民医連事業所のある風景 東京 生協王子歯科 患者さんの笑顔とお口の健康を守りたい ――地域に寄り添い、安心して通える歯科をめざして
東京ほくと医療生活協同組合 生協王子歯科は東京都北区にあり、1994年、王子生協病院内に「王子生協病院歯科」(当時所長:前田茂先生)として開設しました。1997年に北病院が合併し、2000年には「北病院歯科」も開設されたため、これら二つの歯科を統合し、2007年に「生協王子歯科」として現在の場所へ移転しました。
都内には多くの開業歯科医院があり、保険外診療を中心とする歯科も少なくありません。そうしたなかで当歯科は、社会的格差や貧困の問題から生じる「口腔内崩壊」に向き合い、救う「最後の砦」としての役割を担っています。
歯科医師3人、歯科衛生士5人、歯科技工士1人、事務4人のチームで連携しながら、民医連の理念である「無差別・平等の医療と福祉の実現」をめざし、日々話し合い、全国の民医連歯科診療所との合同研修にも定期的に参加し、技術と知識の向上に努めています。診療だけでなく、医療・社会保障制度の拡充を求める署名や街頭活動、災害地域への医療支援などにも積極的にとりくんでいます。
歩行困難な方や車椅子を利用される方も安心して通院できるよう、バリアフリー設計です。
義歯を扱う歯科医院や技工士が減少傾向にあるなか、当歯科では義歯診療が充実しています。院内に義歯に精通した技工士が常駐しており、破損した義歯を半日ほどで修理し、受診当日中にお返しすることも可能です。
口腔外科を専門とする歯科医師が在籍し、高次医療機関を受診せずとも、口腔粘膜疾患の診断や埋伏歯抜歯などの外科処置を行うことができるため、かかりつけ歯科での歯科治療と別に口腔外科処置のみ当歯科で受ける方も多くおられます。王子生協病院との連携により、歯科で切除した組織検体の病理診断や、重症歯科感染症への抗菌剤点滴、CT検査なども可能であり、睡眠時無呼吸症候群などの医科疾患に対する口腔内装置の作製も近隣内科医院と連携して行っています。
痛みや義歯の破損などの予約外の急患は断らずに当日対応します。感染対策を徹底する方針はコロナ禍以前より長らく行っており、コロナ禍でも当歯科は通常通り開院し、他医療機関が原則閉鎖するなか、受診不可となった多くの患者の歯科処置や抜歯などの口腔外科処置も引き受け、二次医療機関としての役割を果たしました。
診療拠点は豊島ビルの2階と3階にあり、同じ建物内には、1階に訪問看護ステーション、4階に介護支援事業所があります。これらの事業所や王子生協病院をはじめ、北区・足立区・荒川区にある東京ほくと医療生協の各診療所、看護・介護事業所と連携しながら、訪問診療も週3日ほど実施しています。東京ほくと医療生協以外の事業所からの依頼で埼玉県内(往診圏内14㎞ほど)などにも往診します。王子生協病院の緩和ケア病棟に入院中の方の口腔ケアや義歯作製などにも対応し、患者さんやご家族の希望を伺いながら往診頻度を融通し、限られた余命のなかで最善の支援ができるよう心がけています。
これからも民医連歯科・医療生協の理念に基づいた診療を続け、口腔機能の維持・向上を通して、安心して笑顔で暮らせる地域づくりに貢献していきたいと考えています。
(生協王子歯科 所長 望月裕美)
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