民医連新聞

2004年3月1日

2004年診療報酬改定 中央社会保険医療協議会が答申

 二月一三日、坂口厚労相は中央社会保険医療協議会に、四月実施の診療報酬改定について諮問し、同協議会は即日答申しました。今回の改定は、診療報 酬本体部分プラスマイナスゼロ、薬価・材料マイナス一・〇%。二〇〇二年に引き続く連続マイナス改定であり、医療機関の経営に深刻な影響をもたらします。 とくに、国民が願い、医療機関が努力している医療の安全確保については、一切評価していません。また、入院では医療機関の機能別のランク分けを強め、検査 の大幅引き下げなど、第一線の医療機関や患者の願いに逆行する内容です。主要な内容は以下のとおり(詳細は二月二七日に出ます)。

〈外来医療〉初診料引き上げ、外来診療料は包括の拡大

 初診料は病院、診療所とも引き上げられます。再診では、二〇〇床以上の病院の外来診療料が上がりますが、検体検査の包括範囲はさらに拡大します。
 小児医療では、初診時時間外における六歳未満の乳幼児加算が上がります。再診時時間内・外の加算も上がり、六歳未満の乳幼児加算として一本化されます。

〈入院医療〉一八〇日超の除外者は追加、 じょく瘡・臨研加算など新設

 入院医療では、一八〇日超の適用除外要件に、一五歳未満の患者他を追加しました。
 「安全対策」「感染対策」などの要件を満たせない場合の減算はそのままに、新たにじょく瘡患者管理加算が設けられました。
 また、臨床研修病院入院診療加算などが新設されます。

〈手術に係わる施設基準〉基準満たせない場合は減算

 手術を難易度で調整するとの理由で、施設基準を伴う手術は約五%の点数減です。従って施設基準を見直したと言っても、加算できる施設で従来並の点数にしかなりません。基準を満たせない施設では減算になります。

〈管理料・在宅医療〉管理料は軒並み減、訪問看護では評価も

 特定薬剤治療管理料、慢性維持透析患者外来医学管理料、手術前医学管理料など軒並み減点です。
 訪問看護の一日三回以上の加算が新設され、一日二回が点数増となります。また、訪問点滴注射管理加算が新設。在宅訪問リハビリ指導管理料を算定できる職種に言語聴覚士が追加されます。在宅への誘導を一層つよめるねらいです。

〈リハビリ・検査〉リハ一部で逓減緩和、検査点数は大幅減

 リハビリでは、急性発症した脳血管疾患等の患者で、発症後一八〇日以内の場合は、集団療法や消炎鎮痛等処置の逓減が緩和。言語聴覚療法Ⅲが新設されます。
 各種検体検査料、包括点数は一部を除き、大幅減で、大きな収入減となります。

特定療養費を拡大、 入院の包括化などが、 付帯事項に

 差額ベッドの五割超を、病床過剰地域の療養病棟と有床診療所へも拡大しました。これは患者負担を増大させるものです。
 DPC(診断群分類別包括評価)の民間病院への拡大、慢性期入院医療における包括評価や介護保険との整合性などを今後検討する、との付帯事項がつきました。

外来医療

・初診料、病  院:250点→255点
      診療所:270点→274点
・外来診療料(200床以上):68点→72点(※尿検査、糞便検査、血液形態・機能検査へも包括を拡大)

入院医療

・180日超入院の適用見直し:
15歳未満の患者、小児慢性特定疾患治療研究事業の対象者、育成医療の対象患者を適用除外に追加
・新設:ハイケアユニット入院医療管理料 3700点
     亜急性期入院医療管理料 2050点
     臨床研修病院入院診療加算 30点
     有床診療所入院基本料 40点
     褥瘡患者管理加算 20点
(※上記、管理料・加算・基本料にはそれぞれ算定要件があります)

手術に関する施設基準

・症例数及び医師経験年数の基準を満たす施設:
 5%加算
・症例数は基準に満たないが、医師経験年数の基準を満たす施設:減算しない
・症例数及び医師経験年数ともに基準に満たない施設:30%減
(※減算にならない施設の要件として、症例数の院内掲示、手術内容・合併症にかかわる患者への説明等が必要)

管理料・在宅医療

・特定薬剤治療管理料:500点→470点
・慢性維持透析患者外来医学管理料:2670点→2460点
・手術前医学管理料:1420点→1310点
・在宅患者訪問看護・指導料:
  1日2回訪問250点→450点
  1日3回以上訪問(新設)800点
・在宅患者訪問点滴注射管理加算:(新設)60点
・在宅訪問リハビリテーション指導管理料:
  言語聴覚士の訪問を追加
・在宅酸素療法指導管理料
  携帯用酸素ボンベ加算:990点→880点
  設置型液化酸素装置加算:4320点→3970点
  携帯型液化酸素装置加算:990点→880点

リハビリ・検査

・集団療法の逓減緩和:8単位まで→12単位まで
  (急性発症した脳血管疾患等の患者であって発症後
  180日以内)
・上記患者における介達牽引、消炎鎮痛等処置の逓減
  緩和:5回目以降→7回目以降
・言語聴覚療法Ⅲの新設:
  個別療法100点、集団療法40点
・各種検体検査料は軒並み減、一部プラスマイナスゼ
ロ。包括点数は減、判断料は若干増
・検体検査管理加算(Ⅰ):30点→40点
             (Ⅱ):250点→300点

(民医連新聞 第1327号 2004年3月1日)

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