第46期第3回評議員会方針
2025年8月23日 全日本民医連第46期第3回評議員会
第1章 第2回評議員会以降の情勢の特徴
第1節 与党少数の衆議院のもとでの国会と運動の特徴、参議院選挙結果と展望
第2節 骨太方針2025を中心とした社会保障の対決点
(1)ひろがる貧困、物価高騰が生活苦をさらに直撃
(2)骨太方針2025の特徴
第3節 核戦争の危険の高まり、国内の戦時体制づくりと非戦・核兵器禁止の流れ
(1)アメリカ、イスラエルによるイランへの軍事攻撃と日本政府の態度
(2)アメリカ・トランプ政権の圧力と進行する日本の戦時体制づくり
(3)非戦・核兵器禁止へ向かう世界の流れ
第2章 47回総会を展望して
第1節 地域からいのちとケアが大切にされる社会をめざすとりくみ
(1)被爆80年、非戦、核兵器廃絶、平和な世界を受け継ぐ
(2)人権をめぐる運動
(3)「緊急行動提起」をすべての県連で具体化し、飛躍させよう
(4)受療権を守る運動
(5)医師・医学生署名の到達と医療法一部改正案へのたたかい
(6)介護ウエーブ
(7)住民に寄り添い、PFAS問題のとりくみを強化しよう
(8)全職員が地域へ足を踏み出し、共同組織拡大強化月間の成功を
(9)能登半島地震・豪雨災害の現状と全国で大規模災害への備えをすすめよう
(10)福島第一原発事故から15年へ向けたとりくみ
第2節 医療・介護・経営構造の転換
(1)医科法人の経営活動のさらなる前進へ向けて
(2)2040年へ向けたリポジショニングの方向性・論点
はじめに
広島、長崎への原爆投下、戦後80年目の夏を迎えました。日本は悲惨な戦争をへて「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意」(憲法前文)し、すすんできました。戦争か平和の岐路に立つ今、非戦、人権、くらしを守り抜いていく思いを強くし、47回総会へ向かう半年間としましょう。
6月7日、全日本民医連創立72年を迎えました。4月には、6000人を超える職員が民医連に参加し、困難のなかで医療と介護をささえてきた職員と力を合わせて無差別・平等の医療と福祉の実践をすすめています。すべての役職員の奮闘に敬意を表します。
3月12日、東京高等裁判所第8刑事部は、乳腺外科医師えん罪事件ついて検察の控訴を棄却し、2度目の無罪判決を出しました。東京高等検察庁は上告を断念し、3月26日、乳腺外科医の無罪が確定しました。医師の通常の診療行為に対し無実の罪を着せて冤罪(えんざい)を成立させようとした検察、警察と9年にわたり医師とその家族の人権をないがしろにした司法の不作為は、決して許されるものではありません。全日本民医連は「遅すぎる無罪判決」ではあるものの無罪が確定したことに心からの歓迎の意を表明するとともに、医療機関への不当介入が二度とくり返されないことを強く求めます。
わたしたちは、第2回評議員会以後、46回総会運動方針の全面的な具体化と実践に7つの分野(▽全職員の力を結集し経営危機を乗り切ろう、▽「ケアの倫理」を語り合い、ケアに満ちた新しい社会をみんなで描こう、▽オール地域で平和とくらし、人権としての社会保障を守り抜こう、▽一人ひとりの尊厳を大切にする医療・介護活動を充実させよう、▽高い倫理観と変革の視点を育む職員育成の前進を強めよう、▽困難に直面している医学対活動に正面から向き合い、オール民医連の力で前進に転じよう、▽私たちのあらゆる活動のパートナー、共同組織とともに前進しよう)のとりくみを強めている途上にあります。
日本中の医療機関、介護事業所の倒産、廃業に歯止めがかかっていません。いのちとケアが奪われる危機のなか、私たちは第1回評議員会で「社会保障抑制策からの転換をめざして」、第2回評議員会で「オール地域の運動で人権としての社会保障を守り抜こう」と提起し、他の医療・介護の団体との連帯と共同を、かつてなくひろげてきました。「診療報酬・介護報酬の期中改定」「財政支援の強化」を求める声をあげ、地域の医療と介護、受療権とくらしを守り抜くための運動を強め、マスコミの報道に全国の民医連のなかまの行動が報道されてきました。
これらの運動は、「医療・介護・障害福祉などの公定価格の分野の賃上げ、経営の安定、離職防止、人材確保がしっかり図られるよう、コストカット型からの転換を明確に図る」と、2025年度骨太方針に明記されるまでの変化をつくり出してきました。しかし「27年までの間、骨太方針2024年で示された歳出改革努力を継続しつつ」との記載も残されており、医療・介護をはじめとした社会保障の危機から転換できるかどうかは、これからの私たちの運動にかかっています。
理事会は、6月に開催した第17回理事会で「民医連の事業と経営をまもり抜き地域医療の崩壊をなんとしてもくい止めるための緊急行動提起」を決定し、全国に呼びかけました。全国各事業所の民医連職員が、共同組織の人たちと心を合わせてたたかうことで、いのちが何より大切とされる社会の土台を強くしていきましょう。理事会もその先頭に立ち奮闘していきます。
第3回評議員会は、1)せめぎ合いにある第2回評議員会からの半年間の情勢を共通認識にし、47回総会を展望した半年間の方針を満場一致で決定、2)2025年上半期決算を満場一致で承認、3)47期役員定数を圧倒的多数で承認しました。
第3回評議員会方針をすべての県連・法人・事業所で共同組織とともに具体化し、旺盛に実践をすすめましょう。
第1章 第2回評議員会以降の情勢の特徴
第2回評議員会以降の情勢のポイントを綱領の立場から、1)衆議院での与党少数のもとでの国会と運動の特徴と参議院選挙の結果と展望、2)骨太方針2025を中心とした社会保障をめぐる情勢、3)岐路に立つ国内外の平和、国際法を守り、非戦・核兵器廃絶へ向けた情勢を中心に提起します。
第1節 与党少数の衆議院のもとでの国会と運動の特徴、参議院選挙結果と展望
第2回評議員会方針は、「昨年10月の総選挙の結果、与党だけでは予算も法律も成立させられないこと、憲法改正に必要な衆議院での3分の2の議席には改憲をめざしている政党の議席を加えても届かず、改憲の動きを停滞させる状況を生み出した」と確認しました。ひろがった切実な要求を前進させる可能性を生かし、オール地域、市民の運動を強め、連帯と共同をひろげ「非戦・人権・くらし」を掲げ現場から声を上げていく方針を掲げました。
2025年の通常国会は、高額療養費の自己負担上限引き上げの凍結、介護職員の処遇改善の法案提出、選択的夫婦別姓法案の28年ぶりの国会審議入り、政治腐敗の温床である企業・団体献金全面禁止法案の国会審議などの変化が生まれました。医療・介護崩壊の危機を防ぐためのオール地域の運動は文字通り医療界をあげた運動にひろがり、政府を動かしてきました。一方で、日本維新の会や国民民主党など一部の野党は、少数となった与党をアシストする役割を担っています。
7月20日投開票で実施された参議院選挙の結果、衆議院に続き与党の自民党・公明党の議席は過半数を割り込みました。
立憲民主党、日本共産党、社会民主党、沖縄の風は、市民連合が政策要望した「『信じられる未来』へ――平和を守り、真に豊かな生活をとりもどす」(①戦争と暴力にもとづかない社会、②くらしといのち第一(ライフ・ファースト)の社会、③すべての個人の尊厳が尊重される社会)を受け止め、実現のための共闘の維持と拡大を相互に確認しました。結果、多くの選挙区で、候補者の一本化、市民と野党の共同を実現し、共闘の維持に力を尽くしたことは未来へ向かう展望をひらきました。
一方で、戦争のひろがり、戦争する国への準備の進行、日本人ファーストを訴え公然と事実にもとづかない外国人排斥など「分断」と「差別」が持ち込まれています。参議院では、改憲を志向する議員が3分の2を超えています。社会保障と暮らしを壊す大軍拡のための改憲をすすませないことが必要です。
一人ひとりの、いのちと人権の重さは平等です。国籍、人種、性別、職業などは関係ありません。無差別・平等の医療と福祉をめざす私たちが、いのち・憲法・綱領の視点と、くもりのない人権意識で真実を見つめることが、今ほど大切になっているときはないのではないでしょうか。
民医連は、より多くの人びとと連帯し声をあげ、いのちとケア優先の社会の実現を掲げる運動のなかで「分断」と「差別」を乗り越えていきます。
第2節 骨太方針2025を中心とした社会保障の対決点
(1)ひろがる貧困、物価高騰が生活苦をさらに直撃
先進国のなかで日本の貧困率は、あらゆる年齢で10%(65歳以上の高齢者では20%)を超え、就業貧困者は10・4%とアメリカと日本のみが10%を超えています。また現役世代のうち18~24歳は貧困率16・9%で、若者以外の現役層の12・2%を大きく超え、若年層の貧困率が高くなっています。子どもの貧困率は11・5%です(2024年OECD)。また貧困率の高いひとり親世帯、その大多数を占める女性、シングルマザーの世帯での貧困率は48・3%と先進国で最悪となっています。
本来なら、こうした事態を解決していく役割を社会保障制度が果たすべきですが、税による所得再分配が機能せず、生活とくらしを脅かすという逆の機能となっているのが日本の姿です。くらしの負担を改善し、社会保障が本来の機能を果たすうえで財源を十分に確保することが必要です。法人税、所得税の累進性を高め、消費税率を引き下げて税制のゆがみをただすことが急務です。さらに参議院選挙で多くの政党が公約に掲げた消費税率の引き下げを実現することが必要です。
私たちがとりくんだ、2024年経済的事由による手遅れ死亡事例調査の48例でも無職が26件、非正規雇用が9件でした。月収10万円以下が6割以上を占め、20件が負債を抱え保険料滞納も17件も確認されました。結果、無保険の18件と、国民健康保険、後期高齢者医療の資格証明書と短期保険証をあわせると27件にのぼり、正規の保険証のある21件も一部負担金が払えず、病気であっても未受診で推移した18件、治療中断15件と、7割以上の人が医療へのアクセスを絶たれたなかでくらしていました。貧困、払いきれない保険料、一部負担金がいのちと健康をむしばみ、奪っている実態がひろがっています。
こうした実態に長期化する物価上昇が追い打ちをかけ、国民生活に深刻な影響を与えています。2022年以降の物価高騰で実質賃金はマイナスが続き、賃上げがされても消費者物価指数の上昇率を下回っています。特に食料品価格、水道光熱費など生活必需品の高騰は消費者物価をさらに上回り(20年との比較で25年1月現在で生鮮食料品40%、食料品20%、水道光熱料金10~20%の上昇)、変動の大きな生鮮食料品を除いた消費者物価指数上昇の家計への影響は2人家庭で平均年10万円と試算されています(みずほリサーチ24年4月)。急速に高騰している米の卸売り価格は1年間で3倍にもなっています。
物価上昇は国民に等しく影響せず、低所得世帯とその子どもの食事に負の影響を強く与えています。NGOセーブ・ザ・チルドレンの調査では、支援対象者5000人中1750人(35%)が「過去一年間に自宅で十分な量のお米を食べていない」と回答(25年3月)。予算に限度のある学校給食、病院、介護施設ではメニューが変更され、フードバンクの運営では配布する食品量が制限されるなど深刻な状況がひろがっています。
(2)骨太方針2025の特徴
①2025年度骨太方針の医療・社会保障改革方針
2025年度骨太方針の医療・社会保障改革方針には前述した「医療・介護・障害福祉等の公定価格の分野の賃上げ、経営の安定、離職防止、人材確保がしっかり図られるよう、コストカット型からの転換を明確に図る」と記載され、2015年の安倍政権下の骨太方針2015年から9年間続いてきた社会保障関係費の伸びを高齢化による増加分に相当する水準に収める」として必要な伸びをカットしてきた点を「高齢化による伸びに、経済・物価動向等を踏まえた対応に相当する増加分を加算する」と書き込まれました。「経営の安定」が初めて書かれ、社会保障関係費の伸びの要因として、「(医療の)高度化」が、これも初めて公式に認められました。
この間の運動により変化の兆しはある一方で医療費4兆円削減を柱とした自民・公明・日本維新の会の3党合意の内容が骨太方針に明記されています。「持続可能な社会保障制度のための改革を実行し、現役世代の保険料負担を含む国民負担の軽減を実現するため、①OTC類似薬の保険給付のありかたの見直し、②地域フォーミュラリ(地域全体の医薬品使用標準化を図るため、医師、薬剤師、その他の関係者が連携して作成する推奨医薬品リスト)の全国展開、③新たな地域医療構想に向けた病床削減(11万床・内訳は必要病床数を超える一般病床、療養病床約5万6000床、基準病床を超える精神病床約5万3000床)、④医療DXを通じた効率的で質の高い医療の実現、⑤現役世代に負担が偏りがちな構造の見直しによる応能負担の徹底、⑥がんを含む生活習慣病の重症化予防とデータヘルスの推進などの改革」を25年末までの予算編成過程で検討し、早期実現可能なものを26年度から実行するとしています。
OTC類似薬の保険給付のあり方の見直しは、必要な薬が保険から外され、子どもの医療費助成など医療費負担の各種制度が受けられなくなるなど、経済格差による受療権の侵害が深刻になります。また、11万床の削減は在宅医療、介護の体制が整備されていない現状のなか、療養先のない高齢者や精神疾患を持つ人が地域で必要十分なケアを受けられなくなること、コロナ禍の教訓である「感染症などの事態に対応する医療体制の余力の確保」が投げ捨てられ、多くのいのちが奪われることにつながります。
骨太方針は、保険外併用療養費制度の対象範囲の拡大や保険から外された診療部分を補完するための民間保険の開発を促すことが記載されています。それは医療技術進歩に対応して医療保険の給付範囲を拡大するのではなく、その費用を保険外併用療養費制度と民間保険で賄う実質的な混合診療の拡大であり、受療権を奪い、支払い能力により受けられる医療が変わる「差別医療」を拡大するものです。
すでに、保険外併用療養費制度では、2024年10月からの後発医薬品のある先発医薬品を希望する患者に選定療養で追加負担を求める制度(長期収載医薬品の選定療養化)が実施されました。選定療養のなし崩し的な拡大による保険外しがさらにひろがることとなります。
②介護保険制度の改革方向
「骨太方針2025」は、3年前に政府が提案したものの、多くの反対の声で先送りにさせた「三大改悪案」(利用料2割負担の対象拡大、ケアプランの有料化、要介護1・2の生活援助等の保険給付はずし)について、「2025年末までに結論を得る」としています。政府は、参院選終了後からさっそく検討を開始し、年内に審議会の報告をとりまとめ、2026年度通常国会に「改正」法案を上程するかまえです。石破政権がすすめる全世代型社会保障改革の一環であり、「改革工程」(全世代型社会保障構築会議)では、この「三大改悪案」に加え、利用料3割負担や多床室の室料負担の対象拡大などを検討項目としてあげています。改革課題(介護)のトップに「生産性の向上」をあげていることも特徴です。
一方、財務省の「建議」(財政審)では、利用料負担の原則2割化、要介護1・2の訪問介護、通所介護の総合事業への移行など、政府案を越えた改悪案を提言しています。さらに、すべての施設の多床室での室料徴収、特養などにおける人員配置基準のさらなる柔軟化、訪問看護の適正化、交付金の傾斜配分による財政インセンティブの強化などを論点として列挙しています。介護事業所の倒産件数が最多になったことに対しては、「新設の法人が増加している」(訪問介護については「施設事業よりも新規参入が容易で全体数は増えている」)ことを理由に黙殺し、そればかりか「介護分野ばかりに人が集中するのは適切ではない」と断じ、増員ではなく、「生産性の向上」を通して人手不足に対処することを提言しています。
保険外サービスの活用を誘導する動きもかつてなく強まっています。経産省は、ビジネスケアラーの支援を理由に、日常生活支援や生活機能維持・療養支援などを保険外サービスとして開発し、訪問介護などの保険内サービスと組み合わせて提供する「混合介護」を本格的に推進する方針を打ち出しました。「介護の社会化」とは真逆の「介護の再家族化」、「介護の商品化」の流れが強められています。
第3節 核戦争の危険の高まり、国内の戦時体制づくりと非戦・核兵器禁止の流れ
ロシアによるウクライナ侵略は、3年をへて甚大な被害を生み続け、イスラエルによるガザでのジェノサイドも5万人を超える犠牲者を生み出しています。ロシアによる侵略を契機として世界各地で核兵器や軍事同盟の強化がすすめられ、軍事対軍事の対立がエスカレートするとともに、アメリカのトランプ政権が国際法のルールや国連憲章にもとづく国際秩序を公然と揺さぶる暴挙が際立っています。私たちは、非戦、核兵器禁止、国際法と国連憲章を守れの国内外の声と運動に連帯し、行動を続けていきます。
(1)アメリカ、イスラエルによるイランへの軍事攻撃と日本政府の態度
6月22日、イスラエルに続きアメリカ軍がイランの核施設を爆撃しました。国際法上、他国への武力行使として認められている「自衛権の行使」は、他から武力攻撃を受けた場合、あるいは、国連の安全保障理事会の決議がある場合に限られており、今回はいずれの事実もなく明確な国際法違反です。イスラエルがイランに対して先制攻撃したこと自体が国際法に違反しており、アメリカがその行為に「支持」を表明するだけでなく、攻撃に加わるなど言語道断であり、国連のグテーレス事務総長が「世界の平和と安全に対する直接的脅威」と強く警告したのは当然です。また、核施設への攻撃は戦争における人道的なルールを定めた「ジュネーブ条約」でも禁じられている、絶対に許されない行為です。
また、6月25日、トランプ大統領はイランへの攻撃に関し、「広島、長崎への原爆投下が戦争を終わらせた」という趣旨の発言を行いました。たった2発で21万人を超えるいのちを奪い、その後も後遺症で苦しんできた原爆の悲惨さをまったく理解しない発言であり、強く抗議し撤回を求めます。しかし、石破総理は明確な批判や抗議の意志すら示していません。
(2)アメリカ・トランプ政権の圧力と進行する日本の戦時体制づくり
アメリカのトランプ政権は中国との軍事的な対決のため、日本をその最前線に立たせ、役割を果たすよう圧力を強め、日本の防衛費を国内総生産(GDP)比3・5%(21兆円)への拡大も求めています。4月にはアメリカのピート・ヘグセス国防長官が「西太平洋でのいかなる有事においても日本は最前線に立つことになる」「平和を求めるならば戦争の準備が必要」と言い、九州、南西諸島、沖縄を中心に日米合同軍事演習がくり返されています。日本政府はこれにいいなりで、岸田政権が閣議決定した安保3文書を石破政権は具体化し、戦争の準備をすすめています。2024年には沖縄から九州まで基地建設がすすみ、地対艦ミサイル配備、敵基地を攻撃するトマホークなどが次々と購入され、南西諸島はミサイル基地化されてきました。また、住民ら約12万人を九州や山口県に避難させる計画を決め、アメリカいいなりに日本が米中軍事対決の「最前線」にされようとしています。
こうした日本国内の戦争準備として、防衛費増額予算の成立、国民民主党の政府への協力で成立した25年度税制改正では、26年度防衛特別法人税4%、27年度防衛特別所得税1%の徴収、能動的サイバー防御法も成立させました。6月11日には、学術研究を軍事研究、兵器開発など軍事目的に利用することを目的に「学問の自由」を侵害する「日本学術会議を法人化する法」を、学者・市民の大きな反対にもかかわらず強行しました。こうした流れは、報道、出版、映画、演劇など「表現の自由」へ拡大されていく恐れがあります。これらの戦争準備に対して日本維新の会、国民民主党などの野党が、無批判に賛成している状況が、今日の危機を際立たせています。参議院選挙で議案提案権を得た参政党は「スパイ防止法案」の提出をめざすとのべ、国民民主党、日本維新の会も参議院選挙の公約に掲げました。この法案の土台は1985年に中曽根内閣が防衛・外交にかかわる「国家秘密」と政府が認定した情報を外国に漏らした場合に「死刑を含めた厳罰を下す」内容の法案です。国民の思想信条の自由、知る権利を脅かす危険な内容であると市民、日弁連、マスコミ、政党など広範な反対で審議すらできず廃案となったものです。国内での戦争体制づくりのため、徹底的な言論の弾圧につながる憲法違反の法案です。
(3)非戦・核兵器禁止へ向かう世界の流れ
世界の核兵器をめぐる情勢は、戦後でもっとも厳しくなっています。核兵器を持つ国々が、ヨーロッパや中東で戦争や紛争を続けており、いつ核兵器が使用されてもおかしくない、緊迫した状況が続いています。私たちのくらす北東アジア(日本、中国、韓国、北朝鮮、モンゴル、ロシア)は、ロシア、中国、北朝鮮の核保有と、核保有大国アメリカと軍事同盟を結ぶ日本と韓国の「アメリカとの核兵器共有、拡大核抑止力の強化、自国の防衛能力の拡大強化」などがすすめられています。
こうしたなかで、核兵器禁止条約(TPNW)第3回締約国会議で焦点の一つとなったのは「核抑止論の問い直し」でした。国連グテーレス事務総長は、「核戦争のリスクがこの数十年で最高レベルにまで悪化している」とのべ、核抑止について「有効であるという確証も、有効でないという確証もなく、核抑止が失敗する可能性があることは疑いの余地がない」と発言しました。さらに、「核兵器がひとたび使用されれば、壊滅的かつ非人道的な被害が地球規模でもたらされることであり、核抑止に依存し続けるのでなく、核兵器を廃絶することが安全保障上の現実的な選択肢である。戦争が現実に起き、核戦争のリスクが高まるいま、核兵器廃絶は急務となっている」と議論しました。その後の核不拡散条約(NPT)国際会議では、核軍縮をめぐる核兵器国の深刻な対立が続きました。核兵器禁止条約締約国会議の成果をもとに、唯一の戦争被ばく国の日本が憲法9条を生かして、対話による外交をいっそう粘り強くすすめることが求められています。
第2章 47回総会を展望して
46回総会は「非戦・人権・くらし」を共同組織とともに守ることを掲げ、どれひとつ欠くことのできない目標としてとりくんできました。47回総会へ向かう半年間、この3つの目標はますます重要となっています。また、総会スローガンは、「ケアの倫理」を深め、「2つの柱」の全面実践で「人権の砦」たる民医連事業所を守り、発展させることを呼びかけました。現在すすめている「ケアの倫理」cafeでは、「誰もがケアしケアされる存在」「利用者からも多くのケアをもらってきた」など、ケア実践をとらえなおす機会となっています。日常実践のなかで感じるとまどいや喜びの意味を語り合い、自分たちの言葉としてつかみなおすことで、あらためて民医連に確信を持ち、原点を守り育てることにつながります。「ケアし合う職場づくりが、より良いケアにつながり、経営改善にも生きる」「職員育成指針の実践」「民医連の活動そのものが社会のケア」などの感想も寄せられ、民医連の未来につながるとりくみとして実感されています。「診療報酬・介護報酬をあげるなど、ケアする人をケアする制度が必要」「軍事費よりケアを」など「ケアが、放棄できないいとなみ」として公的に評価されることの必要性が切実さをもって語られ、今日の困難を乗り越えていくうえで「ケアの倫理」を学ぶことの大切さが鮮明となっています。「ケアの倫理」cafeを第47回総会にむけて、とりくみをひろげましょう。
10月10~11日「非戦・人権・ケアの倫理」をメインテーマに第17回全日本民医連学術・運動交流集会を東京で開催します。11月27~29日には「今何しとう? 会って話そうや~6年ぶりの再会 県を越えて出会い 仲間と笑顔で埋め尽くそう~」をスローガンに第41回民医連全国青年ジャンボリーを兵庫で開催します。全国から集い、成功させましょう。
今回の評議員会方針は、47回総会への展望を切りひらくうえで、第2回評議員会をベースに、総会までの半年間、平和・医療・介護・受療権を守るたたかい、民医連の事業と経営の改善を共同組織とともに強めるため、補強すべき課題を提起します。
第1節 地域からいのちとケアが大切にされる社会をめざすとりくみ
(1)被爆80年、非戦、核兵器廃絶、平和な世界を受け継ぐ
1945年7月16日は人類初の核実験、8月は広島、長崎への原爆投下から80年になります。第2回評議員会で、患者、利用者、共同組織をはじめ、多くの被爆者の体験を傾聴し、証言を継承していくことを確認しました。3月末時点で被爆者は、9万9130人と初めて10万人を下回りましたが、一人ひとりの言葉に「核兵器廃絶」の道理と正義があり、被爆証言こそが核戦争を防止してきた力です。私たちには、非戦、核兵器廃絶へ向け運動をさらに前進させる使命があります。被爆者と、ともにたたかう80年にしていきましょう。
原水爆禁止2025世界大会が広島、長崎で同時開催され、のべ1万2930人が集い、民医連からはその2割にあたる2398人が参加、多くの被爆証言を聞き、「医療従事者として、いのちと健康を守る立場から、戦争や核に反対する重要性を痛感した(千葉の研修医)」など被爆者とともに核兵器廃絶への思いを重ねました。すべての事業所で報告会を開催し、参加者の学びを深めていきましょう。民医連が一貫して被爆者とともに、医療活動、介護活動、核兵器廃絶の運動を続けてきた歴史をすべての職員に伝えましょう。
日本政府に核兵器禁止条約への署名・批准を求める署名は、27万3925筆(目標100万筆)です。各自治体への意見書の決議運動とともに署名を継続しましょう。
全日本民医連平和活動交流集会、ビキニ訴訟支援など、ひきつづきとりくみます。被ばく問題委員会で作成した『高齢被ばく者支援の手引き~介護手当の申請~』を活用し支援を強めましょう。
日本原水協から来年開催されるNPT再検討会議へ代表を送るとりくみを民医連として具体化にはいります。
45期に呼びかけた「9条の碑」をつくる運動はさらに広範に、地域と力をあわせて前進しています。各地で地元の戦争被害を学ぶフィールドワークを制度教育に位置付けてのとりくみも生まれています。各事業所でこれらの活動を柱にアクションプランをつくり、被爆80年、戦後80年の行動をさらにひろげていきましょう。
沖縄・南西諸島のミサイル基地化は再び戦場になる可能性をひろげ、平和を深刻に脅かしています。こうしたなかで来年1月25日投開票で、名護市市長選挙が行われます。辺野古支援連帯行動のとりくみとともに、沖縄民医連と連帯し、辺野古新基地建設の中止を実現していく運動として、市長選挙のとりくみをすすめていきます。
(2)人権をめぐる運動
①旧優生保護法違憲判決から1年、今後のとりくみ
昨年7月の歴史的な最高裁判決から1年が経過しました。9月に国と関係3団体(原告、弁護団、優生連)の間で取り交わされた「基本合意書」にもとづき、今年4月から両者の定期協議か開始され、現在3つの作業部会(被害回復、人権教育・啓発、偏見差別の根絶)が活動をスタートさせています。また、今後とりくまれていく国の検証作業は、国会が行い、日弁連(法務委員会)が事務局を担うとされています。当面の焦点は、被害者への補償と尊厳の回復です。今年1月から新しい補償法が施行されていますが、認定件数は5月末で582件であり、全被害者(約8万5000人)の1%にも届いていません。被害者1人ひとりに補償対象であることを知らせる「個別通知」を実施している自治体は8県にとどまっています。
各県連で各県の障害者団体、当事者団体、弁護士会と相談・連携をしながら、補償法の周知や被害者の掘り起こし(患者歴の確認)、診断書作成など申請時の支援、自治体への要請(個別通知などの対応強化)などにとりくみます。このような人権侵害を二度と起こさないために、旧優生保護問題の全面的な検証を国に重ねて求めます。当事者のみなさんと手を携え、優生思想にもとづく障害者差別の根絶、障害のある人にとっても生きやすい社会の実現をめざしていきましょう。

②国連女性差別撤廃委員会の勧告後の状況と今後のとりくみ
昨年10月に国連女性差別撤廃委員会の総括所見が出されて以降、民医連は、選択的夫婦別姓導入の請願署名、同条約選択議定書の批准を求める請願署名に連帯してとりくみ、第6次男女共同参画基本計画への総括所見の反映を求めて国に要望書を提出しました。ひきつづき、「4つのフォローアップ項目」(選択的夫婦別姓の実施、女性が国会議員に立候補しやすいための供託金を一時的に300万円から引き下げること、すべての女性と少女が緊急避妊薬を含む近代的で手頃な避妊方法にアクセスできるようにし、16歳および17歳の少女が避妊薬にアクセスする際に親の同意要件を撤廃すること、女性が中絶を求める際に配偶者同意が必要とされる要件を撤廃するため法律を改正すること)をはじめ、SRHR(性と生殖に関する健康と権利)を含む健康の課題や性暴力の根絶、国内人権機関の設置など総括所見の全面的な実施を求めます。包括的差別禁止法の制定も急務です。
第46期スローガンに掲げた「ジェンダー平等」「多様性の尊重」を実現すべく、ジェンダー委員会を設置、課題を答申しました。とりわけ、パリテ(注1)は「構造的不平等を是正して、すべての人が公平に参加できる場をつくる」ことであり、民医連こそ率先したとりくみをすすめていくよう明記しました。会議に参加しやすい条件など、当事者とともに仕組みを工夫することも大切です。
また、SOGIE(注2)はすべての人の人権の問題でありジェンダー平等とともにとりくむ課題です。全日本民医連の職員の約7割は女性です。パリテ、多様性の尊重、組織改革は、「新しい時代(人権と多様性)」「ケアに満ちた社会」への対応です。「人権の砦」であり続けるために、包括的性教育、アンコンシャスバイアスを取り除く研修などを位置づけ、全日本、県連、法人・事業所でのジェンダー差別解消のとりくみを相関させて、新たな時代をひらきましょう。
(3)「緊急行動提起」をすべての県連で具体化し、飛躍させよう
6月末に提起した「民医連の事業と経営をまもり抜き地域医療の崩壊をなんとしてもくい止めるための緊急行動提起」(第17回全日本民医連理事会決定)は、地域医療崩壊の危機という深刻な背景と、そのとりくみの意義からみても、まさに緊急かつ最重要の課題として臨む必要があります。7月中には、共同組織や労組との合同体制も含め、3分の2を超える県連で推進体制が確立されました。全県連で、実践に責任をもつ体制を速やかに確立し、直ちに行動を開始しましょう。
現在の局面では、メディアや主要な医療団体からの情報発信も活発です。こうした状況で、「安心して住み続けられるまちづくり」に欠かすことのできない「地域医療まもれ」の声を、地域住民とともに「オール地域」の運動として、全国各地で大きく巻き起こす絶好の機会を迎えています。民医連の全役職員がこのとりくみを「自分ごと」として主体的にとりくむことと同時に、民医連の外に向かって、いかに協同をひろげられるか、いままでつながりのなかった個人・団体、医療・介護以外の業界、住民組織など、民医連の知らないところでもとりくみがひろがっていくような大きなうねりを巻き起こせるかどうかが鍵となります。
日本医労連、医療福祉生協連、保団連、新医協、全日本民医連で構成する医療団体連絡会も共同をすすめていくことを確認、10月30日に対政府要請行動を行います。9月25日には、日本医師会、日本看護協会などへも賛同を申し入れ、医団連と全国大学高専教職員組合、自治労連、東京医労連、全国福祉保育労、中央社保協で実行委員会を構成し、「もう限界、平和と社会保障を立て直せ!」の大集会を日比谷野外音楽堂で行い、パレード、厚生労働省への要請にとりくみます。全国から最大規模での参加を労働組合、共同組織と力をあわせてとりくんでいきましょう。
危機の根底には、国の社会保障抑制政策があります。「緊急行動提起」を軸に、控除対象外消費税の抜本的見直し、受療権を守るたたかい、介護ウエーブ、ドクターウエーブ、ナースアクションをはじめ、全日本民医連諸方針と一体のものとして、共同組織とともにひろく、大きな運動に飛躍させて確かな成果をつかみとりましょう。
①とりくみの期間は2026年1月の通常国会までです。2026年診療報酬改定の論議との関係では、途中段階でも多様な行動を提起していきます。
②日本医師会と6病院団体のアピールをもとに作成したポスターは、事業所はもとより連携医療機関や、共同組織支部での掲示などひろがっています。民医連事業所のある地域内すべての医療機関に掲示されるようひろげましょう。
③「地域住民の医療を受ける権利を保障するために医療機関の維持存続への支援を求める請願署名」は100万筆をめざします。真っ先に、全職員、職員家族など身近な関係者で集め、共同組織構成員、地域の多様な連携施設、地域住民へと呼びかけをひろげましょう。「地域医療を守る会」など地域住民が主体となるとりくみになるよう、署名取扱団体名も工夫が必要です。11月末60万筆、2026年1月末100万筆をめざします。
④秋の共同組織拡大強化月間方針に位置づけ、共同組織や地域向けの懇談会や学習活動計画を確立し、共同したとりくみとして力強くすすめましょう。
⑤世論を喚起する、さまざまな情報発信の機会を設定しましょう。院内外の集会、患者利用者向け懇談会、奨学生会議、地域医療について考えるシンポジウム、街頭宣伝、新聞投書、SNS活用など、圧倒的多数の人びとの共通認識とすることを目指して多様な機会、媒体を活用しましょう。
⑥都道府県、市町村議会への働きかけを強化しましょう。北海道、長野県、神奈川県、奈良県、島根県、鹿児島県、沖縄県、札幌市、三郷市、岐阜市、大和高田市、福岡市、北九州市、宗像市などで診療報酬の臨時改定、財政支援などを国へ求める意見書が採択され、続々とひろがっています。9月・12月各議会に向けて、議員懇談など準備をはじめましょう。
(4)受療権を守る運動
①高額療養費制度の負担上限額引きあげ白紙撤回、マイナ保険証をめぐるとりくみ
高額療養費制度の負担上限額引きあげは、患者団体や当事者の声、大きな国民世論と運動で8月実施は凍結されましたが、制度見直し自体は撤回されず、今秋までに再検討して決定するとして、すでに厚労省に設置された「高額療養費制度の在り方に関する専門委員会」で検討が始まっています。ひきつづき、国会議員や地元出身議員への働きかけ、地域での宣伝など他団体と共同した運動にとりくみましょう。
マイナ保険証をめぐって、2024年12月の健康保険証の新規発行停止に伴い、資格証明書も廃止されました。厚労省は、今後保険料を滞納した場合、特別療養費(受診時窓口10割負担)に切り替わる「事前通知」送付前に、納付勧奨や納付相談の機会を確保すると法律に規定しており、自治体にも計画的に納付相談するよう通知しているとしています。しかし、実際には納付相談もなく、10割負担になると記載された「国民健康保険特別療養費適用通知」が送付された事例もあり、保険料滞納時の自治体の対応について注意が必要です。
8月15日、石破内閣は、保険証廃止後、国民健康保険料の滞納で窓口10割負担となった世帯への対応についてただした質問主意書に対し、「保険料の負担が困難との滞納世帯の申し出があれば、市町村が特別な事情に準ずる状況と判断することができ」、「従来の短期保険証と同様、通常よりも有効期間が短い資格確認書を交付することが望ましい」と閣議決定しました。医療が必要と医師が判断した場合、資格確認証が発行できることが確認されました。
マイナ保険証をめぐっては制度が煩雑となりすぎ、医療機関側のみならず、役所の担当者も十分に制度の理解ができていない場合もあり、今回の閣議決定を現場、そして役所にも説明し、受療権を守っていきましょう。
また、マイナ保険証の電子証明書更新忘れで資格確認ができないトラブルも発生しています。厚労省は後期高齢者医療の加入者全員に、申請なしで2026年7月まで資格確認書を交付すると決めました。また、多くの国民健康保険証は7月末が有効期限になっています。各自治体はマイナ保険証を持っている人には「資格情報のお知らせ」を、マイナ保険証を持っていない人には「資格確認書」を交付することになっており、多くの患者がどれで受診すればいいのか戸惑い、混乱は必至です。厚労省は現場の混乱を避けるために、期限が切れた健康保険証や「資格情報のお知らせ」のみを持参した場合でも、2026年3月まではオンラインで資格確認を前提に、保険診療を認めるという事務連絡を6月27日付で各自治体などに発出しました。しかし、さらに混乱を招く、このような小手先の対応ではなく、ひきつづき従来の健康保険証を使えるよう、障がい者や高齢者など、要配慮者には申請がなくても自治体が職権で資格確認書を交付するよう、要求していきましょう。
②2024年経済的事由による手遅れ死亡事例調査や、後期高齢者医療の窓口負担2割化実施後のアンケート調査の記者発表で結果を知らせ、給付抑制・負担増路線の転換を求める運動
2024年手遅れ死亡事例調査結果は多くのマスコミで報道され、各県連の記者発表も地元紙やTVなどで報道されています。ひきつづき全県連で記者発表にとりくみましょう。職員にも調査結果を伝え、学び、2025年手遅れ死亡事例調査の準備も始めましょう。
後期高齢者医療の窓口負担2割化実施から3年となり、負担軽減の配慮措置の終了が9月末に迫っています。
全県でとりくんだ2割化実施後のアンケート調査で84%が2割負担は「とても重い」「重い」と回答、「いままでどおり受診」を継続していても、「薬がないと生活できない。生活費を削ってでも受診せざるを得ない」など生活費などを切り詰めている実態が明らかになりました。「病気になったら治療せずに、死を待つことになるでしょうか」といった切実な声も寄せられています(東京・健生会調査)。また、申請する権利がある人の一定数が制度がわからず、申請に至っていないことも明確になりました。物価高騰がさらにすすむなかで9月末の配慮措置を終わらせる理由はありません。全日本民医連、各県連、法人で調査結果を記者発表し、10月以降の配慮措置継続、制度周知・手続きの簡素化を厚生労働省に求めます。

③いのちのとりで裁判、桐生市生活保護違法事件などへの全国支援と生活保護改善
生活保護基準の大幅引き下げは「健康で文化的な生活」を保障した憲法25条違反と訴えた「いのちのとりで裁判」で、6月27日最高裁は「保護基準引下げは『違法』」との判決を言い渡しました。全日本民医連はこの判決を高く評価し、国に対しすべての原告への謝罪と早急な全面的救済を求める声明を発表しました。判決後、厚生労働省は原告への謝罪も実施せず、救済、再発防止などの話し合いにもついていません。原告とともに1日も早い全面解決力へ全国で行動を強めていきます。
桐生市生活保護違法事件では、桐生市が第三者委員会の報告書をもとに検証や改善を開始しましたが、まだ原告への謝罪と被害者の救済など課題が残されています。最後まで徹底した改善を実現するよう全国で支援しましょう。また、桐生市より保護率減少が著しい10自治体をはじめ(資料1)、全国で生活保護の漏給や申請権の侵害、扶養照会などの人権侵害が行われていないか、あらためて自治体の「生活保護のしおり」を自治体キャラバンなどで点検することをよびかけます。
疾病に伴う生活困窮で生活保護を受給する高齢者に対し、主治医、ケアマネジャーが看多機の利用を相談したケースで福祉事務所が、「生活保護利用者が看多機を利用するのはぜいたく」と退けた事例が生まれています。各自治体で生活保護の抑制にとどまらず、人権、権利としての社会保障への侵害を決して見逃さず、とりくみを強めましょう。
④1職場1アウトリーチ実践を具体化
「熱中症訪問調査」や「冬季高齢者生活調査」(北海道)など、地域へ出て、住民の生活困難や制度改善の課題をつかみ、自治体や国への制度改善の運動につなげるとりくみを重視します。北海道のオホーツク勤医協は、全職場に「1職場1アウトリーチ」を提起し、2024年秋の月間で気になる患者・利用者などへの訪問行動にとりくみ、報告会や医療介護活動交流集会で実践を交流しました(『民医連医療』2025年6月号「現場の気づきからはじめるソーシャルアクション」参照)。全国で、今年の共同組織拡大強化月間には、共同組織とともに思い切って地域に積極的に踏み出すとりくみを具体化しましょう。
⑤自治体キャラバンの成果、今後の課題の共有
社保協や県民大運動など他団体とも連携し、自治体キャラバンや自治体要請行動に積極的にとりくんできました。この間、マイナ保険証をめぐる課題や、高額療養費制度の自己負担限度額引きあげをさせないとりくみなど、国会要請行動とも連動させて各都道府県議会への要請にもとりくみました。また、国保改善や介護保険制度の抜本改善などの運動をすすめてきました。子ども医療費無料化や学校給食費無料化は、各地で前進しています。補聴器助成の運動もひろがり、共同組織などとともに助成を勝ちとっています。ひきつづき秋以降、全国の成果を集約、共有しながら運動をすすめましょう。
⑥保険で良い歯科医療のとりくみ
「保険で良い歯科医療を」全国連絡会(以下、「全国連絡会」)としてとりくんだ、「保険でより良い歯科医療を求める」請願署名は、2025年6月5日に全体で19万1216筆(民医連13万6137筆)を国会へ提出しました。今回のとりくみの特徴は、各県連に署名の集約や活動報告を共有しながらすすめてきたことで、民医連全体でのとりくみになったことがあげられます。保険で良い歯科医療を求める要求の大きさを、あらためて実感することができました。また、今回は「当事者の声を集める」ことを提起し、歯科医療に対する多くの声を聞くこともできたため、今後とりくむ『歯科酷書第5弾』に向けたきっかけにもなっています。地域歯科医療の崩壊が危ぶまれるなかで「保険でより良い歯科医療を」求める運動を柱に、民医連の歯科医師、歯科衛生士、歯科技工士の確保と育成が急務の課題となっています。
⑦千葉天海訴訟への全国支援を強めよう。
7月17日、最高裁判決は自立支援給付に相当するサービスを受けることができる場合は介護保険が優先され、自立支援給付は行われないと判断を出しました。訴訟自体は、天海さんが要介護認定の申請をしていないため、受けることのできる介護サービスの量を算定できない(すべての支援サービスを打ち切った)とした千葉市の判断が妥当だったかどうかを改めて判断するとして、審理は東京高裁に差し戻しとなりました。千葉市の判断が妥当となると、障がい者が、障がい者自立支援の給付を受けながら、負担なく安心してその人らしく暮らしていく権利が奪われる事態となります。弁護団やきょうされんなどと固く連帯して支援をすすめていきましょう。
(5)医師・医学生署名の到達と医療法一部改正案へのたたかい
2023年12月から本年3月末まで「医師・医学生署名をすすめる会」でとりくんできた「医療崩壊を防ぐための医師増員を求める請願署名」は、5月に署名提出集会を行い、8267筆を3党1会派12人の国会議員に、国民向けのWEB署名1万4940筆および医師・医学生対象のWEB署名103筆を厚労省に提出しました。第217回の国会に提出された、医学部定員の適正化(削減)と医師偏在対策を含む「医療法等の一部を改正する法律案」は成立しませんでしたが、秋の臨時国会には、自民党・公明党・日本維新の会の医療費4兆円削減の3党合意も盛り込み提出される予定です。政府が意図的に流す、医師の「地域偏在」「診療科偏在」は、マスコミによってそのまま報道され、現場の「圧倒的に医師が足りない」実態と、大きく乖離(かいり)しています。6月に行った厚労省との懇談では、担当官から「医師が余っているという言い方はこれまでしていない。偏在指標も相対的に見て、比較しているにすぎない」との発言がありました。どれだけ「医師偏在」がまやかしであることを社会にひろげ、「絶対的医師不足」を世論にしていけるかが重要です。
『80/80パンフ』を積極的に活用し、「80/80ドクターウエーブ」を(1)医師・医学生・職員・共同組織の学習、(2)地域の医療機関などとの懇談、(3)500人を目標に医師・医学生アンケートにとりくみます。
(6)介護ウエーブ
①この間の介護ウエーブのとりくみ
前回の評議員会以降、各地で介護ウエーブのとりくみが旺盛にすすめられました。「制度改善」「報酬改善」「処遇改善」「改悪中止」を請願項目に掲げ、社保協などさまざまな団体ととりくんだ介護署名は、全体で34万1301筆を通常国会に最終提出し、このうち民医連は21万9715筆を集約しました。地域の他団体とも協力しながら、介護学習会やシンポジウムなどが積極的に企画され、大きな成功をおさめました。4月に全日本民医連として、今年8月からの一部老健・介護医療院多床室を対象とした新たな居住費徴収の中止などを厚労省に要請しました。訪問介護の基本報酬引き下げ撤回などを政府に求める意見書採択は、6月までに292自治体(うち37県議会)にひろがっています。新潟県村上市、東京・品川区、世田谷区などで訪問介護事業所の減収分を補填(ほてん)する独自施策が実施されています。
②介護保険の経過と現状
介護保険法施行から25年が経過しました。もともと介護保険は、「介護の社会化」への期待を背景にしつつ、創設当時すすめられていた社会保障構造改革のなかで、応益負担制や保険給付の上限設定(区分支給限度額)など、利用者にとって「構造的欠陥」というべき利用抑制の仕組みが最初から組み込まれて設計されました。2000年の施行後は、「制度の持続可能性の確保」のスローガンのもと、サービスを削り、負担を引き上げる見直しが重ねられたことによって「構造的欠陥」が増幅し続けてきました。
介護報酬は一貫して低く据え置かれ、2024年度改定はかろうじてプラス改定(1・59%)となったものの、求められる処遇改善や物価の上昇分に届かない不十分な引き上げ幅にとどまり、昨年の介護事業所の倒産件数は172件と過去最多となりました。とりわけ基本報酬が引き下げられた訪問介護では、かつてない厳しさが続いており、今年1月~6月の倒産件数は45件(前年同期比12・5%)と2年連続で過去最多を記録しました。昨年の改定以降、訪問介護事業所が空白となった自治体が増えており、一部の地域では事実上の介護崩壊が始まっています。現場では慢性的な人手不足が続き、有料職業紹介会社の利用を余儀なくされています。ヘルパーの有効求人倍率は14倍を超え、ケアマネジャーの不足も深刻化しています。政府は2026年度に介護職員が25万人不足する需給見通しを示していますが、有効な対策はいまだ講じられていません。肝心の処遇改善はすすんでおらず、2024年度の全産業平均との賃金格差は、前年度月額6万9000円から8万3000円へと大幅にひろがっています。
現在、介護保険は公的な介護を保障する制度として重大な機能不全(制度の空洞化)を起こしています。利用者にとっては、相次ぐ制度の改悪によって必要なサービスを受けられない、事業所にとっては、利用者の要求や地域の介護需要に応えきれない事態がひろがっています。介護保険料を納めているにもかかわらず(年金天引き)、必要な時に必要なサービスが保障されない状態は、まさに「国家的(保険)詐欺」というべきです。介護保険制度の建て直しは一刻も待てない課題となっています。
③今後の介護ウエーブの課題
当面の介護ウエーブの焦点は、「三大改悪」を阻止することです。「改悪法案をつくらせない、国会に上程させない」ことを目標に、改悪のねらいをひろく知らせ、必ず中止・撤回させましょう。政府が推進する全世代型社会保障改革全体を押し戻す大きな力にもなります。
「骨太方針2025」に基づき、年末、通常国会に向けて2026年度予算編成作業が本格化していく時期です。2026年度の期中改定実施による基本報酬の底上げ、国費による大幅な処遇改善を実現させる予算措置を求めます。具体的な事例を通して現在の介護保険制度の問題・矛盾を掘り下げ、費用負担軽減やサービスの拡充など制度の抜本的な改善・充実を求めていきましょう。制度改善のために介護保険財政における国庫負担割合を引き上げること、処遇改善は、利用料に跳ね返る介護報酬の加算ではなく、全額国費の投入によって行うことが政策上の大きな焦点です。社保協の「介護保険制度抜本改革の提言」を学び、運動につなげていきましょう。各自治体に対して、国への意見書採択、訪問介護事業所への緊急支援や処遇改善などの独自施策を求める働きかけをひきつづき強めていきましょう。
公的なケアが決定的に不足しているなか、介護保険のさらなる改悪にストップをかけ、抜本的な制度改善と処遇改善を求める介護ウエーブは、ケアに対する政府の責任を問い、ケアの受け手と担い手双方に必要なケアを制度的に保障させるとりくみであり、「ケアの倫理」、「民医連の介護・福祉の理念」の実践のひとつです。すでに新しい介護請願署名がスタートしています。請願は、「制度改悪の中止」「介護報酬の底上げ」「大幅な処遇改善」「介護保険の抜本改善」の4点です。署名を軸に、「医療崩壊を防ぐための緊急行動」、ナースアクション、ドクターズデモンストレーションとも共同し、「三つの丸ごとウエーブ」(地域丸ごと、民医連まるごと、ケア丸ごと)をひろげ、私たちの要求を必ず実現させましょう。
(7)住民に寄り添い、PFAS問題のとりくみを強化しよう
6月26日、イタリア・ベネト州で三菱商事の関連会社がPFASを流出させ、広範囲な水質汚染を引き起こしたとして、問題の発生時に関与していた日本人3人を含む11人に最長17年6カ月の拘禁刑を課しました。世界的には環境問題は発生元が断罪されています。一方日本では、環境省が水道水中のPFAS濃度の基準値を、米国やEU諸国よりもはるかに高い50ng/ℓと定めようとしており、環境省自身が行ったエコチル調査における「非常に低い濃度で染色体異常が起こる」とした研究論文を踏まえていませんでした。民医連は環境省の「水道水質基準等の見直し」「水質汚染に係る人の健康保護に関する環境基準等の見直し」について0・25ng/ℓにすることを求めて、パブリックコメントにとりくみました。
この間、あらたに熊本市、京都府綾部市、兵庫県西脇市、宝塚市などでPFAS汚染が明らかになり、住民といっしょに学習会や自治体への働きかけ、血液検査がとりくまれています。全日本民医連PFAS問題委員会は2025年3月に第2回PFAS問題交流会を開催、基礎的な知識の学習を行うとともに分科会で具体的なPFAS血液検査と相談外来の開設、自治体への働きかけ、職員や住民対象の学習会のすすめ方などを学び、交流しました。全国で学習会にとりくみましょう。
4月には大阪でダイキン淀川製作所の労働者のPFAS血中濃度の高値と間質性肺疾患との関連について民医連の医師を筆頭著者とした論文が発表されました。
今後民医連の全国組織の強みを生かした調査・研究活動として全国PFAS血液マップの作成のための調査にとりくむ予定です。このように検査を実施することで、まだ、明らかになっていないPFAS血中濃度の高い地域の存在やPFASと関連性の高いとされる疾患を明らかにできる可能性があり、とりくむ意義は大きいと考えます。10月頃から全国的にとりくめるよう準備しています。
今後、高濃度汚染が判明した地域では、県連や法人単位で住民とともに自治体での汚染源調査や血中濃度検査の実施、自治体に財政支援を求めるとりくみなどができるよう、全日本民医連および地協での日常的な相談支援体制を具体化します。
東京・病体生理研究所ではPFAS血中濃度分析装置を購入して設置し、各地の自治体や住民運動と一体となった民医連事業所での血中濃度検査が前進しています。各県連、法人、事業所、共同組織で機器購入募金を継続してとりくみましょう。

(8)全職員が地域へ足を踏み出し、共同組織拡大強化月間の成功を
①第46期共同組織委員長会議の成果を学び、ひろげよう
第46期共同組織委員長会議を6年ぶりに対面で開催し、指定報告、グループ討論で各地のすすんだ実践や、日頃の「キラッとひかる活動」を大いに交流し、全国のゆたかな実践を交流しました(資料2)。全体会はホームページで視聴できます。全県連理事会、法人理事会で問題提起、指定報告、各地の活動を学び合い、ひろげていきましょう。
②2025年秋の共同組織拡大強化月間の成功、未曾有の経営困難を共同組織とともに打開を
健康づくりや健康まつりなど全国で共同組織の多様なとりくみが、ほぼコロナ禍前に戻り、地域の中で活発なとりくみが再開しています。こうした共同組織の活動は、地域にとってなくてはならない魅力あるとりくみです。仲間増やしをしっかり位置付けて、あらゆる機会に意識的に加入を訴えることが大切です。また、コロナ禍での活動自粛の影響、体制の厳しさもあり、地域へ出られず、共同組織・まちづくりの活動、魅力を体験できていない職員もいます。
2025年共同組織拡大強化月間は、共同組織とともに職員が思い切って地域へ出られる仕組みを管理部が組み立て、多くの職員が民医連と共同組織の魅力に触れる月間にしましょう。
全組合員・友の会会員訪問、月間中の班会や支部会議への職員参加などを1職場1アウトリーチ活動としても位置づけ、地域の声を聞き、共同組織とともに介護ウエーブ、ドクターウエーブ、ナースアクションにとりくみ、負担増や受診抑制や介護サービス制限につながる制度改悪阻止の運動にもとりくみましょう。
未曽有の経営危機打開のためには、共同組織とともに、受療権を保障する地域の社会的共有財産としての医療機関を守る運動が重要です。組織担当者任せにせず、法人トップを先頭に、共同組織にも呼びかけ、月間中こそ「地域住民の医療を受ける権利を保障するために医療機関の維持存続への支援を求める請願署名」(国民署名)を位置づけ、「緊急行動」にとりくみましょう。絶対的医師不足の実態も学習し、訴えていきましょう。
『いつでも元気』読者会の開催や職場会議での読み合わせ、『いつでも元気』紹介動画の活用など、全国の『元気』活用経験を共有し月間期間中の5万部回復と、早期の6万部達成をめざします。職員読者比率28・3%(2024年12月現在)です。職員過半数の購読率をめざしましょう。
県連、法人、事業所が、共同組織を拡大強化し、安心して住み続けられるまちづくりを地域で発展させるための戦略的な方針を立てる上で、正確な到達、活動状況を把握することが非常に重要です。各県連、法人で実務体制の点検・確立など改善をすすめましょう。
(9)能登半島地震・豪雨災害の現状と全国で大規模災害への備えをすすめよう
2024年元日に発生した能登半島地震から1年8カ月、同年豪雨災害から1年が経過しようとしています。奥能登4市町では転入者数から転出者数を引いた「社会増減」が4150人減・平均7%減と人口流出に拍車がかかっています。過疎の半島を襲った大規模災害は、地域社会のありようへも複雑多様な影響をおよぼしています。
今年6月には大雨で輪島市に洪水警報が発令され、一部地域で濁流や私有地への土砂流入がありました。
①被災者のいのちと健康
7月9日時点で災害関連死は豪雨災害でも初認定され397人となりました。犠牲者数は625人となりましたが、250人余りが認定待ちであり、まだ増える見込みです。医療機関の患者数は震災前に戻りきらない一方で、介護利用者は新規認定含め激増しています。介護職員は震災前と比較して3割減少しています。不慣れで我慢が強いられる避難生活が背景にあると思われます。被災高齢者の3割に物忘れ悪化の傾向があるとの調査が報告されました。仮設住宅での孤独死が10人確認されています。仮設住宅は入居者より「狭すぎる」「プライバシーがない」「駐車場やごみ集積場などが高齢者には遠すぎる」などの声があがっています。住み慣れた地域から離れた生活環境に加え、過酷な住環境のなかで生活している被災者も多く、健康悪化をきたすことは想像にかたくありません。
発災直後から実施されてきた被災者の医療費・介護利用料の自己負担免除は次々に縮小、制約化され、国が9月末までの継続を通知しているにもかかわらず、国保、後期高齢者については2025年6月末をもって打ち切りとなりました。協会けんぽのみ継続されていますが、比較的収入が少ない、または不安定な被災者に自己負担が発生することとなり、分断が持ち込まれた形です。石川民医連は全事業所でアンケート調査を行い、医療費免除継続の切実な声をもとに石川県および能登各自治体への要請を行いました。輪島診療所、羽咋(はくい)診療所も共同組織とともにとりくんでいます。石川県保険医協会も同様に2000件に迫るアンケート調査の回答をもって県議会の各会派の議員などを通じた要請を行いましたが、いずれも「財源問題」「足並みをそろえる」「被災者のなかの不公平感」を理由として免除継続を決断する自治体はありません。国や県による財政補助の拡充が必要です。また「不公平感」は、被災者を機械的な線引きと対応で分断したことにより生まれたもので、行政が招いたものと言えます。
②蹂躙される被災者の基本的権利
法律適用期間および各種施策の終了によって、行政の姿勢は「“避難者”はもういない」を前提にしています。行政サービス、医療・介護や住居などは、すべての被災者、すべての人が元の生活に戻れるまで必要充分に提供されるべきです。昨秋の衆議院選挙では、特に奥能登自治体で投票所開設数が減らされ、かつ投票所締切時刻が夕方に前倒しされました。今夏参議院選挙では改善されているものの、非被災地域と比べて明らかに投票する権利が制限されていると言えます。
大規模災害時の影響は高齢者、社会的弱者、経済的困窮者により強く現れ、かつ長引きます。発災直後の急性期対応・対策とあわせて、長期的な健康問題および権利擁護のとりくみが強く求められます。
全日本民医連は、石川民医連と力を合わせて医療費・介護利用料の自己負担免除復活をはじめとする被災者支援を続けていきます。
③大規模災害への備え
全国で線状降水帯の発生、森林火災の頻度も増え、南海トラフ地震など大規模地震の可能性が指摘される状況を踏まえ、各事業所で現実的なBCP/BCMの構築と実践的な訓練、県連的な情報統制機能の整備、各自治体の避難計画等の確認なども急がれます。
全日本民医連で10月に南海トラフ地震など広範囲の災害を想定した学習と交流集会を開催、県連の被害想定と対策状況を学び合います。
(10)福島第一原発事故から15年へ向けたとりくみ
東京電力福島第一原発事故発生から14年目を迎えています。2025年3月1日現在、避難指示の出た12市町村だけでも5万人を超える住民がいまだ故郷に戻れていません。福島第一原発が立地している大熊町は避難を続けている住民9915人、現在住んでいる住民900人とで居住率は9・1%、双葉町では居住率3・5%という状況です。早稲田大学の調査では、避難を続けている人の4割に「故郷を奪われたこと」「コミュニティが破壊されたこと」「家族が崩壊したこと」などを原因としたPTSDの疑いがあると指摘しています。福島復興の前提となる廃炉終了は、①燃料デブリの取り出し、②使用済み燃料のプールからの取り出し、③汚染水対策、となっていますが、いずれも解決の目途はなく、県民に約束した2051年までに廃炉を完了するという計画は不可能な状態となっています。高濃度放射性汚染廃棄物の処分先は決められず、事故原発自身の高線量の実態も明らかになっています。事故から14年を迎えている福島の現実は「ひとたび原発の大事故が起これば、終わりの見えない苦しみを住民と地域に強い続ける」現実です。この惨状をなかったものとして「原発の最大限の活用」に舵を切った自民党・公明党政権の「第7次エネルギー基本計画」は、被害の渦中にある福島県民に対する暴挙以外にありません。政府は、急速にこの基本計画の具体化に向けて、再稼働、福井では、新規の原発建設にまで踏み込もうとしています。
原発最大限活用とは、再び日本のどこかで原発事故が引き起き、家族、暮らし、生業、地域のコミュニティを破壊し、長期にわたり取り返すことができない被害を人間にもたらします。事故を起こさないこと、それは原発をゼロにすることしかありません。
原発事故がなかったかのように原発を推進をする国の姿勢と、原発事故問題を問い、福島の現状から私たちがどんな未来を選択するのか考えることが私たちに求められています。原発をなくす全国連絡会がすすめる「原発事故から15年! 原発ゼロをめざす大運動」に福島のなかまとともにとりくみ、「原発ゼロと再生可能エネルギーへの転換を求める請願署名」、事故への国の責任を明らかにし、被害救済を求める裁判支援、来年春に予定される福島での「全国集会」などにとりくみます。47期へ向け、全日本民医連として福島現地で被害の現実を学ぶ定期的なフィールドワークを福島県民医連と相談し具体化します。
第2節 医療・介護・経営構造の転換
(1)医科法人の経営活動のさらなる前進へ向けて
①経営活動の現状
緊急行動提起を軸とする「たたかい」での成果を勝ち取ることと併せ、主体的経営改善のためのあらゆる努力が求められています。民医連経営の現局面は、事業の維持・継続が危ぶまれる事態が継続しています。
帝国データバンクの集計(7月8日公開)によると、2025年上期の倒産件数35件で、内訳は病院9件、診療所12件、歯科医院14件となり、病院と歯科医院が過去最多となっています。診療所、歯科医院では経営者の死亡や高齢化で事業継続が困難となる事業者が急増しています。病院については、「建設費高騰や資金難で、新施設の建設ができずに事業存続危機に陥る施設が相次ぐのではないか」(帝国データバンク)としています。また、7月9日に2024年度決算概要を公表した国立大学病院長会議の大島精司会長がのべた「配管が壊れてしばしば漏水が起こっている。耐用年数が過ぎているものは、画像診断の機器であれば患者に危害がおよぶことはないものの、いつ壊れていてもおかしくない」「もしこのまま支援がなければ間違いなく潰れる」という悲痛な訴えは、日本の医療機関に共通する深刻な実態を告発するものでした。
政府の無策のもとで、予測された通りの深刻な事態です。一方、この間、提起されてきた、医療経営管理の力量アップ、各種データも踏まえた地域分析を踏まえたリポジショニングなどの課題は、十分なとりくみとなっていないことを正面から受け止める必要があります。現在、2040年までの「新たな地域医療構想」が議論されています。2026年から都道府県での構想論議となる予定です。民医連経営として、2040年を見通した構想と経営戦略も必要となっています。経営破綻を回避し、民医連経営を守り抜く最大限の努力を全職員の団結した力で切り開きましょう。経営実態はまさに苦悩のなかにありますが、以下、2024年度決算結果概要と2025年度予算編成、2024年度スタート時点の概況(いずれも経営部集計速報値)を報告します。リアルな実態を正確に受け止めることが、経営改善の出発点です。
②2024年度決算概況
経常利益予算未達成104法人(84%)、償却前経常利益予算未達成111法人(79%)と、予算達成法人はほとんどありません。償却前経常利益マイナス(事業活動でまったく資金を確保できない状態)が15法人(13%)もあります。とりわけ収益予算未達成113法人(86%)が特徴です。必要利益にほど遠い決算結果となり、手持ち資金減少法人が82法人(73%)、総額179億円の資金が減少しました。半数近い法人が賞与を予算想定から減額せざるを得なかったことも踏まえると、相当深刻な決算結果です。必要利益を意識し望んだはずの2024年度は、予算利益を確保できず、資金流出構造が継続することにより、危機はさらに深化したとみなければなりません。2025年度も2024年度と同額の資金流出が継続すれば期末月商倍率0・7倍以下となり、資金危機となる可能性が極めて高くなる法人は14法人(12%)、2026年度も続けば34法人(30%)が危機となります。
③2025年度予算の特徴
償却前経常利益予算マイナス2法人、5%未満41法人(36%)、5%以上70法人(62%)となっています。予算編成の目標利益や本来の必要利益に届かない予算となった法人も多いなか、2024年度実績からは飛躍的改善(V字回復)前提の法人も多いのが特徴となっています。損益3%以上改善予算の47法人(42%)、内5%以上21法人、10%以上3法人となっており、損益改善の根拠ある具体策が明確であるかが問われるところです。一方、2025年度予算利益を達成しても、期末現預金減少が67法人(59%)、月商倍率1倍以下12法人、0・7倍以下2法人となっていることから、V字回復の予算利益を確保してもギリギリの経営実態の法人が少なくありません。予算利益が半分となった場合、月商倍率0・7倍以下となる法人は13法人あり、2025年度予算利益未達成=資金ショートとの認識が必要です。V字回復実現のための具体策が明確かどうか、月次の予算差異原因把握と機敏な対策の実行力が問われることになります。
④2025年度の4月決算結果から
2025年度4月決算集計(109法人)では、償却前経常利益予算未達成69法人(63%)。4月予算差が1年間継続すると仮定すると、期末資金月商倍率が1・0倍以下24法人、その内0・7倍以下11法人、0・5倍以下でほぼ破綻となるのが5法人ということになります。4月は赤字予算からスタートし、年度末に向けて飛躍的に利益が増加する予算となっている法人が多いことを考えると、大変厳しいスタートです。予算利益未達成の重大性の認識が極めて重要です。この間、予算未達成が当たり前となってきた法人が多く、重大性の認識が弱い傾向があります。資金がタイトな法人は下振れした場合の限界幅をきちんと認識しておくことも重要です。
現状を何となく甘受してやり過ごしたり、確固とした根拠もなく状況を楽観的に見るのではなく、民医事業所がなくなったらどうなるかなど「想像力」と、2025年度の実践が、未来を決めるとの強い意志と覚悟、民医連運動への誇りと確信を固め、改善をすすめましょう。情勢の変化を踏まえた医療経営の構造の転換ができるかが鍵です。
⑤全日本民医連北海道勤労者医療協会経営対策委員会のとりくみ状況
対策委員会が設置された2025年1月以降、4回の対策委員会を開催し、対策委員長、副委員長を中心に現地入りを継続しながら、現地幹部集団とともに改善に向けた検討と実践をすすめています。
この間、理事会や事業所の管理者、職員の奮闘によって、入院収益を増収させるなど一定の改善は見られます。しかしながら、依然として資金が流出する構造が継続しており、現在も経営危機の状態にあります。現在も、厳しい実態のなかで、事業所の廃止も含む事業再編や病院群の構造転換に向けて奮闘中です。2025年度で目標とする利益が達成できなければ、深刻かつ極めて重大な経営危機に陥ることになることから、ひきつづき継続した支援をとりくみます。北海道勤医協が直面している資金困難や、その一因でもある基本的な経営管理力量の不足、組織運営の整備・確立の不十分さは、当該法人、県連だけの問題ではなく、全国の民医連法人、事業所にも共通している課題です。いまのこの苦境を変革のチャンスと捉え、医療構想とその戦略、経営構造転換の具体策の確立をすすめることとします。
(2)2040年へ向けたリポジショニングの方向性・論点
リポジショニングの目的は、民医連事業所の地域におけるポジションを再確立することによって、無差別・平等の医療と福祉の灯をともし続けるということです。現場で日々実践する医療・介護活動と危機的状況を突破するための経営戦略は表裏一体です。したがって、リポジショニングをすすめるには、医療・介護構想と経営戦略を一体のものとして検討することが重要です。
全日本民医連は、これまで病院をはじめとするポジショニングを強調してきましたが、かつてないいまの厳しさに見合うものにはなっていません。危機打開の出発点は、幹部をはじめとする全職員の経営状況のリアルな認識です。国の政策動向に対する「たたかいと対応」の視点をもち、自事業所の患者・利用者の動向、圏域内の医療・介護事業所の状況などのデータをもとに、全事業所、法人でのあらためてリポジショニングの検討と実施を呼びかけます。リポジションの検討は、事業所、法人の枠を越えた検討も求められる情勢であり、県連の役割もかつてなく重要です。
①背景となる情勢の特徴
日本の人口動態は、2040年には85歳以上人口を中心とした高齢化と生産年齢人口の減少を招き、行政サービス、自治体の財政、地域社会全体の維持に深刻な影響をおよぼす、「内政上の危機」と言われています。地域では、老若男女を問わず、経済的困窮を背景とした生きづらさや社会的孤立は、居場所の喪失につながっています。無医地区と準無医地区を合わせた「無医地区等」は、2054年には2000カ所を超え、全市区町村の4割にのぼると予想されています。訪問介護事業所が一つもない町村は109にのぼり、一つしかない市町村とあわせて377、全市区町村の21・7%にあたります。訪問介護が十分に提供できない実態がひろがっています。
医療計画の上位概念とされ、2026年度から開始される新たな地域医療構想では、病床だけでなく、外来や在宅なども含めた医療提供体制全体を地域で最適化していくことをうたっています。厚労省は具体的検討事項として、①圏域のありかた、②必要病床数、③医療機関機能、④外来・在宅医療、⑤リハビリテーションをあげています。今年4月に施行された、かかりつけ医機能報告制度は、患者を地域でささえるために必要な、かかりつけ医機能について、各医療機関が都道府県に報告することになっています。医療・介護人材の確保については、2040年には医療・福祉分野全体で約1070万人の就業者が必要と推計されていますが、経済成長や労働参加拡大を前提としたシナリオでも約96万人の人材不足が想定されています。国は、医療DXを推進しており、オンライン資格確認、マイナ保険証、オンライン診療、電子カルテ標準化、診療情報の共有化、AI活用などが提唱されています。
②「2つの柱」を深化させ、地域包括ケアの中核を担う医療・介護の経営構造を確立しよう
民医連は、医療・介護活動の2つの柱を中心に、全国各地の現場で多くの困難と向き合いながら実践を重ねてきました。この「2つの柱」は、私たちのめざす医療・介護の根本に「無差別・平等」を、日々の行動理念に「共同のいとなみ」を掲げるということであり、民医連の原点でもあります。現代の複雑な医療・介護の課題に立ち向かう指針として、それらをさらに深め発展させていく必要があります。
新たな地域医療構想は、地域の医療機関の果たす役割を明確化し、「治す医療」と「治し、ささえる医療」を区別することとしています。「治す」には、急性疾患で来院した患者の治療がイメージされるのに対し、「ささえる」には医療機関のみでは完結しない、地域や生活を含めた伴走型の支援がイメージされます。多くの民医連病院は「治しささえる医療」を担うことになると考えられますが、急性疾患を中心に扱う病院であっても、地域における患者の日常生活を意識した「ささえる」視点を意識するのが民医連医療の原点です。とりわけ診療所や介護事業所は、無差別・平等の医療と福祉の実現をめざし、誰もが安心して住み続けられるまちづくりに貢献する役割と、存在意義を発揮することが重要です。
多くの法人、民医連事業所が医療・経営構造の転換が待ったなしの状況です。地域の状況や主体的力量から事業の再編や縮小を選択する場合もありえますが、「撤退」ではなく、新たな医療と介護の変化のなか、地域の受療権を守り、「生きる」をささえ地域の福祉力を高める役割を果たすなど、誇りをもって民医連らしさを発揮する視点が重要です。同時に、地域要求があり前進が可能な分野には、医療・介護構想と経営計画に位置付け、人的、物的資源を整えるといった積極的な視点を大切にしましょう。
③打開のカギは現場の実践と全職員の力
いまの困難は、部分的な小手先の「対応」では乗り越えることはできません。たたかいを縮小したり、共同組織をはじめとする地域との結びつきを軽視するようなことは本末転倒です。リポジショニングに欠かせないのは、全職員に依拠し医療や介護の現場の実態から出発すること、共同組織とともに地域への視点を重視し前進することです。医療の高度化や事業規模の維持にのみこだわるのではなく、いのちの平等の実現をめざす医療と介護を豊かに実践するとともに、地域の医療・介護の動向をつかみニーズに応える事業活動を再構築することが求められています。そのために、民医連の価値を共有するなかで医療・介護従事者の確保と育成がすすめられ、着実に世代交代がすすめられることが重要です。
注1 2つのものの対等性や平等性、男女同数制を意味する用語として定着。フランスでは2000年にパリテを実施する法律ができ、議員だけでなく公務員、民間の意思決定機関も男女同数を目指す措置を実施、社会全体の組織原理となっている
注2 多様な性のあり方を考える4つの視点(出生時に割り当てられた性:Sex Assigned at Birth、性的指向:Sexual Orientation、性自認:Gender Identity、性表現:Gender Expression)のうち、性的指向・性自認・性表現の英語表記の頭文字などを合わせた表記で「ソジー」と読む
おわりに
6月23日、沖縄戦から80年となる沖縄全戦没者追悼式が開かれました。沖縄は、先の戦争で凄惨な地上戦の場となり、軍人だけでなく、県民の4人に1人のいのちが奪われました。
追悼式で、中満泉国連事務次長・軍縮担当上級代表は以下のように発言しました。「美しい自然と琉球王国から続く豊かな伝統と文化を受け継ぐ沖縄は、先の大戦において凄惨な地上戦の場となりました。軍人だけでなく多くの民間人のいのちが奪われました。対馬丸事件で若いいのちを奪われた子どもたち、看護要員として動員されたひめゆり学徒隊の女学生たち、そして戦火のなかを保護されることなく逃げ惑いながら犠牲になった市民の方々一人ひとりの恐怖と無念さを、私たちは記憶に留め、戦争のなかでの彼らの生と死に思いをはせます。そして、同じような現状にあるガザ・中東地域、ウクライナその他の国々・地域の多くの市民たちのいまに、胸が締めつけられます。(中略)戦火が拡大・激化している世界に再び平和を呼び戻すために私たちがいまなすべき行動について、あらためて考えましょう。戦争の記憶を継承することは、とりも直さず現在と未来の平和を守りつくっていくことなのです。真の安全保障と平和は軍事力のみや、ましてや軍拡競争によって達成されるものではありません。国家間の信頼関係が崩れ、アメリカのイランへの武力行使を経て中東地域でのエスカレーションの危機が迫るいまこそ、戦争への道ではなく、平和と共存への道を、そして核兵器のない世界への道を、冷静に探ることが必要です。そして、紛争下にあっても一般市民はかならず保護されなければならないという、国際人道法の原則を守らなければなりません」
同じ追悼式で、平和の詩「おばあちゃんの歌」を詠んだ小学校6年の城間一歩輝さんは、「沖縄戦の激しい艦砲射撃でケガをして生き残った人のことを『艦砲射撃の食べ残し』と言うことを知って悲しくなった。五歳のおばあちゃんが防空壕での歌を歌い『艦砲射撃の食べ残し』と言われても生きてくれて本当に良かったと思った。おばあちゃんに生きていてくれて本当にありがとうと伝えると両手でぼくのほっぺをさわって『生き延のびたくとぅ ぬちぬ ちるがたん』、生き延びたから いのちがつながったんだねとおばあちゃんが言った。八十年前の戦争でおばあちゃんは心と体に大きな傷を負った。その傷は何十年経っても消えない。人のいのちを奪い苦しめる戦争を二度と起こさないように、おばあちゃんから聞いた戦争の話を伝え続けていく。おばあちゃんがつないでくれたいのちを大切にして一生懸命に生きていく」
戦後80年のいま、いのち・ケアが優先される社会をめざして力を寄せ合い、ケアあふれる民医連へと前進しながら47回総会へ向かいましょう。
以 上
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