副作用モニター情報〈641〉モルヌピラビル(ラゲブリオ®カプセル)の副作用まとめ
ラゲブリオ(R)カプセルはCOVID‐19に対する抗ウイルス薬です。2021年12月に流通制限下で特例承認され、2022年9月からは一般流通になりました。
作用機序は、生体内で加水分解され生成したN‐ヒドロキシシチジンをウイルスのRNAに取り込ませ、RNA複製エラーを増やしてウイルスの増殖を阻害します。
2023年度の日本における薬価ベースでの売り上げは全医薬品の中で2位となり、1000億円を超えました。内服薬であること、相互作用が比較的少ないことで、広く使用されたようです。
当モニターには、2025年4月までに27件の症例が寄せられました。今回はその一部を紹介します。
症例)50歳代男性
服用3日目:浮動性のめまいが出始め、歩行も難しい状態となったため自己判断で服用中止。
中止3日目:めまい改善。併用薬による低血糖や低血圧によるめまいはなかったと聞き取り。
症例)80歳代男性
服用5日目:腕と腹部に発疹が発現し中止。フェキソフェナジンが処方される。
中止2日目:発疹は消失。
症例)50歳代女性
服用1日目:服用後に、腹鳴と軟便あり。
服用3日目:パニックになり眠れない。どうしたらよいかわからないような状態。
服用4日目:自己判断で服用中止。軟便は1日で改善。
中止1カ月目:パニック症状は1ヶ月続いた。狭い部屋にいるとなにをしてよいかわからなくなることもあった。
本剤は十分に安全性が確認されない状況で承認された薬剤です。COVID‐19による症状である可能性は否定できませんが、新しい作用機序のため未知の有害事象が起こる可能性を念頭に置く必要があるでしょう。今後も副作用報告が集積していくと思われます。
(全日本民医連医薬品評価作業委員会)
(民医連新聞 第1833号 2025年7月21日号)
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