• メールロゴ
  • Xロゴ
  • フェイスブックロゴ
  • 動画ロゴ
  • TikTokロゴ

民医連医療

民医連医療

民医連事業所のある風景 富山 富山協立病院 地域のかかりつけ病院 外来、入院、在宅を切れ目なく提供する

 富山協立病院は富山市の北部に位置しています。1975年(昭和50年)に豊田病院として開設し、富山市北部地域の中核病院をめざして発展してきました。87年に富山協立病院に改名し、地域医療構想で近隣の公的病院の移設なども重なり2005年に外科を閉じ、急性期から慢性期中心の医療へと転換し、亜急性期を担いながら在宅医療・介護を展開してきました。
 50年を経て建物の老朽化に伴い、24年に病院建設を行いリニューアルしました。新しい病院は、地域包括ケア病棟、療養病棟、障がい者病棟の164床、透析管理100人、往診管理230件、外来は平日夜間18時まで、土曜午前診療を行っています。
 地域のかかりつけ病院として、切れ目のない医療・介護を提供することをめざすと同時に、厳しい医療情勢のなか、経営の存続は民医連医療の存続である思いで、握った手綱を締め直しています。

私たちの医療活動の変化

 患者の困りごとに寄り添う医療が当院の強みでしたが、新型コロナウイルスのパンデミックでその強みを発揮できない状況になりました。一時期はかぜ症状=コロナ感染症を疑うような差別感から、受診した患者も対応する看護師もジレンマに陥っていました。しかし、そのジレンマに医師や事務管理部が耳を傾けて、患者・職員双方の要望に応える体制をつくったことが外来職員の士気をあげ、私たちが大切にしてきた看護観に再び火をつけました。受診者の困りごとや要望を職員が丁寧に聞き、医師がそれに応えるというとりくみを繰り返すうちに、忙しくても患者の要望に応えることができ、外来職員のやりがいも大きくなっていきました。コロナ禍を乗り越えた瞬間でした。

私たちの民医連事業所のある風景

 外来での数十分のやり取りで、困りごとがないかをキャッチする外来職員のセンサーの感度は高く、外来から訪問診療につなげることで継続的に看る(診る)力が日常的に発揮できています。
 当院かかりつけの高齢のご夫婦は、夫がひとりで認知症の妻を介護していました。日中も一人にしておけないと仕事場まで妻を連れていっていましたが、妻の腹痛が強く救急搬送を繰り返し、搬送先での入院を拒み、当院での検査治療を望んで通院するようになりました。夫は痛がる妻をなんとかしてほしい一心ですが、せん妄がひどく入院継続できなかった経験があるため、検査入院も迷っていました。認知症の程度や夫の気持ちをミーティングなどで共有した医師・外来職員は、外来でできる限りの検査を行い、病棟は入院体制を整え待機するという連携をとりました。
 内視鏡検査中、鎮静剤は使わず看護師が優しく背中をさすり、声をかけたり、若いころの話を聞いたりしながら、検査は穏やかにすすみました。認知症ケアが光った瞬間でした。
 がんの疑いが強いことを伝えると、夫はもっと早く気づいてやればよかったと悔やみましたが、入院は不安が強く難しいだろうとも悩んでいました。医師・看護師は、住み慣れた自宅ですごす提案をし、往診や訪問看護で支援すること、介護申請をすることを丁寧に説明。夫の気持ちも前向きになり、訪問診療につながりました。全員一致で「これこそ民医連医療だね」という気持ちを共有した事例です。多職種連携が私たち組織のエンゲージメントを高めました。今後も「患者に寄り添う医療を多職種で進化させる」ことをめざしていきます。
富山協立病院 事務次長 作田友乃)