理事会(2026年7月)増田会長あいさつ
【増田会長あいさつ】
東京商工リサーチの発表によると、2026年上半期の企業倒産が5346件、うち物価高による倒産が439件に及んだと報告されました。また、帝国データバンクの発表では、2026年上半期の医療機関倒産が39件で、過去最多の昨年上半期を上回り、内訳は病院4件、診療所19件、歯科医院16件との結果でした。これらの状況は、円安や資源不足による物価高が強く影響しており、イラン情勢ともつながっています。カタールやパキスタンなどの仲介は続いており、日本も含めた主要国の積極的な関りが求められます。
6月26日に、「人口減少と不確実性の時代における国力の強化と財政運営」と題した春の建議が、例年より約1か月遅れで発出されました。1年前の建議で、基礎的財政収支の単年度黒字化達成目標年度を2026年に延期した財政審でしたが、今回はさらに後退し、PBについては複数年で管理をし、単年度の赤字を重視しない方針に転換しました。財政規律を曖昧にする一方で、社会保障抑制を推し進める内容になっているのが今回の建議の特徴です。社会保障の医療分野では、医療の質を重視するのであれば、アクセスかコストのどちらかを諦めるのは仕方ないと誘導するような書き出しになっています。この間、政府は医療費増加の要因について、「医療の高度化」に加え「受診動向」を持ち出してきていますが、先の改正健康保険法の内容は、個人の負担を強化することでアクセスを阻害するという悪手であることが再確認されます。
また、「70歳以上の患者自己負担の原則3割化」や「外来特例の廃止」など、看過できない問題が満載されていますが、特に、特定疾病制度に手を入れる旨の記載があることは重大です。人工透析を例に出し、長期間に渡り生活制限を伴う治療を要する患者が、あたかも優遇されているかのような書きぶりには憤りを禁じえません。7月15日、全国腎臓病協議会(全腎協)は、厚労大臣宛に意見書を提出し、その中で、今回建議で引用されたアンケートの評価について「特定疾病制度における自己負担限度額の引上げへの賛意や容認を示すものではありません」と明確に述べ、「現行の自己負担限度額の水準を維持」するよう求めています。こうした声に連帯した取り組みが必要です。
6月末に「骨太の方針2026」の原案が発出されましたが、社会保障分野については抑制・効率化が求められています。2040年に向け病床数の適正化、医療機関の再編・集約化を進めること、かかりつけ医機能発揮と医師偏在対策を行うこと、そして、2028年度から医学部定員削減を具体化するとしています。「高齢者の窓口負担割合」は次年度予算で、「介護保険での2割負担対象拡大」は、本年度中に結論となっていますが、今後の閣議決定でどのような形になるのかが注目されます。改正健康保険法で物議を醸したOTC類似薬の保険外扱いについては、「対象範囲の拡大に向けた検討」と記載され、これ以上の改悪を許さないたたかいを組織することが求められます。
UN Women(国連女性機関)7月10日、52の国・地域にわたる855の女性主導組織・女性の権利団体を対象とした調査を元に最新の報告書『Beyond the Breaking Point(限界点を超えて)』を発表しました。それによると、現在、武力紛争は過去80年間で最悪の水準に達しており、人道的ニーズが増加し続け、世界で支援を必要としている女性・少女は1億2千万に及ぶそうです。しかしながら、政府開発援助(ODA)の削減などによる資金の枯渇によって、約100万人の女性や少女が、これまでの支援を受けられなくなっていると同時に、女性支援団体そのものが危機に瀕しているとのことです。UN Women(国連女性機関)人道支援部長のソフィア・カルトープ氏は、「直ちに行動を起こさなければ、世界最悪の危機の中で女性や少女たちの命を守り続けてきたこれらの団体が、戦争の新たな犠牲者となるおそれがある」と述べ、支援を訴えています。
人々のいのち、健康に深く関わる医療・介護・福祉に従事する者として、意思表示と行動を起こし、戦争する国づくりと、「医療追い出し、介護とりあげ」の社会保障削減が一体となった政治の中で、引き続き、運動を強化し前進しましょう。
