民医連事業所のある風景 東京・勤医会東葛看護専門学校 地域に出て学ぶ「知ることは希望」 ―主権者として成長する看護学生たち―
本校は「医療過疎地に看護学校を」という地域住民の願いと、「自分たちの後継者を自らの手で養成したい」と願う民医連看護師の思いで、1995年千葉県流山市に開校した看護専門学校です。開校時からとりくんでいる「地域フィールド」の目的は、「地域社会の実態をフィールドワークをとおして学び、国民の命・健康・生活・労働を護る医療・看護の役割を学ぶ」です。目標は、「①民医連の病院・診療所などを拠点にして可能なかぎり地域の方々に密着して労働体験・生活体験を通して実践的に学ぶ②労働者・地域住民の健康をまもる医療活動・運動に実際に参加し学ぶ③生活・労働・健康障害と闘病史・医療活動をつなげて理解する④地域・労働の実態を具体的にリアルにとらえ、学生自身の問題意識から出発し主体的に実践的に学ぶ」です。
フィールドワークをとおして、「患者観 いのちの平等と個人の尊厳」「疾病観 生活と労働の視点」「医療観 患者・住民、医療従事者との共同のいとなみ」を学ぶ、民医連の看護学校である本校の大切なカリキュラムです。社会の見方・とらえ方を、とらえた事実から矛盾の根底にあるものを明らかにして学んでいきます。今まで自分たちが生きてきた社会を実践から検証するこのとりくみは、本校の教育においてなくてはならない教科目です。
フィールドワークの内容は、情勢を鑑みて今の社会で学ばなくてはならないことをテーマにしています。「農業フィールド」は、開校時から学んでいるテーマです。食べることは生きること、食を日本の農業政策から学びます。「建設労働者フィールド」は、アスベストが社会問題になった「クボタショック」の情勢を受けて立ち上げたテーマです。3年前に新しく立ち上げたのは「外国人労働者」「気候変動」に関するテーマです。「外国人労働者」のグループは、最も人権がまもられていない「仮放免者」の実態を医療相談会に参加して学びました。さらに、「気候変動」のグループは次のように学んでいます。
【日本のメディアは異常気象と報じるに留まっている。これは異常ではなく、現在の排出量が続いている段階では、「起こるべくして起きている当たり前の現象」である。日本は世界有数のCO2排出国でありながら、国民の関心度はヨーロッパやオーストラリアの若者と比較して著しく低い。この背景には、日本の報道の自由度の低さや、環境問題に対する政策の遅れが関係している。私たちはまず、自らの便利な生活が他国の犠牲の上に成り立っているという、「気候正義」の欠如を自覚しなくてはならない。(中略)私たちは「家庭での小さな努力」に満足するのではなく、社会の仕組みを変えるために、政策に向けて声を上げ、活動していく必要がある。今回の実践を通して私たちが得た最大の学びは、「知ることは希望」であるという点だ。】
看護学生たちは、労働者の仕事に対する誇りを学ぶほど、余りにも低い社会的評価とそれをつくる新自由主義社会・政治に憤りを感じるとともに、社会をつくる主権者としての意識を芽生えさせていきます。「知ることは希望」と学ぶ看護学生に、希望が見える地域フィールドの学びです。
(勤医会東葛看護専門学校 副校長 山田かおる)
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