• メールロゴ
  • Xロゴ
  • フェイスブックロゴ
  • YouTube
  • TikTok

ニュース

ニュース

理事会(2026年10月)増田会長あいさつ

【増田会長あいさつ】

 第222回臨時国会(会期:2026年10月5日~12月12日)が始まりました。高市首相の所信表明演説は、議員定数削減や防衛力強化、3文書改定への意欲を示した上で、成長分野への積極投資に演説のほとんどをあて、憲法改正については触れる程度でした。また、「政治とカネ」やジェンダー平等、気候危機、昨年、話題になった「女性の健康」にはふれずじまいでした。
 その中で、首相肝いりの消費税減税法案の財源を示さず、「心配には及びません」で一蹴したことは極めて無責任な態度であり、円安や物価高に有効な歯止めが見られない状況下では、どれだけの減税効果があるのか、疑問は尽きません。
 加えて、成長なくして「賃上げ」も「税収増」もないと言ったのに続けて、「社会保障の充実」もないと言い放ちました。一方で「防衛力強化」は成長とは関係なく行うのですから、この政権がどちらを向いているのかが良く判る言い回しだと感じます。

 日本被団協結成70周年記念式典・祝賀会が10月7日に都内で開催され、被ばく者が高齢化する中で、同会が今後どのようになるのか、関心が寄せられました。核廃絶運動を中心的に担う若者の育成が強く求められており、民医連も全面的に協力していく所存です。なお、他の幾つかの団体とともに、民医連が被団協から感謝状を頂きました。70年間、被ばく者と一緒に歩んで来た私たちにとって大変な名誉であります。

 沖縄県で、また許し難い事件が発生しました。那覇市内での30代女性の強盗殺人容疑で普天間基地海兵隊所属の20歳上等兵が逮捕されました。沖縄県警によると米軍関係者による事件は近年増加傾向で、検挙件数は昨年22年ぶりに100件を超えました。1972年の本土復帰以降、米軍関係者による民間人殺人は14件目となります。元衆議院議員の赤嶺政賢さんは、「殺傷する訓練によって人権意識を失った兵士が日常生活に入り込み(性的)暴行に及ぶ、ここに大きな本質がある。どんなに再発防止や綱紀粛正を求めても止められない。軍隊を整理縮小する以外にない」と、2025年2月5日の衆院予算委員会で述べており、本当にその通りだと思います。

 9月10日に、アメリカの軍事シンクタンク「ディフェンス・プライオリティーズ」が「アジアのための第2列島線戦略」と題した論文を発表し、その中で、日本を含む西太平洋での前方展開戦力を中国沿岸から遠ざけ、日米安保条約を解消すべきと提言しています。
 概要は、現在の前線を少し後方に下げてもアメリカ本土防衛と貿易ルートの確保という点で大きな問題はなく、アメリカの利益を考えれば、日本や韓国、フィリピン、オーストラリアなどとの同盟から手を引くことを考えた方が良い。沖縄へのアメリカの駐留は日本のためというより台湾のためという状況になっているが、台湾有事で中国と事を構えるのはアメリカの利益にならないし、たとえ中国が台湾を支配したとしてもアメリカにとってたいしたことではないといった内容です。
 この構想が現実化する可能性は極めて低いのですが、アメリカ国内からこうした意見が出ること自体に注目すべきであり、日米同盟が未来永劫続くかのような思考から卒業することの必要性を改めて考えさせられます。

 世界経済フォーラム(WEF)のジェンダーギャップ指数が発表(9月16日)されました。憲政史上初の女性首相を誕生させ、大幅浮上が期待された日本でしたが、残念ながら145か国中1つだけアップの117位という結果で、当然、G7最下位でした。特に従来から指摘されていたように、政治分野での遅れが顕著であり、平等の状態を100とした場合、その達成率は僅か10.5で121位、経済分野は女性管理職割合が減り、男性との賃金格差も広がり119位でした。
 総務省の調査によると、6歳未満の子どもを持つ親の家事・育児時間は、妻の7時間28分に対して、夫は1時間54分と約4分の1に過ぎないことが報道されています。男女賃金格差是正と併せて、世界水準に追いつくための政治的施策を執るよう国に働き掛けるとともに、「公正でジェンダー平等と多様性が尊重される社会と民医連」を実現するための自らのアクションが求められます。

 ガザ地区での凄惨なジェノサイドが始まって丸3年が経過しました。この間7万4200人を超えるパレスチナ人が殺害され、18歳未満は2万1700人以上にのぼります。昨年10月10日に一応の停戦が合意されたはずですが、実際にはイスラエル軍の攻撃は続き、この1年で1470人を超える死者が発生しています。学校の93%が破壊され、ガザ全域で山となった瓦礫は撤去するのに7年はかかると言われています。7万を超える幼児が栄養失調に苦しみ、飢餓を武器として使用するという外道を犯したイスラエル指導部には国際刑事裁判所(ICC)から逮捕状が発布されています。
 10月7日には、オーストラリアやドイツ、アメリカなどの国々でパレスチナに連帯する集会が開催され、多くの市民がイスラエルによるジェノサイドに対して抗議の声をあげました。
 アメリカの調査会社、ピューリサーチセンターの今年3月の調査では、民主党支持者と民主党寄り無党派の80%がイスラエルに「好意的でない」見方をしており、これは2022年の53%、2025年の69%と、年々高くなっていることが判りました。逆に共和党支持者と共和党寄り無党派は58%がイスラエルに「好意的」ではあるものの、50歳未満では57%が「好意的ではない」と回答し、昨年の50%より増加していました。
 7月の調査によると、アメリカ人のイスラエル人への好感度は2023年10月以降徐々に低下し、「好意的」との回答は約52%で、パレスチナ人への回答50%と同程度になっています。そしてイスラエル政府への評価はこの間急激に悪化し、62%(昨年59%)が「好意的でない」と回答し、「好意的」とした32%(昨年35%)を大きく上回りました。こうした世論の変化が、ガザやホルムズ海峡の状況を打開する力になることを願って止みません。

 国際法を無視する暴挙を取り締まる法の役割に対して、大きな逆風が吹いています。プーチン大統領に逮捕状を発布したICCに対し、10月8日にロシア最高検察庁は、赤根智子所長ら関係者9人の身柄の引き渡しをICC本部があるオランダなど複数の国に要請しました。トランプ政権は、今年8月、赤根所長個人に対して制裁を科した上、今月9日、「無法な裁判所との取引を禁止し、資金源を断ち切り、運営能力を麻痺させる」との国務省声明を発出し、ICC全体に対して制裁を科す方針を明らかにしました。 
 これは、元ICC裁判官のナビ・ピレイ氏のノーベル平和賞受賞発表の数時間後に行われたもので、「戦争犯罪、人道に対する犯罪、ジェノサイドが訴追されることに重要な役割を果たした」というノーベル委員会の示した受賞理由から、ICCの側に道理があるという世論が世界に拡散することを恐れ、それへの抵抗と捉えることができます。受賞理由は続けて、「裁判官たちが制裁の対象となり、機関が攻撃を受けている今日こそ、勇気、先見性、そして決意を持つ人々が必要だ」と述べています。
 赤根所長はピレイ氏の受賞について、「国際法秩序と法の支配に対する深刻な挑戦が起きている現在において、この評価は特に意義深い」とコメントし、加えて、トランプ政権からの恫喝に対して、「裁判所は今後も独立性と公平性を堅持し、法律と証拠のみに基づいて行動し、重大犯罪の無数の被害者のために任務を全面的に遂行し続ける」との声明を発表しました。
 ICC加盟国のカナダ、デンマーク、ドイツ、フランス、イタリア、日本、オランダ、イギリスの8ヵ国の外相は、制裁に強く反対するという声明を発出し、ICC支持を表明しました。国際法に基づく平和の秩序を構築するため、世界の世論を喚起することが必要です。

 人々のいのち、健康に深く関わる医療・介護・福祉に従事する者として、意思表示と行動を起こし、戦争する国づくりと、「医療追い出し、介護とりあげ」の社会保障削減が一体となった政治の中で、引き続き、運動を強化し前進しましょう。