントの書き方や気候マーチなどのイベント情報は、環境NGOからも頻繁に発信されています。
 仲間をつくれば、活動をより大きくできます。全国各地には「ゼロエミッションを実現する会」など、気候変動対策にとりくむ市民グループやNGOがあります。自分の考えや、やりたいことに近いグループがあれば、メンバーとして参加してみてください。身近な人との会話のなかでも、気候変動を話題にしてみてください。あなたの声がきっかけで、いっしょに活動する仲間が増えるかもしれません。
 こうしたアクションを紹介する小冊子『気候アクションガイド』も、参考にしてください。脱炭素につながる大きな変化のための行動に意識を向けてみてください。(森山拓也)


気候ネットワーク

 1998年に設立された環境NGO・NPO。
 ホームページ(https://www.kikonet.org

(民医連新聞 第1788号 2023年8月7日)

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