事業所のある風景
2024年9月17日
民医連事業所のある風景 神奈川 うしおだ在宅クリニック 2025年1月リニューアルオープン だれもが安心して住み続けられる地域づくりの一翼を担います
うしおだ在宅クリニックは2006年に開設した、訪問患者260人、外来月650人(24年7月時点)の在宅医療を中心とするクリニックです。法人の在宅医療の開始は1953年の汐田診療所の開設にさかのぼります。全国の民医連事業所創設期と同様に、初代所長の桐山文治医師も外来、往診と縦横に駆け回り、その存在を地域のなかで確固としたものにしました。
当時は「在宅」診療報酬が定まっていないなか、患者の要求に応えるという一点で、ほぼ「持ち出し」で診療していたそうです。職員と患者の気持ちが医療活動推進の力となる時代がありました。開設翌年の患者数は3万4159人、60年は4万8022人になり、その姿に地域から猛烈な期待が集まりました。
また、86年に訪問診療が制度化されるまで、在宅患者の生活を支えるため、生活と健康を守る会をはじめとする団体とともに患者の求めに応え、訪問入浴や訪問看護に制度外でとりくみ、それらを行政が追認して給付制度をつくるなど、要求実現の先頭に立って奮闘してきました。
その後2006年に汐田診療所の「在宅医療部」を再編して「うしおだ在宅クリニック」を開設しました。21年に老健・訪問看護ステーション・ケアマネジメント事業所・友の会・まちづくり部が一体となり、医療、介護、福祉、まちづくりを協働して推進する方針のもと、病院近接地に建設された総合ケアセンタービルに移転し、現在に至ります。
在宅医療の発展のなかで、法人内すべての診療所で訪問診療にとりくんでいます。クリニックのある鶴見区内の管理患者は460人まで拡大。28年3月までには区内の訪問診療対象者の2割にあたる、800人の管理患者に向けて日々受け入れを推進しています。
入院と在宅医療の境界がなくなり、両方を知っている医療者の存在は重要です。昨年10月に長年法人の神経内科と在宅医療をけん引してきた塩田純一医師から所長を引き継いだ高橋雄介医師は、研修医時代から汐田総合病院で研さんを重ね、入院医療と地域の状況を熟知しています。看護師など医療従事者も病院勤務経験者がほとんどで、事業所の強みとなっています。また、4階建てのうしおだ総合ケアセンタービルの同フロアには訪問看護ステーション、ケアマネジメント事業所、2階・3階には老健があり、友の会からの利用者の紹介もあります。患者の状態変化があればすぐに職員が集まりカンファレンスで共有し急行、サービス調整し、救急搬送された患者さんの情報を救急室や病室に届けに行くなど、切れ目のないスピーディーな対応が可能となっています。
25年1月には汐田総合病院のかかりつけ医機能を担うべく、クリニックを1階部分にリニューアル移設し拡大し、一日180人規模のかかりつけ外来を開設します。現在はその計画の推進に病院と一体となってまい進しています。
厳しい状況ですが現在・過去・未来とあくまで地域に根差してがんばりたいと思います。
(うしおだ在宅クリニック 事務長 小川 正志)
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