【声明2017.3.21】国と東電は福島第一原発事故損害賠償請求事件前橋地裁判決を受け止め、原発事故被害者に賠償せよ
2017年3月21日
全日本民主医療機関連合会
会 長 藤末 衛
東京電力福島第一原発事故で福島県外に避難した住民ら45世帯137人が、国と東電に約15億円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、前橋地裁(原道子裁判長)は3月17日、国と東電に対して賠償責任を認め、うち62人について計3,855万円の支払いを命じる判決を言い渡した。
本判決は、まず、国の地震調査研究推進本部が2002年に策定した長期評価(三陸沖北部から房総沖の日本海溝で、M8クラスの地震が30年以内に約20%、50年以内に約30%の確率で発生する)をもとに、東電は2008年5月頃、最大15.7メートルと試算し、非常電源が浸水するような津波を実際に予見していたと指摘。原道子裁判長は、「東電は2002年以降に敷地を越える津波を予見できたのに長期評価に基づく対策を怠った。国は東電に対して規制権限を行使すれば事故を防げたのにしなかった。」とし、国にも東電と同等の責任を認め、賠償すべき慰謝料額を東電と同額とした。本件事故が人災であることを改めて認定したものといえる。全日本民医連は、国と東電に対し、司法の判断に従い賠償を認め、控訴を断念することを強く求める。
他方、損害認定については、「(賠償水準となっている)国の中間指針は多数の被害者への賠償をあくまで自主的に解決するための指針であり、中間指針を超える損害は最終的には裁判などで判断される。」としたが、多くの原告が述べるように損害賠償はふるさとを奪われた苦しみに見合うものではなく、十分とはいえない。
全日本民医連は、国民の生命と健康、安全を守る立場から、原発事故被害者に寄り添い、引き続き、原発被害の救済と生活再建を強く求めていく決意である。
以上
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